◆学生街の殺人◆東野圭吾◆
(講談社 ISBN4-06-03372-0)


この作品を読んで思い描く舞台は、なんとなく池袋だったりします。
なんの根拠もなく、池袋の学生街を知っているわけでもなく、ただ、
その池袋に行ったことがあって、そのイメージが、なんとなく、
この作品の学生街にあっている気がするだけなんですが・・・。

大学を卒業したものの、そのまま就職する気になれず、進路を決め兼ねて
アルバイト生活をしている光平。
年上の彼女広美とは、なんとなく微妙な関係。
バイト先のビリヤード店や、広美が友達とやっているスナック「モルグ」に
やってくる様々な常連客達。
第一の事件の被害者でもある松木の言う通り、なんとなくよどんで、
生きている気のしない街。
学生街は学生街でも、大学の正門が変ってしまい「元」がついてしまうから。

そんなうらぶれた街で起こる連続して起こる殺人事件。
果たして、犯人は同一なのか?
被害者の間には、どんなつながりが?
どういうわけか、立て続けに第一発見者となり、
否応なく事件に巻き込まれていく光平。

どんどん沈んでいく街。
再起をかけた商店街のイベントもとんでもない結果に終ってしまう。
街が沈んでいく時というのは、そんなものなのでしょうか。
そして、この事件そのものが、そういう街だからこそ起こったような気がして
仕方がありませんでした。
街が沈むから人も沈むのか、
人が沈むから街も沈むのか。
ニワトリと卵のような関係なのかもしれません。

現れた香月刑事に張り合うわけでもないでしょうが、
事件を自分の手で解決しようと動き出す光平。
そうしないと、自分の中でいろんなことに決着がつかなくて、
動き出すことができないような気がするから。
そう感じること自体、事件が少しずつ光平を変えていた証なのかもしれません。
とにかく、広美の妹である悦子とともに、警察とは別の動きを始めます。
この悦子の明るく行動的な姿は、よどんだ街に一陣の風を
巻き起こしてくれたような気がします。
誰もが、そこから抜け出すことを夢見ながら、そのままそこで暮している、
そんな街に。

そして、事件が解決した時、光平も、また、1つの道を見付けたようです。
とても悲しい事件だったけれど、、、
本当に、人の心というのは、弱いものだけれど・・・。
何かが終る時、きっと、それは新しい始りでもあるのでしょう。


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