Dorcus属

ヨーロッパ、アジアだけではなくアフリカ北部、北アメリカ大陸、オーストラリア北部にも生息する非常に広い範囲に分布する大属。コクワガタ属Macrodorcus、アカアシクワガタ属Nipponodorcus、アローコクワガタ属Hemisodorcus、ヒラタクワガタ属Serrognathus などが統合されており、Kikuta(1986)では、このほかにRhaetulusPseudorhaetusDigonophorusを含めている。


 subgenus Macrodorcas,Nipponodorcus,Hemisodorcus コクワガタ・アカアシクワガタの仲間

Dorcus nepalensis (Hope,1831)
   ネパールコクワガタ

分布・インドダージリン周辺、ネパール

体長・45〜78mm

写真のデータ・Darjeeling,India Apr.1992

特徴・ この近縁種の一群は前胸の形態が後に行くにつれ幅広く
    なる、体全体がオオクワガタ類に比べ細いなどの形質をも
    つ。高地のほうで得られるらしい。

流通・普通。生き虫も有り。

Dorcus macleayii (Hope et Westwood,1845)
       マクレイコクワガタ

分布・インドダージリン周辺

体長・42〜63mm

写真のデータ・Darjeeling,India Jul.1995

特徴・ ネパールコクワを細く、赤くしたような種。大顎の湾曲は
    弱く、前胸の後方は広くえぐれる。ネパールコクワとは同
    産地であるが混生しているかは不明。

流通・前種に比べると少ないと思われる。

Dorcus branaungi Nagai,2000
  ブラナウンコクワガタ

分布・ミャンマーカチン州

体長・42〜63mm

写真のデータ・Kachin,Myanmer Jul.1996

特徴・ マクレイコクワガタと体色が異なる。亜種関係か。

流通・ 少ない。

Dorcus donckieri (Boileau,1898)
   ドンキイエルコクワガタ

分布・インドダージリン周辺、ネパール

体長・44〜73mm

写真のデータ・Kennedy peak,Chin hills,Myanmer
                    27.May.1999(ssp hangpui )

亜種・ssp hangpui Fukinuki,2000 ミャンマー・チン州

特徴・ 図はミャンマー亜種の小型固体である。大型はネパール
    コクワに似るが大顎内歯の先端側が隆起すること、頭部
    が小さい、前胸後角の突起は横を向く点で区別できる。

流通・少ない。

Dorcus magdaleinae (Lacroix,1972)
    マグダレインコクワガタ

分布・北ベトナム、タイ

体長・32〜70mm

写真のデータ・Sapa,Lao-Kai,N.Vietnam Aug.1999

特徴・ 上翅が赤いアカアシクワガタの仲間。

流通・生き虫も流通している。

Dorcus fukinukii (Schenk,2000)
   フキヌキコクワガタ

分布・ミャンマー西部、インドダージリン周辺

体長・35〜49mm

写真のデータ・Kennedy peak,Myanmer 27.Mar.1999

特徴・ カチン州からはD.kachinensis が記載されているがシノ
    ニムとおもわれる。他のアカアシの仲間に比べ大あご
    が太い。

流通・フェアなどで見かけるようになった。

Dorcus kachinensis Nagai,2000
   カチンコクワガタ

分布・ミャンマーカチン州

体長・28〜40mm

写真のデータ・Dahatingzen,Myanmer 10.Aug.2001

特徴・上の通り

流通・前種よりも少なくはるかに高価。

Dorcus haitschunus (Didier et Séguy,1952)
     ハイチュヌスアカアシクワガタ

分布・中国福建省、貴州省

体長・28〜67mm

写真のデータ・貴州省雷山縣雷山林場 2004         

特徴・ 各フセツの付け根はアカアシクワガタ同様赤みを帯びる。
    上翅は黒色から赤色、大あごは太く、内歯ははっきりと出
    る。体格はかなり大型。上翅の光沢は非常に強い。

流通・ 最近は生き虫でも流通。

  Dorcus rubrofemoratus (Vollenhoven,1865)
        アカアシクワガタ

分布・ 日本、松前小島、対馬、隠岐、佐渡、粟島、朝鮮半島、
    シベリア

体長・22〜58.5mm

写真のデータ・山梨県塩山市大菩薩峠 20.Aug.1988

亜種・ssp chenpengi (Li,1992) 中国遼寧省、朝鮮、ロシア
    ssp miyamai Nagai et Okazaki,2005 中国四川省

特徴・ 夏〜秋にかけて高地の灯火や柳の枝に鈴なりについ
    ている。筆者は神奈川県中川温泉奥の白石キャンプ場
    跡地がお気に入りの採集地である。

流通・ 省略。欲しい人は山へ行きましょう。ただし、対馬や九州で
    は少ないように感じる。

ssp chenpengi

Mt.zhongtiaoshan,Shiansi Prov. 11-19,Jun.2002

Dorcus yamadai (Miwa,1937)
    ヤマダクワガタ

分布・台湾

体長・27〜62mm

写真のデータ・桃園縣巴陵 28.May.1989

特徴・ アカアシクワガタの黒化型。形態の差は乏しく以前は亜種
    の扱いであったが、近縁種の関係がはっきりしないことか
    ら種への昇格があった。(水沼・永井、1994)アカアシに比
    べ大型で太く、大顎が湾曲する。前胸背板の前角が突起
    するなどの点で区別される。

流通・ 以前は普通であった。日本のアカアシに比べると野外で
    の採集は難しい。

Dorcus montivagus (Lewis,1883)
    ヒメオオクワガタ

分布・北海道、本州、四国、奥尻島、朝鮮半島、中国

体長・29〜58mm

写真のデータ・福島県檜枝岐村 26.Apr.1999

亜種・ssp adachii (Fujita et Ichikawa,1987) 九州

特徴・ 高地のヤナギやカンバ類に秋口につく。多産地としては
    福島県檜枝岐村、栃木県栗山村、群馬県水上村、岐阜
    県恵那山など。北海道の分布は南部に集中しているよ
    うだが、筆者が幼少の頃札幌近郊で本種を得ている。
    幼い記憶ではあるがオオクワガタではなかった。当時は
    この種は図鑑に出ていなかった。

流通・ 50mmオーバーの人気が高い。

ssp adachii 熊本県椎矢峠 11.Sep.1987
Dorcus ratiocinativus Westwood,1871
  ラティオキナティブスコクワガタ

分布・インドダージリン周辺

体長・24〜34mm

写真のデータ・Darjeeling,India Jul.1995

特徴・ 体色は黒褐色、前胸は後部でえぐれる。複眼の後方に突
    起があり、似た種が多いが区別は容易。

流通・やや減少傾向。