◆贈る証言◆夏樹静子◆
(講談社 ISBN4-06-210188-2)
収録:相続放棄の謎、贈る証言、十五年の真実、五十年後の遺志、離れの不審火
弁護士朝吹里矢子シリーズ。
独立した事務所を構えて早くも10年。
イソベン時代からの師匠?薮原弁護士も、頼りになる事務員のサキコも、
検事になった薮原の甥っ子志朗も、みんな健在。
シリーズのファンとしては、嬉しい限り。
この短編集は、相続にまつわる財産にからむ事件がほとんどです。
人と言うのは、億単位の財産がからむと、何をするか分かりませんね。
そんな中、「贈る証言」は、後味も暖かくて、ほっとしました。
他の作品も、里矢子と薮原の関係の穏やかさが、事件の悲惨さを
薄めてくれてはいるのですが。
だから、このシリーズが好きなのです。
殺人事件であっても、暗さや、絶望感を残さないでくれるから。
唯一の例外は「十五年の真実」。
かつて、恋人と別れる際に渡した青酸カリで、15年後に彼女が自殺?
そんなものを渡したことが罪になるかどうかよりも、
人を想う心の哀しさを感じました。
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