◆あなたに似た人◆byロアルド・ダール、訳:田村隆一◆
(SOMEONE LIKE YOU)(ハヤカワ・ミステリ文庫ISBN-4-15-071251-4)

収録:味(TASTE)
   おとなしい凶器(LAMB TO SLAUGHTER)
   南から来た男(MAN FROM THE SOUTH)
   兵隊(THE SOLDIER)
   わが愛しき妻よ、わが鳩よ(MY LADY LOVE,MY DOVE)
   海の中へ(DIP IN THE POOL)
   韋駄天のフォックスリイ(GALLOPING FOXLEY)
   皮膚(SKIN)
   毒(POISON)
   お願い(THE WISH)
   首(NECK)
   音響捕獲機(THE SOUND MACHINE)
   告別(NUNC DIMITTIS)
   偉大なる文章製造機(THE GREAT AUTMATIC GRAMATIZATOR)
   クロウドの犬(CLAUD'S DOG)



ロアルド・ダール、まさに短編の名手ですね。
その中でも、この『あなたに似た人』はピカイチではないでしょうか。

「味」
ワインの味から品種名や収穫量を当てる賭け。
ワイン通じゃない私には、甘口・辛口、ぐらいしか分かりませんが、
賭けの上で、少しずつ候補がしぼられていくさまは、スリリングでした。
そして、なんとも見事な結末!
冒頭の作品に相応しいですね。

賭けに関係する作品は、他に、「南から来た男」が、あとからじんわり利いて
くる怖さを持っています。そういえば、映画「フォー・ルームス」で、この
作品をモチーフにしているエピソードがありましたっけ。

賭けでいい思いをしようとしてとんでもない落とし穴にはまる「海の中へ」。
世の中、何が起こるかわかりません。

「おとなしい凶器」
うわ。従順な妻ほど怖いというところでしょうか・・・。
それを、そうしますか・・・。
それと、このタイトルの日本語訳のうまさに、うなってしまいます。
ストレートといえばストレートな訳なのですが、言葉の選び方がさすが。
だけど、やっぱり、最後のあの会話が最高の味を出しています。
推理小説にすれば、立派に長編が1つ書けそうなネタですが、やっぱり、
短編だからこそ、このインパクトなのかしらん。

女は怖いつながりで言えば、「わが愛しき妻よ、わが鳩よ」
まさか、そんなオチになろうとは。

人間の想像力ってすごいねぇと思わせてくれるのが、
「韋駄天のフォックスリイ」や「お願い」。
それが、恐怖にまで高まるのが「音響捕獲機」。これは、真剣に考えると、
もっと怖くなりそうなので、深く突き詰めたくないネタであります。

お腹の上に、猛毒を持った蛇が居座っていたりしたら、どれほど恐ろしいか。
それをまざまざと描いて見せてくれる「毒」。
こんな経験をしたら、人格も変わってしまいますね。

この本を読むきっかけになってくれた阿刀田高さんに大感謝です。

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