サンヨー SS−200

補修前の外観 おっちゃんにとっては初めてのトランスレスの5球スーパーである。トランスレスというのは電源トランスを省略したラジオのこと。重いトランスがなくなるので軽く安価になる半面、真空管と回路がちょっと特殊になるので要注意だ。

 トランスのあるセットの真空管はヒーターが並列に接続されているのが通例で、これだと真空管のチェックが単独でできる。しかしトランスレスセットの場合、ヒーターを直列に接続してその両端にAC100Vをそのまま加える設計となっているため、どれか1本、真空管のヒーターが切れてもすべての真空管の火が入らない。

シャーシは垂直になっている またパイロットランプもこのヒーター回路の一部となっていることが多く、ランプが切れると真空管のヒーターに多目の電流が流れるような結果となって、けっこう悲惨な症状になるラジオもある。さらにはAC100Vの片方がアースラインになるのだが、これがシャーシに落ちていると、金属部に触れただけで感電することもある。電気的にはなかなか手強いセットなのである。

塗装済みのキャビネット このラジオはトランスレスとはいいながら初期のもので、外形も大きく、外から見ただけではST管ラジオのような雰囲気がある。しかも6E5というマジックアイ付きだ。そのため標準的なトランスレス真空管セットには見られないちょっとした電源トランスがついていた。回路図を見てもらえばわかるが、マジックアイのヒーター用とパイロットランプの点灯用に6Vを作っていると同時に、オートトランスで多少昇圧されたB電源を供給しているのがユニークなところである。

 さて電気的には手強いトランスレスラジオなのだが、このセットはまた別の手強さがあった。天板、側板は木製、前面は木製の板の上にプラスチックのカバーを被せた構造となっている。プラスチック部分がひどく汚れているので、分解して清掃する必要があるのだが、このプラスチックカバーを止めているネジがなかなか外れないのだった。

清掃と塗装を終えて蘇った外観 ほとんどねじ山から錆が出ていた。鋭利なプラスドライバーでねじ山を壊さぬように慎重にまわしていったのだが、10本もあるネジのうち、2,3本はねじ山を潰してしまう。取れたネジを見ると細くて長いのだこれが・・・。つぶれたネジはドリルで頭のところを削り取って抜くしかないのだが、代わりのネジ探しが大変だった。直径が2mm程度の木ネジで長さが35mm以上あるものがなかなかない。まるで釘のような木ネジだから、最近はやりのタッピングビスも見たのだが、合うものがない。

 いくつかのホームセンターを一ヶ月ほど探し周ってなんとか見つけるには見つけた。しかし結局ぴったりのものではなく、やや頭が大きいもので我慢せざるをえなかった。前面から見るとビスの頭がやや不恰好に目立ってしまうが、プラスチックがきれいに磨けたので全体としてはまあまあの感じだろうね。

電解コンデンサの分解 このラジオの電気的な問題は雑音の発生にあった。たたくと必ずばりばりとノイズを出す。これがどこから出ているのか最初はなかなか分からなかった。真空管を交換しても変わらないし、ボリュウムでもなさそうだし、スピーカー系でもない。残るは電解コンデンサだとねらいをつけ、テスターで絶縁をあたっていくと、どうも電解コンデンサの絶縁が低下している兆候があるのがはっきりしてきた。

電解コンデンサのツリーを取りつける。 前回に引き続いてブロックケミコンの再生である。中身を引きずり出し、新しい電解コンデンサでツリーを作り、これをアルミのケースに収める、という作業は基本的に同じである。ただこの電解コンデンサには端子板があった。4個のコンデンサのプラス端子と共通となるマイナス端子だ。

 マイナス端子がもっとも外側にあるが、これを上手く処理しないとケースと接触してしまう恐れがある。そうなるとトランスレスセットの構造上、AC100Vがシャーシに落ちることになる。下手をすると感電したり、他のトランスレス機器を通じて、ACをショートさせてしまう危険性もある。

端子部分の拡大 このブロックコンデンサには4個のコンデンサが入っているので、それぞれ端子に目印の色をつけて整流管出口用、平滑用抵抗の後、出力管スクリーン用、カソード用などに振り分ける。まあ、ここまでは上手くいったと思う。

 問題は慎重に取りつけたつもりだったが、いつのまにかAC100Vの片側、電源のマイナスラインがシャーシに落ちていたこと。どうも電解コンデンサの取り付け時に無理な力が加わって電解コンデンサのカバーがシャーシと接触してしまったようだ。ま、電気的にはこれでも動作はするので、他の機器との接続に気をつけて電源を入れる。

マジックアイ バリバリという雑音は消えた。マジックアイの劣化はそれほどでもなく、けっこう明るく点灯している。したがって、このラジオは電源を入れる頻度は高くない。できるだけ、マジックアイの劣化を少なくするために電源を入れるのは定期的な健康診断くらいにとどまるわけだ。

 しかし、このラジオ、ときどきノイズが出る事が分かってきた。外来ではなく、原因は内部のどこかで接触不良のような、絶縁不良のような現象が出ている感じである。雑音は長くは続かないので、原因の究明が難しい。また、ときどき音がひどく歪み、あるときにはハウリングのような状態になることもある。

 ちょうど正時を告げるときの、ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷー、の時がひどいことがあった。これは周波数的には440Hzと880Hz。どうもこのセットは440Hzの音で共鳴し、これがぐらぐらバリコンに伝わってハウリング、つまりは発振を起こしているようなのだ。

 だが、いつもそうか、というとそうでもない。2006年5月13日11時の時報はきれいなものだった。音質選択スイッチの接触不良などの状態変化もあるし、音量にもよるようである。調子がいいときは音質も含めて本当にいいラジオなのであるが・・・。まだまだ宿題の多いラジオセットである。