カナーボン・1
(作成日99.6.27)
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「カナーボンで会おう」
リンゴ園で仲間と別れたものの、カナーボンでなじみの顔を見つけることはできなかった。せっかく誰かにあえるかと楽しみにしていたが、会うことができず急にカナーボンが魅力ある町には見えなくなってきた。
とりあえず、バックパッカーズホテルに荷物を下ろした。簡単に仕事は見つからないだろうと思い、一週間分のホテルの料金を支払った。身軽になったところで町をぶらつき、漁船の並ぶ港へ足を運んだ。
「SEA・PEARL」という船が、採った魚の箱を積み出していた。船員とおぼしき人に仕事はあるだろうかと聞くと、船長に聞いてみな、と船のほうを指差した。
船長は、船室で日誌のようなものに書きこみをしていた。ビジネスマンタイプで、先ほどの船員より知的な感じである。
「漁師の経験はないが、仕事はできるだろうか」
「ブルーウォーターは大丈夫か」
「ブルーウォーター?なんのこと」
と聞くと、船長は吐くまねをした。船酔いのことか。私は学生時代ヨットに乗っていたので、船酔いは大丈夫である。
大丈夫だというと、今夜船がでるので、出発だという。
あっけなく、仕事が決まってしまった。
宿に帰って、仕事が決まったからというと、宿の親父さんは、船はなんだいと聞いてきた。「SEA・PEARL」だというと、それはよかった。ジョンは優秀だから水揚げも多いよ。といって、1週間分の宿代をそっくり返してくれた。船長の名前はジョンというらしい。
船は、一回沖に出ると、2週間港には帰ってこない。南極のほうまで行くのかなと思ったが、実は、近海をぐるぐる回ってエビと帆立貝をとり、冷凍していく。2週間たったところで、水揚げである。
市場でそれをセリにかけ、売れたお金をみんなで山分けするのである。船長は二人いて、交代で2週間ずつ船に乗り、クルーは4、5人といったところである。
船長は交代の間何をしているのかよくわからないが、クルーは水揚げのため、一日港に停泊しているその日だけが休みである。
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