villiさんととおるの交信記録

首都オペラ公演「ラ・ボエーム」へのプッチーニのファンのvilliさんの感想に、田辺とおるが応じたやりとりです。villiさんの許可を得て、その記録をご紹介します。

villiさんのボエームの感想

 首都オペラ公演の「歌劇ラ・ボエーム」を神奈川県民ホールに見に行きました。
 席は1階1番後ろのど真中。当日券だったのですが、いい席が残っていました。前の席は小柄な女性。視界良好。右隣は空席、左隣は細身の女性。これで肘掛け上の醜い領土争いの心配無し。おかげで気合も入って来ました。

第一幕
 作りかけのガード下。車のスクラップ。工事現場のような壁にはマルチェロが描いたのでしょうか?色々な落書き。ビールケースに座っているロドルフォ。全くもって意表をつかれました。なかなかグッドです。でも、ここにミミが一人で訪ねて来るのは不自然じゃないか?いやいや、ここにブノアが家賃を取りに来るのはもっと不自然だ(笑)等とくだらないことを考えてしまいました。
 「ファラオを溺れさせてやる」と、紅海に青い絵具をかけるマルチェロはとても良かったです。残念だったのがロドルフォが自分の原稿をやぶく時と、一人残ったロドルフォが原稿を書く時。せっかくオケが紙のやぶける音、ペンを走らせる音を出しているのだから、ロドルフォもそれに合せて欲しかったです (ってこれは私の勝手な解釈。失礼(^^;)
 注目のブノアは黄色い現場メットと懐中電灯で武装しての登場。思わず吹き出してしまいました。
 あと面白かったのは、ミミのアリアの後に何方かが叫んだ「ブラバー!!」。これに圧倒されて拍手のタイミングを失ってしまいました(笑)
 ロドルフォが仲間を先にモミュスに行かせ、振り返ってミミの方を向くところで、バックが凱旋門になりました。この演出は嬉しかったです。
 ここからは2人の世界。もうどこへでも行っちゃって下さい(^^;
 第一幕が終わって降りてきた幕には、燃え残ったロドルフォの原稿の絵が描いてありました。これまた嬉しい演出です。

第二幕
 ボエームの第二幕を見る時、いつも私が注目しているのは、「ムゼッタが皿を割るか」です。今日のムゼッタは景気良く割ってくれました。満足満足(笑)
 それから竹馬の人。とてもお上手でしたね。あの人も歌手なんでしょうか?
 この二幕はクリスマス一色でした。パルピニョールがクリスマスツリーに仮装してれば、軍楽隊は全員サンタ。ショッピングカート隊も大活躍 (ってこれはクリスマスとは関係ないか(^^;)
 後、だだをこねる子供にマルチェロが馬のおもちゃを買って上げていました。これも素晴らしい演出だと思いました。(マルチェロでしたよね?)。マルチェロはどこまでも優しくいい奴でなくてはいけません。(子供におもちゃを買って上げちゃうのが教育的にいいのか?は無視(^^;;;)
 今日の優しく頑固で不器用なマルチェロを演じた(歌った)田辺さん。素晴らしかったです。
 そそ、ショナールのズボン。あれいいな。どこに売ってるんだろう(笑)

第三幕
 この幕の注目は雪です。
 今日はなかなかの「豪雪」でした。開幕と同時にわっと降らせて床に積もらせる。
ソロが歌い始める頃にいったんやみ、最後にミミとロドルフォが2人になったところでまた降らせる。パターンはいつも通りでしたが、最後の雪の中のミミとロドルフォは、セットがシンプルだっただけに見栄えがしてとても奇麗でした。
 いつも思う疑問なのですが、舞台上に降る雪はどうしてオーケストラボックスに落ちないのでしょう?

第四幕
 三幕の雪どうやって掃除するのだろう?と思っていましたが、そのまま残して上手く使っていました。
 四幕にも一幕と同じ「ペンを走らせる音」がありますが、こんどのはちゃんと合っていました。
 四幕と言えばマルチェロの女声とチャンバラです。どちらも楽しそうでした。チャンバラの時に剣として何を使うかに演出家のセンスを感じるのですが(^^;。今日のはなんだったのでしょう?良く使われる「ほうき」ではなさそうなだけに、確認できなかったのは残念です。
 しかし今日のボエームは最後まで意表をついてくれます。ムゼッタに連れられてミミが入ってきた時、用意されたのはベッドではなく車のリアシート。徹底してますね(笑)
 でもそんなところが実に楽しかったです。
 一幕から四幕まであっと言う間に終わってしまいました。


田辺→villi:


 はじめまして。田辺とおるです。

 こういう方が聞いていてくださったのか、と心より感謝いたします。なによりも、メモとりながら聞いていらしたのではないか、と勘ぐってしまうほど細かい観察に感服いたしました。

 ぼくのマルチェッロもお気に召していただけたようで、嬉しくおもいます。以下の一文、とりわけ幸せな気持ちで拝読いたしました。

>後、だだをこねる子供にマルチェロが馬のおもちゃを買って上げていました。
>これも素晴らしい演出だと思いました。(マルチェロでしたよね?)
>マルチェロはどこまでも優しくいい奴でなくてはいけません。
>(子供におもちゃを買って上げちゃうのが教育的にいいのか?は無視 (^^;;;)
>今日の優しく頑固で不器用なマルチェロを演じた(歌った)田辺さん。
>素晴らしかったです。

 ぼくはあなたのマルチェッロ像にまったく同感です。そのつもりで演じました。それをそういうふうに受け留めていただけた、ということは舞台人冥利につきます。

 マルチェッロは今回が初役でした。ボエーム自体は学生時代より縁の深い曲ですし、合唱団時代にもやりましたので、今回の舞台は念願かなってようやくマルチェッロができた、というところです。楽しく勤めさせていただきました。