◆あなたの知らないあなたの部屋◆青柳友子◆
(新潮社 ISBN4-10-602707-0)


冴えないOLの伊都子。
偶然手に入れた鍵を使っていっときの夢を見ていたがために、恐ろしい事件に
まき込まれてしまいます。
他人の部屋にこっそり上がりこむなんて、とんでもないことですし、
この伊都子の思考回路って、どこか病的にゆがんでいるので、
ほとんど、同情する気にはなれないのですが。

そして、高級マンションに住む菜織子。
彼女も、かなり身勝手な思考回路を持っています。
昔の恋人と一緒に、とんでもない犯罪を計画するのですから。
でも、1億と聞いたら、理性がぶっ飛ぶのも無理はないですね。
ただし、菜織子は、もともと、すごく身勝手な人間みたいですけど。

そういう中で、菜織子のマンションの管理人の息子、玉男が、
1番純情なのかもしれません。
もっとも、一目惚れの彼女見たさに、覗きをしちゃうのを純情というのは
語弊がありますけど。
でも、世間に背を向けていた玉男が、この事件に巻き込まれて、
変わって行く様子は、なんだか、ほっとする要素でした。

物語は、「伊都子の章」、「菜織子の章」「玉男の章」と別れているので、
その人物の考えたことや、彼女(彼)の目にしたことから成り立っており、
そこに、しっかりトリックがあったりします。
珍しい手法でもないでしょうが、いろいろ空想・妄想を膨らませながら
読み進むことができるのがメリットですね。
つくづく人間って、自分のフィルターでしかものを見ないのだなと思っちゃいます。


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