「市政改革マニフェスト」にもとづく2006年度予算案の特徴(談話)
「市政改革マニフェスト」にもとづく2006年度予算案の特徴(談話)

2006年2月23日
大阪市役所労働組合
齋藤彰英


1 削減効果832億円、総額2,829億円圧縮の緊縮予算

 「市政改革マニフェスト」にもとづいた初めての2006年度予算が2月22日に発表されました。
 一般会計は1兆6,531億円で、前年度より753億円(4.4%)の減少。特別会計も2兆4,714億円で2,075億円(7.7%)の大幅減少。予算総額は、前年度より2,829億円(6.4%)も下回る、かつてない緊縮型となっています。

 「市政改革マニフェスト」では、5年間で2,250億円のコスト削減を目標にしていますが、人件費や公共事業費の見直し効果で832億円を削減するとしています。
 また、借金である市債残高は、5兆5,187億円で前年度より478億円減少します。市債残高が減るのは、戦後初めてのことです。マニフェスト効果ではなく、バブル崩壊後に公共事業費を削減した効果がようやく現れたかたちです。


お年寄りには課税を強化

歳入では、市税が45億円(0.7%)の増収を見込んでいます。減収が続いていた個人市民税で135億円(13.7%)、法人市民税で74億円(5.7%)の増収です。個人市民税が増収に転じたのは、市民の雇用や所得が改善した反映とは言い切れません。税制改悪による老年者控除や老年者非課税措置の廃止、公的年金等控除や定率減税の見直しなど、むしろお年寄りへの税負担強化による増収を反映しています。反対に固定資産税は、地価の下落と3年に一度の評価替えもあって136億円(4.9%)の減収となっています。その結果、市税収入はほぼ横ばいです。


市民に痛みを押し付ける

 予算案は、くらしの分野では市民に痛みを押し付けます。粗大ゴミを有料化(1個200円〜1,000円)、新婚世帯家賃補助を月5、000円の引き下げ、生活保護世帯に対する水道料金の基本料減免や市営交通料金の半額減免を廃止、火葬料や市営の斎場式場の使用料引き上げなど、市民サービスの見直しで約10億円の市民負担増になります。また、介護保険料の月額基準額を3,580円から4,780円に大幅引き上げ、国保料の算定方式の変更で低所得者の保険料が4倍になる試算も出ています。

市民の声も反映

 昨年の市長選挙でも争点になった「敬老優待パス」は、市民の運動によって無料制度が継続されました。「市政改革マニフェスト」で「廃止について検討する」とされていた重度障害者給付金・難病見舞金も継続されました。これは市民の運動の大きな成果です。
 また、「なくさないでほしい」と多くの市民から願いが寄せられた児童館、勤労青少年ホームは廃止されますが、その施設を利用して「子育て活動支援事業」を行うとしています。施設利用は無料が予定されており、これも市民の声が一定反映した結果となっています。

2 行政サービスを低下させる職員削減と不当な賃金削減

職員751人を純減・職員年平均26万円の賃金カット

 交通・水道を除く人件費は前年度より351億円(9.6%)を削減する計画です。市長部局の職員を751人純減することによって59億円、賃金のマイナス改定で60億円、超過勤務手当の抑制で6億円、特殊勤務手当・調整額の見直しで33億円など、一人当たりの賃金は年平均26万円のカットになります。しかし、賃金のマイナス改定は、昨年秋の賃金確定交渉で市当局が労使合意を追及することなく、しかも議会にもはらずに強行した不当なものです。特殊勤務手当・調整額の見直しも、予算案発表の時点では労使交渉中の事項です。それを一方的に予算案として発表して、既成事実化をはかる市当局の態度に対して市労組は団体交渉でも厳しく追及していきます。

市立大学の独立行政法人化・健保組合の負担割合の見直し

 4月から市立大学を独立行政法人として市から切り離し、職員990人を法人職員に移行することで221億円削減、健保組合の事業主負担の割合を引き下げることで17億円削減など、「その他の見直し」で192億円の人件費削減です。これが「改革」に値するでしょうか。


3 破たんした第3セクター支援、都市再生の名による開発には手厚く

赤字3セク支援は継続

 「身の丈」改革といいながら、第3セクター支援や新たな巨大開発はあくまで推進します。特定調停が成立したATC・WTC・MDCの3社には家賃・補助金として63億円、事実上の倒産である会社更生法を昨年10月に適用した大阪シティドームには、引き続き補助金1億2500万円を支援します。しかし、大阪シティドームを売却する入札が不調に終わり、混迷を深めています。

ムダ使いの開発は優先

 「市政改革マニフェスト」では、公共事業を5年間で1100億円削減することが盛り込まれています。しかし、ムダの象徴となっている北港テクノポート線・夢洲トンネル建設に107億円、新人工島の整備に87億円、夢洲に水深16mのコンテナ埠頭整備に12億円など、湾岸開発には多額の予算を組んでいます。
 また、売却できないでいる市土地開発公社の塩漬け土地の買収に70億円、梅田北ヤードの土地区画整理や高速道路・淀川左岸線2期工事にための予算も計上しました。あくまでのムダ使いの開発は優先します。

生活密着型の公共事業は削減

 ムダな公共事業が継続する一方で、生活密着型の公共事業は大幅に削減しています。市営住宅の建設整備には前年度より86億円(35%)の大幅削減、小中学校の整備・校舎耐震工事等で14億円(15%)、特養ホームや老健施設の整備も15億円(58%)の削減です。市民の身近な公園整備も9億円(13%)、安全確保のために治水・浸水対策でも31億円(15%)の削減です。市政改革マニフェストで掲げられた公共事業削減の内容は、市民生活に密着する事業が削減の対象になることが明らかになりました。


4 市民とともに命・暮らしを守る予算に

 これまで大阪市政は、「官僚型開発行政」とでも言うべきものでした。これに対して、「市政改革マニフェスト」にもとづく06年度予算は、「民間企業型リストラ行政」を強要しています。市労組は、そのどちらもない「第三の道」である「民主的永続可能型行政」を提唱しています。市役所を「経営体」でなく「住民の福祉・安全の向上を支える専門組織」であると考えています。住民に対する考えも、「税金を払って行政サービスを受けるお客さん」ではなく、「市政の主人公」として位置づけています。だからこそ、「市政改革マニフェスト」の問題点や市民生活への悪影響について機関誌等での宣伝、民間労働組合を含む市内の各団体に積極的に対話・交流に努めてきました。今後は、各行政区で「市政改革マニフェスト」について市民と自由に討論するタウンミーティングの開催を呼びかけています。

すでに市民の運動によって敬老パスの無料制度や重度障害者・難病見舞金の継続を勝ち取りました。さらに、マニフェストで盛り込まれた高齢者の上下水道料金の福祉減免、市営住宅家賃の福祉減免、保育所保育料の値上げなどを06年度予算では許しませんでした。児童いきいき事業の有料化をストップさせ、学童保育への補助金削減も許しませんでした。  
 市労組は、「市政改革マニフェスト」に対抗して憲法・地方自治を生かし、希望ある21世紀をめざす目標と提言「こんな大阪市と日本をつくりたい」(構想案)を発表しています。大阪市をよくする会や大阪市対策連絡会など、市民団体とも共闘しながら、「市民の命・暮らしを守る予算」「職員が誇りとやりがいをもって働くことのできる職場」の実現にむけて奮闘します。


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