2001:年の瀬の第九・カルミナ日記
2001/12/27(木)
フランクフルトの微笑み2回が昨日おわりました。一行は今日ボンへ。新年7日にチューリッヒで再び合流します。
ぼくの方は明後日「因縁の」ロストックに向けて発ちます。微笑みでスー・ホンを歌っているテノールのひとりが、カルミナを得意にしており、バリトンの第16番の裏声のところがえらく難しくて演奏会のたびにとなりで歌っているバリトンが四苦八苦しているのをしっている、などと話していたうち、ホテルの部屋でにわか稽古をつけてもらいました。
ウーン、ぼくとしては結構有意義なヒントをもらったつもり。いま自分でためしていますが、今年ははてどうなるか。
でもことしは
29日 ヴィスマールWismar
30日 シュトラールズントStralsund
という、ロストックRostockから出かける2公演が、前半カルミナ・後半第九というマラソン演奏会なもんで、これも未知の世界です。前後半ともに70分以上ですから演奏会としては長いですねぇ。
| 無心床さんのヒント いやあ、ドイツの地名がいっぱい出てきて・・・。 場所のさっとわかる方法はないかと思って見たら http://www.kyoto.zaq.ne.jp/germany/ というサイトを見つけました。 で、ここからこういうのも見つけました。 http://www.stadtplan.net/home.html ドイツ語はわからないけれど検索だけならできそう・・・。 |
2001/12/29(土)
今ロストックRostockに来ています。あすから三日間の演奏会です。フランクフルトでは24日が雪、25・26あたりが暖かくなったあと、27日にまた雪。きょうはおだやかな1日でした。22時にロストックにおりてもあまり寒くなかった。
よいお年をお迎えください。
2001/12/31(月)
公演に忙殺されておりましたが、年末のご挨拶をかねて簡単にご報告いたします。
28日。昨年と同じロストックのホテルに入る。
29日。昼頃ヴィスマールに移動。オケも合唱も昨日到着したばかり。今回はポーランドとハンガリーの混成チームで、カルミナ・ブラーナをレパートリーにもっているブダペストの劇場と、今年夏に公演したばかりのポーランド・シュテッティンの劇場からやってきた面々。指揮は去年と同じエラルド君。
全員経験者ながら、共演ははじめてだから会場練習が意外に手間取る。指揮者の指示も英語で通じない部分はポーランド語とハンガリー語が飛び交って通訳。しかも前半第九・後半カルミナと演奏時間150分近くのプログラムなので、客入れ時刻ギリギリまでオケ練習が続いた。ソリストはかろうじて夕食休憩に劇場を出る。
昨年と同じ曲を一年ぶりに扱ってみると、感触の違いを随所に感じる。同じ指揮者なのでテンポ感などが想像つくのは大きな安心材料。40代に入って以来、ゆっくりと中低音が太くなりはじめて、其れにともなって高い音への登り方のプロセスが変化してきていることは、こういう二曲には如実に表れる。ことにカルミナの中低音域のフレーズは充実してきたように思われる。昨年失敗してしまったファルセット(裏声)のフレーズも今年は一応クリアできた。「裏声は軽くだす」という固定観念を意図的に捨てるのはなかなか工夫が要るところだが、これは「微笑みの国」で同行したテノールでカルミナを得意とするインゴ君のアドヴァイス。息漏れを怖がらずにフルヴォイスとおなじような腹の支えをつけてスピード感もって歌ったらはまった。もう少し明るいファルセットにしていきたいところが今後の課題。
11番「飲み屋にて」は高いソの音が一曲のあいだに12回、ラが一回、その他もドからミの間ばかりという、バリトンにとっては非常に極端な曲。ここには「高い音へ登り方のプロセスの変化」ということが、目下のところ裏目にでている感がある。登り方が太くなりはじめている分、でたときのソはいい音になってきているだろうが一層のパワーとコントロールが必要なので、12発全部持たない。これは大きな課題。体や技術の変化、音楽観とフレーズや音色への趣味の変化、それにともなうレパートリー選択の変化・・・・。こういうことには敏感でいたいと思っているが、その結果、以前扱った曲を再演したとき、できることとできないことの個所が変化しているというのは厄介ではある。でも、カルミナの高音の処理というのは、きっと「無口な女」の床屋に多く通じるものでありそうなので、新年早々のテーマにしなくちゃ。
30日。ホテルの朝食が11時までなのをいいことに寝坊。公演後一時間バス移動してホテルに戻ったので疲れてた。雪のロストック市内をしばらく散歩し、北海漁港の町らしいフィッシュレストランで昼食を取る。ごった煮風の魚スープは、通常ハーブを効かせて生臭さをとることに躍起になるドイツ魚料理と対照的で、魚好きにはありがたい。
今晩の公演はシュトラールズント。東に約100キロ走ったポーランド国境近く。夏ならばヴァカンス客の大渋滞で有名な国道を走る。これに並行するアウトバーンは統一直後からの課題だが、あいかわらず全面開通には程遠い状態。
こういうマラソンプログラムを2日連続で公演するのは少々喉の負担が大きい。課題は昨晩同様。1日じゃ解決できないわねぇ。
31日。ウーン、結構疲れてるが今日は第九だけなのでホッとする。第九の第一声
O Freunde!の O と、カルミナの第一声 Omnia
sol temperat のO は両方とも中音域のラの音。前者はフォルテ、後者はピアノ。これを意識すると第九の出だしが乱暴になり、加えて喉が十分に開かずに共鳴腔が狭くなる。カルミナのようにソフトに入ってすぐにアクセル一杯にしてエネルギーを急上昇させたい・・・、というのが昨日今日と考えているポイントだが、はて成果や如何に。昨日、一昨日は非常に音響の乾いたホールだったが、きょうは昨年とおなじニコライ教会で、よく響くのできもちよく歌えそうだ。