◆阿寒に果つ◆by渡辺淳一◆
美しく自由な少女時任純子。彼女は、阿寒この近くで自殺を遂げる。
発見されたとき、彼女は、生きていたとき以上に美しかった。
なぜ、彼女は自ら死を選んだのか。
彼女を取り巻く6人の目から、純子の姿を描く。
純子は、まるでニンフのような少女です。
美しく、奔放で、相手の自分への気持ちを振り回しては楽しんでいるような。
高校の同級生、彼女に絵をおしえていた画家、姉蘭子の恋人であった記者、
主治医でもあった医師、同人誌仲間の兄であるカメラマン、そして姉の蘭子。
彼らは、みな、それぞれの形で純子を思っています。
でも、純子は、それを、本当には受け入れることをしないのです。
なのに、彼らには、「自分こそは特別である」と思わせるすべを知っている・・・。
美人女子高生でもあり、芸術家でもある彼女は、そういうことがよく似合います。
いえ、むしろ、それが似合う自分を演出していたのか・・・。
内面の苦悩を打ち明けて本当に心を開くよりも、誰にも縛られない自由な自分を
見せつけることを楽しむかのように・・・。
それにしても、雪に散った鮮血というのは、ものすごく印象的。
白と赤のコントラスト。そこにいる美少女。
色白の美少女純子に、なんて似つかわしい背景。
彼女の最期の地が阿寒というのも、何度も訪れたことのある私には、
その雰囲気が伝わってきて、映像が見えるようでした。
雪はなくても、霧に煙る湖畔の美しさは知っていますから。
そんな中に、身を沈めて永遠の眠りにつく。
そんな空想は、純子ならずとも、どこか悪魔のささやきのような
蠱惑をはらんでいるような気がします。
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