Pen
Sの後蓋も引き下ろし式で、オリジナルPenとなんら違いはありません、蓋を外して中を覗いてみましたが、シャッターが5枚羽のPronterになっている事以外には、特に相違点は発見できませんでした。しかしこの5枚羽シャッター搭載には、ドラマがあります。
前にも触れた通り、米谷(note1)さんは、当初この#000PronterをオリジナルPenに搭載すべく、コパルに開発の依頼を行っていたそうです。当時、一種類しか無かった#000シャッタ−は2枚羽のバリオタイプで速度もBと1/25、1/50、1/100、1/200の4スピードです。2枚の羽で遮光を行う為に、1枚あたりの羽の大きさは大きくなります。そうすると慣性重量が大きくなり、動きが緩慢となる為にシャッター効率が低下してしまいます。シャッター効率の低下は動体(note2)撮影において被写体の像の歪みと直結してしまう為に、米谷(note1)さんはpronterの搭載にこだわったそうです。しかも速度は高速側を1
/ 250 秒とし低速側を1 / 8
秒としたい、というおまけ付きでした。バリオタイプであっても小型の#000シャッターケースの中身はパーツでぎっしりであり、そこへさらに5枚の羽で速度を6スピードとする、という要求は当時コパルにとって想像し得ない難問だったそうです。
「5枚羽が欲しいならば、#00シャッターを使えば?」というコパルの言葉に対して、小型軽量にこだわっていた米谷(note1)さんはあくまで「#000でなければ困る」を押し通したそうです。コパルにしてみれば、技術的な問題もさることながら、開発のための投資上の問題もあるワケで、社内でも大問題となったそうです。しかも開発期間は1年後のPenの商品化に間に合わせろ、というとんでもない要求付きでした。
結果的には、米谷(note1)さんの情熱に答える形でコパルは開発を決断しました。ただし開発期間だけは、いかんともしがたくオリジナルPenの商品化には間に合わず、さらに1年後のPen
Sに搭載されることになりました。そしてこの新しいシャッターを足掛かりにしてPen
D用の1/500秒シャッターが誕生したそうです。またこの新しいシャッターの出現はオリジナルPenの退役を早め、Pen
S3.5の発売のきっかけにもなっています。
オリジナルPenと比較すると若干粘りのあるシャッター感覚ですが、これはオリジナルPenのシャッター感覚があまりにもカチッとしていて、しかも硬すぎず、そして重すぎず、と最高のできなワケで、Pen
Sのレリ−ズ感覚も決して悪いものではありません。また高速なシャッターを搭載したために巻き上げ感は、後半でやや重みが増加しています。
こういったPenのさまざまな逸話を通じて感じるのは、米谷(note1)さんはとにかく頑固な人だ、ということです。今日において、この安いカメラに人々が魅せられてしまう最大の理由は、Penというカメラが、設計者のかたくなな信念によって造られているからではないでしょうか?
note1= The name of the designer of Olympus Pen is
everywhere translated as Mr.Yonetani, this is an error by
translation software. Exact -- It is Mr.Maitani.
note2=The thing which moves
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