◆ウェディング・ドレス◆黒田研二◆
(講談社ノベルズ ISBN4-06-182130-X)
こんなに夢中になって読める作品が出てくるから、本を読むのはやめられない。
読み初めから数ページで、止まらなくなってしまった。
主役は2人。
祥子とユウ君。
2人の一人称で語られる物語が交互に綴られる。
でも、何かおかしい。
同じことについて話しているようでいて、食い違っている。
ミステリ読みとしては、ここに叙述トリックがありそうなことは見当がつくのに、
それが、「どんな」ものであるかは、なかなか予想がつかない。
途中で、「あ」、と思いついたことはあるものの、それが、全体にどういう意味を
持っているのかがきっちりとは見えてこない。
ある程度の予想を・推理を読者に許しながら、それゆえに、さらに謎が深まってしまう。
こういう展開は、思わず歓声をあげるほど嬉しい。
そう、こんなふうに騙されるのを待っているのだから。
幸せなはずの結婚式当日、誘拐され、ひどい屈辱を味わわされた祥子。
しかも、大事なユウ君まで・・・。
犯人を見つけ出し、復讐を果たすために捜査を開始する祥子。
これが、1つの物語。
もう1つ。
目の前から消えた祥子を求めて必死で彼女を探そうとするユウ君。
なぜ、この2つの展開にこんなに差があるのか?
お互いの目から見る相手のキャラクターや、周囲の人物の反応に差がありすぎる。
そして、猟奇的なAV「13番目の生け贄」。
これをなぞったかのように起きる事件。
製作しているムーン企画の青年社長。
誰が嘘を言い、誰が本当のことを言っているのか?
読みながら推理して、それが当ってるかなと思うと、やっぱり違っている。
作者の思う通りに思考させられている快感。
この黒田研二の次回作が楽しみでたまらない。
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