◆青空の卵◆坂木司◆
(創元推理文庫)
外資系の保険会社で営業をやっている坂木司。
中学時代からの友人で軽い引きこもりの鳥井真一。
真一は、家から出ないでもできるプログラマ−。
中学時代に、いじめにあってひきこもった真一に
一方的に親友宣言をした司。
この2人の関係って、ちょっと不思議。
司は、ほうっておくと家からでない真一を買い物に
連れ出したり、何かと気にかけているし、
真一は、そんな司の感情の揺れに過剰に反応したりして
一見、真一が司に依存しているように見える。
司が傷ついたり、泣いたりした時に、子供返りする真一の
姿って、困ったものではあるのだろうけど、なんだか、微笑ましくもある。
お取り寄せで食材を調達しながらの、真一の料理へのこだわりも、
すごく、いいなぁと思う。
でも、実は、本当に相手に依存しているのは、
司の方ではないかと思えてくる。
共依存って言うのかな。
互いが互いに依存している。
その形は違っても。
引きこもって、不特定の人との接触を拒んでいるのに、
いろんなことへの真一の洞察力は、本当に素晴らしい。
むしろ、引きこもっているからこそ、よけいな夾雑物を排除して
まっすぐに真相を見ることができるのだろうか。
そんな真一だから、何かを使えるときも、真綿でくるむような
あいまいな言葉は選ばない。
一見、乱暴で、礼儀知らずにも聞こえるけれど、
相手におもねったり、人によって態度を変えたりしない、
ある種、すがすがしいほどのストレートさ。
司が持ち込む様々な事件を通じて人と接するうちに、
真一が、少しずつ変わっていく。
それにつれて、司もゆっくりと変わっていく。
そんな様子が、とても温かくて、嬉しくなってしまう。
3部作のタイトルに含まれる言葉が
「卵」「巣」「鳥」というのも、2人の成長や、はばたきを
暗示しているようで、早く先を読みたいと思う。
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