江戸暦─師走の行事 其の四
本来は二十四節気の気候が移り変わる立春・立夏・立秋・立冬の前日の事でしたが、現代では春にだけ用いられます。
節分の式は諸大名から民間の大店、旧家などそれぞれの家例があります。
が、大体が里芋・大根・牛蒡・焼豆腐・田作りの平盛り・豆腐の味噌汁・塩引鮭の切り身等の料理で酒を酌み交わしました。
当日はどこの家も豆の枯茎へ塩鰯を刺したものと柊の小枝を家の出入り口に挿します。
これは米や野菜を食べる虫を防ぎ、凶鬼を防ぐ呪いです。
日暮れになると、神前・仏前の灯明を灯し、台所で鬼打豆(おにうちまめ)を煎ります。
【豆蒔きの作法】
まず、竃を清めて火を焚き付けます(イマメの枝を生葉のまま炊きます)
竃の上に平らな焙烙を置き、桝に入れ三方に乗せていた打豆を焙烙に移して煎ります。
新調の鍋取で掻き回す度毎に「福徳 福徳 福徳」と三度唱えます。
竃の傍らには台を置いて松明を炊きます。これは蝋燭の無かった時分に明りとして使った例に習ったものです。
煎り上がった豆は元の桝に移し、三方に乗せ、年男(使用人か出入りの者)に渡します。(年男の姿は羽織袴か、裃姿が一般的でした。また、中流以下の家では主人がこの役を勤めたりもしました。)
年男は恵方に向かって豆を手に三度握って三度蒔きます。
その際に「富は内、福は内」と三度言います。
次に神棚の前に立って同じように三度言って豆を打ちます。
更にあらかじめ閉めておいた雨戸を細めに開けて、家中の部屋毎に豆打ちをします。この時、後架(便所の事)にも同じように豆打ちをします。
最後に大戸口に行って雨戸を細めに開けて豆を打ち、大声で「富は内!福は内!鬼は外!」と叫んで、急いで戸を閉め内から雨戸を破れるほどに叩きます。
年男は豆打ちが終わると台所に行き家内一同の前に座して「まず滞りなく済みまして、おめでとう存じます」と挨拶します。
そして、あらかじめ用意されていた年取物(年包・福包)を半紙に包んで三方に乗せ、主人より順々に配って食します。
※年取物の中味は「乾栗七個・昆布二枚・豆(煎った物)少々・干し柿二個・蜜柑二個・榧(かや)の実七個・田作り二尾」です。
それから重の物を出して祝酒を酌み交わし、煎り豆を自分の年の数ほど戴きました。
一の重には「黒豆を煮たもの・氷蒟蒻や氷豆腐・蓮根を小さく切って煮しめたもの」が入ります。
二の重には数の子が入ります。
以上が、一般的な節分の豆蒔きの仕方です。
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