◆悪意◆東野圭吾◆
(講談社ノベルズ ISBN4-06-182114-8)
人気作家日高邦彦が、仕事場で殺された。
第一発見者である野々口修の手記と、刑事加賀恭一郎の記録の繰り返しによって
物語は進んで行く。
加賀刑事は、早い段階で容疑者を特定して見せ、それにそった捜査を進めて行く。
そして、思いがけなく中盤において、犯人は逮捕されてしまう。
けれど、問題は、そこから。
犯人の動機は、いったい、どこにあったのか?
犯人が、その動機として語った言葉の裏づけ捜査を続けながら、加賀は、
すっきりしないものを感じとり、さらなる調査を進める。
そう、何か、すっきりしないのだ。
どこかに、そのすべてをきれいに説明する鍵があるはずなのに、
見つからない。
もどかしい思い。
犯人の説明は、一見、筋が通っているけれど、伝わってくる、
「それは真実ではない」という感じ。
過去と、現在をつなぐリングが見つからない。
犯人と被害者、その過去に置き去りにされた真実。
恐ろしい。人間の心は・・・。
相手を殺すだけでは足りなくて、とことん、貶めずにはいられないのだから。
いつものことながら、細かな伏線を散りばめておいて、
解決編でまとめあげてくれる手腕はお見事の一言。
ラストの加賀刑事の一言に、カタルシスが感じられる。
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