バイクの旅・3
(作成日99.6.19)
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危ない羊とトレーラー

バイクで走っていて恐いのは、羊とトレーラーである。
羊は堂々と道路を横切っている。バイクが近づくとたいていは逃げていくが、一度バカな羊がいて、まっすぐ走ってくるバイクに向かってきた。危うく正面衝突だったが、なんとか避けた。転倒することは無かったが、少し接触した。
羊はなんともなかったようでそのまま逃げ去ったが、バイクにはいたるところに、天然ウール100%がひっかかっていた。
トレーラーとすれ違うことがある。オーストラリアのトレーラーはすごい。まるで、列車が線路をはずれて走っているかのようである。タイヤの数を数えたら、64個あった。トレーラーが遠くに見えると、それだけで眠気がさめる。またトレーラーとの真剣勝負が始まるからである。
オーストラリアのハイウェイは、トレーラー1車線分しか舗装がしていない。その横は、ブッシュではないが、土の道である。トレーラーが近づいてくるとこのトレーラーに道を譲るために土の道にはいる。ジェームズディーンのまねはできない。
ここでスピードを急にゆるめるとかえって危険である。グリップを失って転倒しやすくなる。土の道でガタガタしてくる。そしてトレーラーとすれ違う瞬間は、台風の中にはいったかのようなすごい風圧に見舞われる。全身をまるくして、ぐっと耐えなければいけない。
お互い100キロぐらいで走っているので、すれ違う時間はわずかなものだが、何せトレーラーは長い。かなりの時間、暴風に耐えなければいけない。
すれ違い終わるとポンと風の圧力からは開放されるが、まだトレーラーの巻き上げた砂ぼこりの中である。しばらく走らせてやっと砂ぼこりもおさまる。いやはやさすがに映画になるだけのことはある。
醍醐味
バイクの旅で最高にいいのは、自分が風になっていると感じる時だろうか。作家、片岡義男が、バイクハイという短編小説を書いている。ハイというのは、ちょっと酔っているというか、麻薬がちょっと効いているときのようなことをいうが、これは誰でも経験があると思う。
ランニングをしていて、最初は苦しいのが、しばらくすると急に楽になって後はもうどれだけでも走れちゃうという時がある。これはランナーズハイと呼ばれている。
バイクにもそれがあって、バイクに乗っているとヘルメットで頭が押さえつけられて、なおかつ振動が全身を包むので、次第に頭がボーとしてくる。これは安全運転上ではよくないことかもしれないが、とても気分がよくなる瞬間である。
まるで自分が風になったかのように感じる。少し蛇行運転をしてみたりもする。別に回りに車がいるわけでもないので大丈夫だ。このままバイクとともに空が飛べるのではないかとさえ思えるようになってくる。そこまでいくと危険なので少し休憩をとったほうがいい。
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