◆美しき凶器◆東野圭吾◆
(光文社文庫 ISBN4-334-72368-3)
かつて世界的なスポーツ選手だった4人。
彼らには、何がなんでも守らなければならない秘密が。
その秘密を守ろうと行動を起こしたとき、全ては始まったのです。
現場から逃げだした美しいケモノ。
<彼女>には、名前すらありません。
ただひたすら、目的のために突き進むのです。
本能のままに。
目的のためには手段を選ばない彼女の通った後には、数々の犠牲者が。
そう、恐ろしい娘なのです、彼女は。
でも、どうしても、憎むことなんてできませんでした。
だって、彼女の行動の元にあるものを思ったら、嫌うなんて。
警察は、彼女を恐ろしい凶悪犯として追い続けます。
彼女は、痕跡を隠すことをしないので、それは、難しいことではありません。
それなのに、ほとんど野生の勘と運のよさで、その網の目をくぐりぬける彼女。
追われるほどに明かになってくる彼女の正体に、切なくなっていきます。
だからこそ、そんなことはやめてほしかった。
そのまま続ければ、待っているのは地獄なのですから。
でも、そんな願いも虚しく、彼女はどんどん進んで行きます。
そして、その分、仙堂への憎しみも強くなって行きます。
彼が、スポーツ選手の筋力を不正な手段で強めようとしたのではないかという
疑いは、最初から持っていました。
でもでも、実際は、そんななまやさしいものではありませんでした。
よくも、よくもそこまで、人間が、同じ人間に対してできるものです。
冒頭で殺されていなければ、私が、殺したいぐらい。
それが、その思い上がりがたくさんのものを壊したのです。
ラスト、彼女の残した一言が胸に刺さります。
せめてもの救いは、有介とその妻小夜子の存在です。
彼らがいてくれて、本当によかった。
大切なもののために、女は美しい凶器になれるのです。
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