◆朝霧◆北村薫◆
(東京創元社 ISBN4-488-01280-9)
収録:山眠る、走り来るもの、朝霧
シリーズ当初は大学に入ったばかりだった「私」も、いよいよ社会人。
出会う人が違えば、遭遇する事柄も、当然、違ってくるのです。
でも、やっぱり、彼女が出会う謎は、優しい謎。
円紫さんも、あいかわらず優しげで。
「山眠る」
俳句の話が面白い。
詳しくはないけれど、17文字でいろんなことを表現してしまう世界に
憧れる気持ちはありますし。
中には、風景になぞらえた心境もあるでしょうし。
それにしても、先輩編集者に出された宿題を、円紫さんに手伝ってもらっちゃぁ
いけないわ(笑)
でも、そのおかげで、彼女は、思いもよらない世界を垣間見ることができたのですね。
それは、大人の世界、なのかもしれません。
「走り来るもの」
リドル・ストーリーを扱った話。
「女か虎か」は、あまりにも有名ですね。
王女は、どちらをおしえたのか。
男は、彼女が示した方を開いたのか?
そこから現れたのは?
幾通りもの可能性。
そのときによって、違った結末が見える話。
王女は、恋人が生き残ることと、他のいけすかない美女と結婚することと、
どちらを選ぶのでしょう。どちらが、より、辛くないの?
どっちにしても辛い事に変わりはないなら、少しでも辛くない方を選びたい。
男は、何を求めて最後の決断の直前に彼女を見たのでしょう。
そして、王女が、自分の求めた方を指したと信じることができた?
もう1つのポイントは、赤堀さんのリドル・ストーリー。
なんとも切ないお話。
でも、円紫さんが、どうやってこの結末を読み解いたのかは、実はぴんと
来ていない(^^;
「朝霧」
自分の祖先の過去のロマンスを見出すことは、不思議な感慨をもたらすでしょうね。
ましてや、それが、遠い子孫に読まれることを意図していない日記の中に
あったのだとしたら。
ほのかに香るロマンス。
静に、ゆっくりと、その謎が解けた瞬間は、素敵な気持ちになれることでしょう。
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