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 今日においてハーフカメラは、完全に第一線から姿を消したと言っても過言ではない状況です(現行モデルとしてはロシアのAgat 18kが唯一でしょうか)。消え去ったのには、様々な要因が考えられますが、一言で言ってしまえば、「環境の変化」によると考えられます。

 今から約40年程前に、日本に一大ハーフカメラブームが巻き起こっていたことは、このHistoryのコーナーでも御紹介しましたが、その当時、ハーフカメラはどのような評価を受けていたのでしょうか?40年後の現在を知る我々にとって、当時のハーフカメラに関する評価や、当時のハーフカメラ将来像を知ることは、なかなか興味深いものかと思います。

 そこで、このコーナーでは当時のカメラ関係各誌に掲載されたハーフカメラの分析を紹介いたします。まず第一弾は1962年4月のカメラ毎日誌に掲載された「特集 オリンパスペンでこれだけ撮れる 性能は十分信頼できる ペン/ペンS/ペンEE/ペンEES」です。(原文を忠実に紹介いたします。)


特集 オリンパスペンでこれだけ撮れる/性能は十分信頼できる ペン/ペンS/ペンEE/ペンEES/千葉大検討グループ 主任 田村稔

【気軽にポケットやハンドバックに入れて歩ける。フィルムも倍増して使えるというわけで、35ミリ半切のハーフ判カメラに人気が集まっています。しかしあまりに軽量、簡略なカメラだけに”はたしてどの程度まで使えるだろうか”という懸念も一部にはあるようです。そこで中級レンズの明るさや鮮鋭度が飛躍的に改良され、フィルムの感光度や粒状、解像力も向上しているという現状をふまえて、そのメカニズムと能力を分析してみようというのがこの特集です。

 メカニズムの解剖にはハーフ判カメラの代表ということで、オリンパスペン4種類を、本誌「新型カメラを使って」でおなじみの千葉大学検討グループにとりあげていただきました。実際例としては文芸春秋社写真部などの話を集めました。そしてさらにユニークな特徴を備えた新製品も含めて、現在市販されているハーフカメラ全部の展望を藤田直道氏に書いていただき、国産ハーフ判カメラのコンシューマーレポートとして役に立てていただける記事にしたつもりです。(編集部)】

 ペンカメラについては本誌34年10月号でオリンパスペン、35年5月号でペトリハーフ、36年10月号でオリンパスペンEEをとりあげてきた。したがって、今回はペンカメラの個々の性能よりは、むしろペンカメラの一般的な性質を、ライカ判カメラのそれと比較するという点に重点をおいてみたい。というのもペンカメラが非常に売れているそうで、またペンカメラによる作品展が開かれたり、ペンカメラによる優秀作品が現れたりするということはペンカメラが他のカメラ(とくにライカ判カメラ)に匹敵する本質的な何かを持っているということにほかならない。われわれ検討グループは、オリンパスペンをその代表として選び、オリンパスペンを通してハーフサイズカメラの本質をここに追求してみた。

デザインにはまだ改良の余地がある

 オリンパスペン四種の要目は(中略)要約すると次の通りである。

ペン-28ミリF3.5、ペンEE-レンズ同じ、固定焦点、EE、ペンS-30ミリF2.8、ペンEES-レンズ同じ、三焦点合わせ、EE 、 

 したがって、レンズに重点をおいて考えると、ペンとEE、SとEESとがそれぞれ兄弟分であるということになる。 四種のカメラのデザインは、レンズとは反対にペンとSとが兄弟であり、これに対してEEとEESはファインダー前面部、シャッターボタン、レンズを囲む露光計の受光面などが異なっているが、ペンカメラのスタイルは保たれている。

 カメラとしては、できるだけ小型にして突出部を少なくするという要請に対し、あまり小さくすると操作しにくいという二つの相反する要素がある。

 最初のペンは鏡胴部が突出するのを極端に避けたために、リングの幅が狭くて指でつまんで操作する場合にひどくやりにくかったが、ペンSのほうは、リングにやや余裕をもたせたので、はるかに操作しやすい。コマ数計の指標がペンは金色であったのに、他は銀色になっている。ボディーのレザーがペンはグレー、Sは黒色となっているが、黒色は軽快感に対して逆効果である。またファインダー窓部の周辺をペンは平滑な仕上げ、Sはチリメン仕上げとしたのも逆行で、スマートさを削減している。

 EEとEESとは露光計受光面がついて、鏡胴まわりの繁雑なリング部がなくなったので単純感の効果をあげている。ただしEESのほうには距離調節のリング(三段階のクリック)だけは残されている。それにしてもEESはEEよりも鏡胴部の突出が5ミリほどあるのは何とかならないものであろうか。

 EEとEESを、ペンとSとに比較すると、上面のアクセサリーシューがなくなって平坦となり、ファインダー窓部を大きくまとめるなど、造形的には整理されている。しかし、シャッターボタンはペンとSが平らなのに対し上部に突出している。これは突出をできるだけ避けるというペンカメラの当初の造形方針がくずれたものといえよう。EEとEESとでは、ボディーのレザーが、前者はグレーの皮状であるのに対し後者は布状のパターンになっているが、これはEESの方がモダンである。
 SとEESとは、ボディー正面にSという字が入っているが、この赤色の字体は軽薄で、カメラの造形感となじまず、いただけない。

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