お得号(190E)と家族のため号(190 2.6 sportline)の比較
ベンツはノーマルに限ると思います。でもベンツでも少しは走りを意識したくなる。
ベンツ社の乗り心地の設定は明らかに万人向けに変化してきています。     
ニフティーのFICARNの3番会議室に書いた文章です。貴方も足回りの病気にな
りませう   どよ〜ん                           


我が家には2台の190Eがあります。これがどちらも似たような走行距離
です。ところが、エンジンも違うし、足回りも、シートも全然違うんです。
その比較報告です。

A お得号('86 190E)

走行距離 54.600KM 白 中青布 

B 家族のため号('90 190E 2.6 SPORT LINE)

走行距離 54.900KM スモークシルバー 中黒スポーツシート 車高低 


*           *          *

Aは私で3オーナー、これぞベンツのボールナットステアリングフィール。
このステアリングフィールだけでも車の価値が上がる。シートは傾いている
ものの、疲れ知らずのソフトなバネ効果。車両の動きと相殺できる時は最高
のハーモニーを奏でる。新車価格530万円は確かに高かったが、この車を
買ったベンツ好きは納得したであろう。ブレーキが、シートがロードノイズ
の遮音が、エンジンのアイドル時の振動の少なさが、高速道路の速さ、安定感
があのサイズで他に無いくらいのクオリティーを感じさせてくれる。
内装の耐久性の良さ、ボディー剛性の高さ、各部操作系のしっとりとしたタッ
チ。色気なぞ微塵もない、どんくさい見かけの車が 

 抑えるところをしっかりと抑えた車が如何なるモノか?

を分からせてくれる。ところが、運転フィールの個性は、時に自由度が全く
無いことも分かる。シートの動きの不調和が、常にアンバランス感を自覚させ
る。免許をとって最初の車が、190や大型ベンツだと、これがいいわ〜に
なってします。他のビビットな運転する世界を見ずに収まってしまうことにな
る。これも考え物である。

いや町乗り車なんてそれでいいのかもしれない。制限速度を我が日本人のコン
センサスを得たものだと疑問も持たずに受け入れられる人ならば、ベンツで終
わればいいのだ。何も多くの女性とおつき合いしたから偉いわけでもなく、幸
せになれるとも限らないんだし。

さて、くだらない話は置いておいて、Aは私に必要な 身の程、分別、落ち着
き 寛容なココロ とかの言葉が具現化して感じさせてくれる。全て込みでも
40万円にならないのが素晴らしい。

新車ならこんなことも言えなかったが、現在の中古車の最低価格ラインに存在
する190は 10年たって 単なるボロい車の仲間入りをした様に見えるか
ら好都合なのである。

ところが、どうしてもAは肝心のベンツの190の動きと遠いところが存在
する。これにいらつきながら、つまらない都内の運転のつまらなさと、車の
つまらなさをマッチングさせて怠惰に運転して何とか精神の安定を得ている。
少しは大人になれるかもしれない。

それと、いつも感じる「いらつき」は、町乗り車の怠惰な運転の中で多少なり
とも頭脳とセンサーを常に働かす効果もある。つまらない町乗りが、面白さを
感じさせているのでもあるのだ。完全に無感心にならないところがいいのだろ
う。


Bは、過去のベンツを自己否定したのか、変な車である。

それは、車体の動き、タイアの動き、操作系のマッチングにアンバランスが感
じられるからである。徹底さを捨て、普段の偉そうな態度を翻して主張を曲げ
た照れみたいなのが感じられる。開き直っていないのがベンツらしいが、この
頃から「スポーツ」などと言う、危なげなモノに手を出し、顧客に迎合してい
ることを自ら認めだした。すなわち、ベンツって飛ばして運転することが面白
くない車であることに、自ら我慢できなくなったのかもしれない。

ちょっと飛ばす楽しみみたいなガキ的な色気を探ってしまった粗相を
見せ始めたのが、この年代からの「スポーツライン」の設定である。
それまでの乗用車のベンツは、国別設定はあれど、特殊車両を除き、
バネレートは1車種1種類路線だったのだ。バネレートは車の動きの基本で
ある。クラウンにアスリートを求めだしたのと同じ。

伝統的な和菓子のお店に、カスタードクリームを入れて美味なお菓子
を並べてしまったとでも言おうか、良妻賢母の割烹着の似合うお母さんに
その割烹着の下に、スリット入りのスカートや網タイツをはかせてしった、
と言ったら下品だろうか・・

Bはあくまでもベンツ社が求めてきて提供してきた車の動きとは違う。
飛ばしたくなってしまうのが基本的にいけない。横Gを与えない様な運転を
オーナーに強いてきたのに、横Gを味わいたくなる設定になっている。

乗れば、ノーマルのベンツに比べて駄目な部分が目立つ。タイアのグリップを
直ぐに引き出したくなって横Gの立ち上がりを感じさせてしまったり、タイア
のバタツキが増大したり、大きな路面での車体の動きが速すぎたり、悪路での
乗り心地は当然悪くなる。これはベンツの乗用車が目指してきたモノと反対
だ。

社会悪である飛ばす運転をしたくなってしまう面白さに抗しきれない。
本来、男の子(当然女の子も)にある筈の欲求を抑えつけてきたのだ。
ナビと言う雑誌で、ベンツはとてもいいとサーキット試乗で書いて
あったが、私には理解できない。少なくともハンドリングの妙味ではなく、車
体剛性、ブレーキ剛性、各部取り付け剛性、等の動的高品質感と、決められた
枠で走る範囲での統一感の高さを評価したのだと想像している。


190の設計者はもし買ったとしたら、AとBのどちらを自分で買ったのだろ
うか?

Bを買った人は、面白みと一緒に中途半端を購入した筈だ。


Bのエンジンは、ベンツ社としては特別なフィールを実現できたエンジンだろ
う。その前の縦目コンパクト、羽ベンの時代の6気筒のエンジンは、
名器と言われ、線が少し太く、質実剛健だし、吹け上がりもそこそこ軽快で、
振動も少なく、ガッチリと仕事をしていた。

それに比べて何だ、あのフっと際立つ繊細で高精度さを感じさせる
シュワーーンと回るこのエンジンは!
ベンツの鈍くささ、重さと合っていない。最後の1500回転で本領を発揮す
るエンジンなんて町乗りに不向きである。

W126 W124 W201に積まれた、SOHCの6気筒は
もの凄く線が細い。同じ年代のBMWの6気筒と比べれば、エンジン自体の
大きさが遙かに小さく感じる。振動の粒の小ささは比べモノにならない。
それが換えってエンジンの存在感を希薄にしている。ちなみに、日産のRB
の6気筒と比べてみると、その違いは・・・

低速トルクが弱いから、AT車とはミスマッチ。
その上、アクセルの開度が3分の1くらいまでは、スロットルが開かない様に
カムが入っているから悲惨である。ローはギア比が低く、セカンド発進だから
もっと悲惨。ローを使うと例のハイカム効果で高回転の一部だけで頑張り過ぎ
た走りになってしまう。

都内で適当にキビキビ走り回る様な運転を完全に否定しているのだ。
東京の渋滞なぞ考えていなかったのだろう。
日本のオーナーは相当おっとり走るか、時に下品に猛進することしか許され
なかったのである。
高速道路のリミット付近でBMWに勝ればいいってのかい?

BはバネレートがAより数割は硬い。機敏な動きをしたくなる。
それで、ステアリングのギアBOXのギア比を速くした。
となると、あのバカでかいステアリングだとマッチングが悪い。
W124より1cm小さいステアリングの外径をまた1cm小さくして
Bの足回りに合わせてきた。シートもあのブワンブワンシートではロール、
横Gで横滑り状態。色々な体系の人には合わせ難いバケットタイプを使って
しまった。

さて、この世界となると、BMW他、上手な車のセッティングをしているメー
カーは山のようにある。ステアリングはそれでもボールアンドナットで鈍く、
滑らか、重厚だが機敏ではない。バネは硬いとは言え、ショックの低速ピスト
ン速度での滑らかさを捨てきれないから鷹揚に上下する。悪路でのグリップ力
は失いたくないんだろう。

高回転を使って飛ばそうにも、ATは一呼吸のムーン状態
FRなのに、リアを制御し難いATを含めたパワーハンドリングの悪さと
デフが効かないもどかしさ。500EとM5になってもこれは全く同じ。
MTだったら500Eの足回りは大きく変更させられただろう。
そもそもトラクションコントロールを入れるなんてATの初心者運転
をも考慮しないから必要になるのだ。ドライバーなんて信じていないし、
あくまでも世話を焼くタイプがベンツなのである。それを受け入れる若者
に問題があるか無いかは問える立場ではない。


Bは、所詮 町乗り親爺バビューンの世界に住む車である、中途半端な車の
範疇の一つの車なのである。町乗り車は基本的に中途半端だろ?と言われれば
その通りだが、それにしては、「最善」とかよく言ったものだ。


それにくらべて、Aは純粋だ。危ない運転は駄目、車のコーナーリングを
ドライバーが選んで変えようなんてことは、絶対にさせないし、その気も
失せる様にしている。コーナーだけで言えばつまらない車の最右翼。

でも他のつまらない車とはかなり安定度が違う。限界ドライブの6割まで
を完璧にこなす車、でも7割は絶対にできない。タイアのグリップ力も
そもそもスポーツカーの7割くらいにしか設定していないからピッタリ。
新しいベンツは6割を7割にしたから、ベンツ臭が減ったのである。

我が家のAは まだ完全な190ではないのが難点
我が家のBは 元々中途半端で弱点が露呈している上に要整備がある。
       でもって中途半端を脱したくなるから問題。

    *        *         *

こんな事を考えながら、2台のベンツに乗っています。
性格が暗いので、いつも悶々としています。

河合さんにお借りした、ボクスターはオープンカーとして最高の季節を
堪能させてくれます。ただ、単なる町乗り車となるとお得号も相当いい。
そう思わせるところが、町乗り専用車のベンツの凄いところだ。
ドイツ車体質になっていれば、これが国産快適サルーンだとボクスター
から降りた直後に乗ると印象が随分とちがう。


AとBで、どっちが運転したくなるか?      B
車体の動きで好きな方はどっちか?        B
エンジンの気持ちよさは?            B
日本のドライバーとして具合がいいのは?     A
ベンツを受け入れるに都合いいのは?       A
車としてバランスが取れているのは?       A
長距離を走るとして 乗りたいのは?       B
ベンツを選ぶってことは?            A
いらいらすることが多いのは?          B
これから故障が多いのは?            B
通勤だけなら?                 A
これからモデファイして乗りたいのは?      B

 けっこう気に入っているのは?         B


どうも素直な自分では、190 2.6 SPORT LINE に乗りたい様です。
でも、時に乗ると、嬉しいんだけれど、気になる度爆発とでイライラします。

ベンツが2台あって幸せな状態であります。1台体制の人に勧めるとしたら?
Bのノーマルでしょうか。BのスポーツはC36を運転する喜びに近いモノが
あります。
Bは完調なら、ここ30年を振り返って小さいベンツの中では出色の出来であ
ると思います。アンバランスに悩むけど。

私は、ベンツが好きなのか 嫌いなのか分かりません。

数年前に脱ベンツを図った筈なのに、どっぷりとベンツに浸かっております。
190も奥が深いです


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