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トイガン〜おもちゃの鉄砲・おもちゃのピストルを研究する部屋

さらに懐かしの玩具銃をご覧になりたい方は、

平賀隆純さんの、 GUN SMITH ASGカスタム&チューン の「懐かしのページ」や、

黒沢哲也さんの 深夜通信'06でも、詳しい情報が得られます。


◎トイガン〜おもちゃの鉄砲(ピストル)

今回、大幅に改稿しております。 以前に掲載していた「おもちゃの鉄砲、トイガン研究室」は こちらへ。

(1)このページで定義するトイガン
トイガン、おもちゃの鉄砲と言えば何を思い浮かべますか?
銀色の玉をバンバン飛ばす「銀玉鉄砲」でしょうか?
巻き火薬を使って激発音を楽しむ「百連発」と呼ばれたピストルでしょうか?
最近だとBB弾を飛ばすエアソフトガンでしょうか?

このページでいうトイガンとは、 「ハンマーストライク式」のピストルです。
「ハンマーストライク式」というのは、勝手につけた名前ですが、
「バネ仕掛けのハンマーで弾倉につめたプラスティックの弾丸の底を叩いて飛ばす方式」です。
「ハンマーノック式」と言ってもいいけど、用語の統一のために「ハンマーストライク式」を使うことし、以下「HS」と略します。
ハンマーストライク式トイガンはHSトイガンと略記します。

(2)HSトイガンの意義とは
「弾が飛ぶ」
「弾が飛んでいって自分から離れた的に当たる」
それがピストル、鉄砲、銃器の最大の魅力です。

HSトイガンは「弾を飛ばすおもちゃのピストル」、という点において銀玉鉄砲のスピリッツを継承していました。実際、駄菓子屋などで「高級品」として売られる場合もあったようです。それだけにデザイン面においてモデルガンとまではいかないまでも、「本物みたい」と子供をして思わせるに充分な出来映えでした。
銀玉鉄砲が、「弾を飛ばす」という要件だけ満たせばヨイとばかりに、SFもどきのスタイルまで作られたのに対して、HSトイガンはあくまで実銃を意識したデザインを基本にしていました。
やはりどうせ遊ぶなら、本物っぽいほうが面白いし、遊んでいてその気になれるし、なにより本物っぽい方がカッコいい訳です。
「光線銃みたいな形の銀玉鉄砲なんてガキっぽくて」と思いつつ遊ぶ小学生男子の気持ちを読みとったような戦略です。
少しでも実銃に近いプロポーションを求めた点でモデルガンへの憧れを満たしてくれる、その意味で、HSトイガンは、銀玉鉄砲からエアソフトガンへと進化する過程のミッシングリングと言えます。

(3)HSトイガンの特徴
・あまり売れてなかった
・ハンマーの打撃力で弾を飛ばす
・実銃に近いフォルムを持っていた
・実弾を思わせる弾丸を使っていた
これらをひとつずつお話ししていきたいと思います。
(3)-1〜特徴〜あまり売れてなかった
HSトイガンはあまり売れていなかった。

いきなり何を言い出すのか、ということを書くようだが、友人知人を見回して自分以外にHSトイガンを買っている人間は覚えがありません。
筆者が小学5、6年生だった昭和48〜49(1973〜1974)年ころです。HSトイガンを見せると大抵の友達は「まだそんなもので遊んでいるか?」「幼稚なやつだなあ」「ばっかじゃねーの」といった反応を示したものです。
小学校高学年ともなると、おもちゃのピストルで遊ぶよりもスポーツに興味が移っていくらしく、彼等は野球のバットを振り回して遊ぶばかりで、トイガンにはトンと無関心でした。

従ってHSトイガンは一部の変わり者の子供以外には人気のない商品であり、それほど売れていなかったと思われます。

ただしこれは筆者の体験の範囲内での話です。地域差や時代の前後によって違いがあるかもしれません。
それを証明するように、大手月刊少年誌では 通信販売の広告も打たれていましたし、大手デパートの玩具コーナーにもHSトイガンを扱うコーナーがあったのです。
(3)-2〜特徴〜ハンマーの打撃力で弾を飛ばす
「ハンマーで弾の底を叩いて飛ばす」方式のピストル。

これが最初に書きましたHSトイガンのスタイルです。ただ、ここまで何気なく「ハンマーでたたいて」と書いて来ましたが、銃器類に詳しくない方々には「ハンマー」がなんなのか分からなかったのではないでしょうか?
金槌を振り回して何をどうしようというのか?という疑問はありませんでしたか?

実銃でもHSトイガンでも、ハンマーは弾丸の発射に大きな役割を持っていますが、その仕組みも形状もまるで違います。

銃器類で「ハンマー」というのは、「撃鉄」と日本語訳されます。
実銃にあっては弾丸(正しくは薬莢・カートリッジ)の底部を叩いて火薬を発火させ、弾頭を発射する火薬に点火し炸裂さえせる、という役目を持っています。
HSトイガンでは弾丸の底部を叩いて弾倉から打ち出す役目を持っています。
従って実銃ではフレームにセットさらた「撃針(ファイヤリングピン)」を叩くか、あるいは「撃針」程度の突起を持つかすれば用が足りるのに対して、HSトイガンのハンマーは、大きく尖って飛び出しています。
実銃やモデルガンでは見ることの決して出来ない形状ですが、弾丸のお尻を叩いて飛ばすという構造上こうなる訳です。
これが実銃なら、薬夾の底を突き破ってしまうでしょうね。



(3)-3〜特徴〜実銃に近いフォルムを持っていた
もう一度、大手月刊少年誌に掲載された 通信販売の広告をご覧下さい。HSトイガン部分を拡大してあります。
さらに もうひとつ通信販売の広告もあわせてご覧下さい。こちらは「特選モデルガン」と表記されていますが、中身はHSトイガンです。
(ちなみに掲載時期は昭和49年〜50年ころ、1974年〜1975年です)

ご覧になっていかがですか?実銃のフォルムをよくとらえているデザインだと思いませんか?
もちろんルガーのトグルがとんでもない位置にあるとかガバメントのトリガーデザインが違うとか銀玉らしきウルトラ連発銃があるとか、そういう細かな点には目をつぶって下さい。

例えばこれ。
カタログの一部:コマンド357 「コマンド357」という名称ですが、ルックスといい「357」といい明らかにコルトパイソンをモデルにしています。
フロントサイトの形状やリブバレルなど、いかにもパイソンらしいデザインです。


またはこれ。
カタログの一部:コルト45 真っ向から「コルト45」という名称を使っています。コルトピースメーカーです。
バレルとエジェクターロッド部が同じ長さなのでシビリアンスタイルでしょうか?
若干寸胴で無骨なシルエットです。


またはこれ。
カタログの一部:コルト45デラックス これも堂々と「コルト45」。しかもデラックスとうたっています。
同じコルトピースメーカーでも、デザインがより洗練されています。
バレルの方が若干長いフロンティアタイプ。
フレームやハンマーの形状もよりリアルです。
今みても欲しいと思わせるものがありますね(ないかな?)。


さらにこれ。
カタログの一部:ボナンザ これもコルトピースメーカータイプですが、「ボナンザ」という名称を持ってきました。
デザインはおしゃれになったとも言えますが、洗練された、というよりも成金趣味的なテイストが感じられます。値段もちょっと高いし。
実はこの銃、所有していたのですが、HSトイガンとしては魅力のあるものではありませんでした。ダブルアクションのため、ハンマーのバネが弱くあまり弾が飛ばなかったのです。


(3)-4〜特徴〜・実弾を思わせる弾丸を使っていたが・・・
こちらの画像をみて下さい。一見、座薬のように見えますが、HSトイガンの弾丸です。
HSトイガンの弾丸は、このように「実弾っぽい」形をしていました。
弾丸を入れた箱もそれらしいパッケージが用意されていました。
広告の画像を見ると、 香港製のHSトイガンでも「実弾っぽい」形状が採用されていたことが分かります。

ただし、その弾丸の弾道というか飛び方は実銃のそれとはまったく異なります。
簡単にいえば木の枝を放り投げたような感じで、空中をクルクルと回りながら飛んで行ったものです。
これはもう、物理的に仕方のないことだったと思います。実弾であれば銃身内を通る間にライフリングにより進行方向に対して横回転することで弾道を安定させますが、HSトイガンの弾丸は、指で弾いて飛ばしたのと変わらないからです。
実弾でさえ、一定の距離を飛んだあとは回転力を失い、コマのように不安定になるということです。


(3)-4-2〜特徴〜・実弾を思わせる弾丸はどれくらい飛んだか?
弾の飛ぶオモチャですから、気になるのはその「飛距離」ということになります。
どれくらい飛んだかというと・・・。
広告の画像にある 銀玉ピストルの飛距離と比べてみましょう。
「10mも飛び」と強調して書いてあります。10mといえば、昨今のエアソフトガンのレベルなら8cm程度には集弾を求められる距離です。
広告文には「百発百中」「射的用」などとも書かれていますが、人間大のターゲットなら当たるでしょうが、射的となるとどうでしょうか?
HSトイガンにいたって、それ以下に飛びませんし当たりません。個人的な経験談を語るなら、比較的飛ぶもので5m、それも立射した場合の銃口から弾丸の落下点までを計れば、という条件付きでの話です。
飛ばないタイプなら落下点で3メートルくらいでしょうか。マッチ箱を撃つなら、2m以下の距離でも精一杯でしょう。

飛ぶタイプは、リボルバーならシングルアクションです。ダブルアクションは飛びません。
さきほどの広告の中から選ぶなら、コマンド357、コルト45、デラックスコルト45などが期待出来そうです。実際に通販でHSトイガンを購入したことはないのですが、カタログの中からシングルアクションの銃を見つけては、「これは飛びそうだ」と考えてワクワクしていたものです。

実際に所有したことがあり、よく飛んだという実感のあるのはこの銃です。
カタログの一部:スプリンター8 以前、実物を撮影しトイガンの外観などについて説明も使いました。
通販ではなく、たしかデパートで買ったものでした。
読みにくいかも知れませんが、「弾倉を左に出し弾をこめる」と書かれています。
ダンソー、とカタカナで書かれる場合もありました。もうひとつのカタログにも同じ銃が出ていますが、 「リボルバーが横に出て」とますます分からない説明になってます。
「スイングアウト」なんていう洒落た言葉は使いませんが、 こんな風にダンソーを横に出して弾を込めます。

※撮影に使った実物は当時物ではなく、近年玩具問屋で発掘したものです。



さて、飛ばない銃はこちらです。
カタログの一部:ボディーガード 上述した 「ボナンザ」と同じ機構のスナブノーズです。弾丸も共通でした。
これも、所有していたのですが、「ボナンザ」同様、ダブルアクション。これもあまり弾が飛びませんでした。
飛ばない割には値段が高く、ブロンズメッキや高級感溢れるディスプレイタイプのケースなど、どちらかといえばモデルガン的テイストの強い銃でした。
ブラックとブロンズ、そしてシルバーの三色がラインナップされていた記憶があります。
なぜかブラックとブロンズを持っていました。HSトイガンとして、まるで魅力はなかったのですが、親が買って来たのです。往々にしてある、親が買ってくる物は自分の欲しいものではない、という有名な現象ですね。



ここまで、2006年04月9日(Sun)
次回の更新では、シングルアクションとダブルアクションについて書く予定です。


以前に掲載していた「おもちゃの鉄砲、トイガン研究室」は こちらへ。


by おなら出ちゃっ太