江戸暦─皐月の行事 其の壱



【蛍狩り】



 立夏の後四十日頃よりが見頃。
 王子辺、谷中蛍沢、高田落合姿見橋辺、目白下通り、目黒辺田畑、吾妻森辺、隅田川堤等々に名所がありました。
 半夏生(はんげしょう:夏至より十一日目、梅雨明けの頃)の頃が最盛期ですが、王子辺では随分早かったようです。
 谷中蛍沢は虫の光りが他よりも鮮やかだったので大変人気があったようです。
 また、谷中蛍沢から上野不忍池が近かったので、蛍狩りを口実にそのまま足を伸ばして不忍池辺りの出会い茶屋を利用する者も多かったようです。
 当時の蛍は今からは想像も着かないほどたくさん飛んでおり、大変に幻想的だったようです。
 私が子供の頃でも、精々川辺や田縁に2〜3匹も見られれば上等な方で、庭先に迷い込んできたときなどは飽きずに見ていたものです。

「十ばかり 厠の窓に ほたるかな」(加佐里那止)

 如何にたくさん見られたか、良く表わしている句ですね。


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