◆ある愛の詩◆新堂冬樹◆
(角川書店)


友人に誘われて行った小笠原の島で、
イルカと交流する力を持った青年拓海と出会った流香。
出会いのシーン、月の光を浴びた砂浜で、
1人流香が歌うシーンの幻想的な美しさ。
拓海にしか心を許さないイルカのテティスさえ
聴き入るその歌声。

無邪気に流香に近寄り、あっけらかんと「好きだ」と
告げる拓海。
なんて無邪気に微笑むヒトなのでしょう。
翳りなんて、かけらもないような太陽の微笑み。

天使の歌声を持ちながら、哀しい闇を心に秘めた流香。
彼女には、拓海の微笑が、どれほどまぶしく見えたことか。
それは、自分の気持ちに封をして、気付かないふりを
してしまうほどに。

そんな2人を見守る拓海の祖父留吉の持つ包容力。
幼くして両親を失くした拓海をテティスに引き合わせ、
天衣無縫な拓海の成長を、たわめることなく
見守っていた留吉の大きさ。

海の星
タコの木のブレスレット
美しいアイテムたち。
美しい島に似つかわしいものたち。

旅行を終え、東京に戻った流香を追って上京した拓海。
流香の心の中の闇に気付き、拓海のとった行動。
一時的に、流香の誤解を招き、キツイ言葉を
投げつけられいようとも、流香のためと信じて
行動する拓海の純粋な心。

素直になれない流香が、心にもなく投げつけてしまう
言葉を、受け止める拓海。
都会のブルードルフィンを見詰めながら、
ただ、流香のためを想う拓海の心

想いよ、流香に届けと、祈らずにいられない。


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