PEN-DとPEN-Fの横幅を比較してみると写真のように同じHALF
FRAMEのカメラなのに約19mmの違いがあります。ところが一方でFULL
FRAMEのOM-1と比較するとPEN-Fの方が約9mm程小さいんです(おいおい、また大きさの比較ですか?)。通常の一眼レフにあったペンタの出っ張りがPEN-Fには無い理由はこの寸法の違いの中に隠されているんです。つまりHALF
FLAMEとすることで得られた残り半分のスペースに、プリズムを納めてあるんです。ただしペンタプリズムでは無く通常のプリズムを使用してあるそうです。それも二個も。それに中間に第二のミラーを配置すると言う凝った造りです。PEN-Fは正に機械部品と光学(高額?)部品てんこ盛りのメカニカルカメラと言えます。
この写真はPEN-FのCUT
MODELで一番目のミラーの左側にプリズムが配置されているのが解ります。そして上側の斜めにCUTされた部分に二番目のミラーがあります。そしてファインダー用のレンズの隣に二番目のプリズムがあります(写真では良くわかりませんね)。PEN-Fシリーズの軍艦部のほんの少しだけ出張っている部分(MODEL
NAMEが入っている所)は丁度二番目のミラーボックスとレンズ、そして二番目のプリズムが納まっている場所と言えます。皆さん、大切に取り扱いましょう(そんな事言われなくても大切にしとるよ、、)。
ここで、米谷さんがPoloprism
Systemに到達するまでの試行錯誤の日々を記述された内容を紹介します。(画像および文章はクラカメ専科より抜粋)この文章を読むと、つくづく米谷さんは、カメラメカの設計の虫であったのだなーと感心させられます(おまえに感心されてもしょうがないよ)。
「シャッタースピード1速のペンEEをさらに発展させて、絞りとシャッターを同時に自動的に変える世界初のプログラムEEを何とか作れないものか、と試作しては失敗を繰り返していた。そんな頃、もしハーフサイズの一眼レフが必要になったらどんな形になるのだろうかと、頭の中をふとよぎり、下宿に帰ってから時々時間を作っては考え始めた。(Pen
EEのシャッターメカだけでも頭がくらくらしそうなのに、下宿に帰ってまでハーフ一眼レフのことを考えていたとは、ほんとこの人は凄いというか、こわいです。他にすることがなかったのかもしれないなー)何事にも興味を持ち、必要性を感じたらまずは触手を動かすことが肝要と思っていたので、いろいろ紐解いて見ることにした。35mm一眼レフでは、撮影レンズを通った光がミラーで上方向に反射して像を結び、ペンタプリズムによりカメラ後方の目に届くようになっている。(第1図)
この一眼レフの画面を半分のハーフサイズにするとミラーも半分の大きさでよい。画面に合わせて横幅を半分に切る。ミラーの長さは変わらない。ペンタプリズムも横幅は半分でよい。(第2図)(中略)
そんなことを考えているうちに、決定的な壁にぶつかってしまった。ミラーの大きさは半分になるのだが、跳ね上げる回転方向が問題であることに気づいた。35mm一眼レフでは、ミラーの長辺側上部水平軸を回転軸にして短辺側を跳ね上げる。ミラー短辺の長さで回転するのでミラー先端の回転半径は短い(つまり相対的に長方形の短い側が半径となっているということですね)。
ミラーを半分に切ってハーフサイズにしたとき、ミラーの回転軸は35mm一眼レフと同じだが、その水平回転軸がハーフサイズにとっては短辺側になってしまい、ミラーの長辺側を跳ね上げることになる。ミラー先端までの寸法は35mmと同じでも、ハーフサイズにとってはミラー長辺の長さで回転することになり、ミラー先端の回転半径は長くなってしまう。ファインダーへ光を送るこのミラーは、撮影するとき、撮影画面の邪魔にならないように跳ね上げて収納しなければならない。
望遠レンズはレンズが前の方に出るので問題ないのだが、ワイドレンズや大口径レンズではレンズの最後端面がフィルム面の方に近づいてきて、跳ね上がるミラーとぶつかる。レンズを設計するとき、このミラーにあたらないよう、レトロフォーカスタイプのレンズにするなど工夫を凝らして、レンズ全体を前に出すことで苦労している。レンズ設計上から見るとミラーの回転半径は少しでも短い方がよい。(第3図)
さらにハーフサイズにすると、画面サイズが小さくなり、比例してレンズ焦点距離も短くなる。レンズはフィルム面にさらに近づき、ミラーとぶつかってしまう(シャッター切るたんびにミラーがレンズ後端と激突するのを覚悟でワイドレンズや大口径レンズを使うとなったら、これはもうすごいです!撮影に緊迫感がみなぎりまくって、一発必殺でシャッターを切るということになります。失敗なんて絶対許されない。まさに究極の撮影ではないでしょうか?そんなカメラがあったら、豪快ですね。撮影のたびに粉々にくだけたミラーでいっぱいのミラーボックスを掃除して、レンズをみがいて、、その後おもむろに付け替え式ミラーを装着して次ぎの撮影に備えると、、、これはもう緊張感でしびれまくりそうです)。
ピントの良い最高のレンズを求めるので、ミラーは少しでも短くしたい。もし35mm一眼レフと同じ構造にすると、ハーフサイズにとってはミラーの回転半径が長すぎてレンズ設計が自由にできない。これではせっかくの一眼レフなのに、ワイドレンズや大口径レンズが付けられなくなってしまう。
これらのレンズが使えなければ一眼レフのファインダーとしては失格である。あらゆるレンズを使いこなしてこそ、一眼レフの価値が生きてくると言えよう(一眼レフのファインダーとして失格というよりも、、カメラとして失格なのではないでしょうか?撮影のたびにミラーがレンズとあたるなんて、、、)。
そこでハーフサイズ用ミラーの長辺側、垂直軸を回転軸にして短辺側を跳ね上げるというか、横に回転させる事にする。原理に基づくと、見たこともない変なクイックリターンミラーになってしまう。しかしそれしか方法がないのだから、これを基にしたハーフサイズ一眼レフ用の新しいファインダーを作り出さなければならなくなった。(第4図)
ペンFは独創的な一眼レフと言われるが、その楽屋の開発段階はそんな格好よいものではない。目標だけがはっきりしていて、その実現化の手段が見つからず、必要に迫られ、追い込まれて進めた結果の産物であった。案外こんなところに独創の生まれる素地があるのかもしれない。
これまでに例のないハーフサイズ一眼レフをここまで改めて考えたとき、長い歴史の中で培われてきた35mm一眼レフの構造を惜しげもなく捨てることから、全ては始まった。(惜しげも無くというよりは、やむなくといった感じがするのですが)」(文章中のくだらない感想は小生のつけたしです)
撮影レンズが結ぶ映像は上下左右が逆さになっている。これをファインダーで普通に見えるようにするには、上下2回、左右2回と4回反射させて正立正像にもどさなければなりません。
35mm一眼レフではクイックリターンミラーで上方に一回反射したあとペンタプリズムの中で3回反射して目に届く(第1図をもう一回見てください)。ハーフサイズでは回転ミラーで横に1回反射させるので、さらにあと3回反射させフィルム上部後方の接眼レンズまで届かさなければなりません。
最初、米谷さんは回転ミラーで反射させたあと、上方に反射させそれを後方へ最短距離で反射するファインダーを考えました。しかし、、なんとこれではファインダー像が横になってしまったのです。つまり立っている人が横向きに立っている(寝ている!)前代未聞のファインダーとなってしまいました。まあ、、これでもいいんじゃないか、、、とはさすがの米谷さんも考えられず、、試行錯誤を繰り返したそうです。ふと双眼鏡で使用されているポロプリズムにヒントを得た米谷さんは様々な障害を乗り越えてPen
F用のポロプリズムファインダーを完成させました。双眼鏡は対物レンズと接眼レンズの距離が離れているので、視野角とファインダー倍率をかせぐことが容易なのですが、いざカメラに使うとなるとスペース上の問題があるため容易ではなかったようです(Pen
Fシリーズのファインダーについて登場当時様々な専門家から、いろいろといちゃもんをつけられたのは、この辺に理由がありそうです、、が小生は難しいことは解りません。まあちゃんと普通に人間が立って見えるんですから良しとしてあげましょう!ここでもし人間が横向きに立ってたら、、想像しただけでも撮影が難しそうです)。そしてこのポロプリズムファインダーの発明が、一眼レフのトレードマークであるあのお邪魔なペンタプリズムの出っ張りを無くす結果につながりました!少々暗いファインダーで我慢するか、、はたまた大きくお邪魔なペンタの出っ張りを我慢するか、、どっちを取るか?といったところですがもしもPen
Fが普通のペンタプリズムを使用していたならもはやPen
Fとは言えないと思います。そしておそらく今日までそのカメラが偉大なる日本カメラ文化の頂点の一角を占めることもなかったでしょう、、なんて思うのですが)
ただこのポロプリズムファインダーの採用は、米谷さんに新たなるハードルを与える結果となってしまったのです、、、まさにいじめとしか言いようがないほどPen
Fの誕生には難関がたちはだかっています。このハードルをひとつひとつ、くじけずに乗り越えた米谷さんは、ほんとあきれるほどの想像力の持ち主であり、また強靭な精神力の持ち主かと思われます。
前段で、ペンタの出っ張りを無くす目的で創造された大発明Poloprismの概要を紹介しました。今回はその詳細について見てみたいと思います。左の図はクラシックカメラ専科載っていたPoloprism
Systemの図面です。撮影用レンズを通過した光はクイックリターンミラーで左側へ反射し一番目のプリズムに入り上方へ導かれます。この一番目のプリズムの前面をマット面としてファインダースクリーンにあてています。この面の直前にプラスチック製のフレネル板を置いてあります。フレネル板の中央、直径8mmの部分は素通しで、その周囲は全面にフレネル溝が刻まれ、細かさは1ミリあたり12.5本、溝のある側がマット面に向いています。一番目のプリズムの次に固定された二番目のミラーで反射した光は、接眼レンズ(2群3枚)を介して二番目のプリズムで90度曲がり撮影者の目にとどきます(とにかく、複雑で迷子になりそうな(なるわけないだろ)道順ですよね。よくまあこれだけの仕掛けをあの小さなBODY内に納めてあるなーと感心してしまいます)。接眼レンズは倍率を高くするために、目からかなり遠い位置(中間ミラーと二番目のプリズムの間)にあり、二群三枚構成の凝ったものです。目から遠いにもかかわらず全画面が見渡せます。ただしメガネをかけている場合、画面の隅が少し見えなくなってしまいます。38mm標準レンズで遠方を狙ったときのファインダー倍率は0.79倍、視度は虚像が目から約1mの位置にできるようになっていて、見やすいものです。ファインダーを覗くと単純なマット面なのですっきりしています。フレネル溝も目立ちにくいのですが、なんとなく全体的に暗くにごった感じがします。これはファインダー光学系においてガラスと空気との境界面数が、通常のペンタプリズム式に比べて4面も多い為と言われています。各境界面にさらにコーティングを施せば改善されるとアサヒカメラ誌には書かれています。
また同誌によると「プリズム、ミラーの出来はよく、組み合わせの調整もうまく行われていて、視軸と撮影レンズの光軸との狂い、いわゆるやぶにらみ現象も軽微であった。
ファインダー視野と実際にフィルムに写る画面との比率は、長辺91%、短辺89%。ただし画面サイズの実測値は17.3
X 23.8ミリで、標準17.5 X 24ミリに比べるとわずかながら小さくなっているから、もし標準値どおりの画面サイズだったら、長辺90%、短辺88%ということになろう。全画面を無駄なく利用することがとくに必要なハーフ判カメラとしては、ことさら一眼レフであるからには、縦横ともに95%はほしいところだ。
反射ミラーの面積不足に基づくミラー切れの現象は、試作当時のカメラでは顕著であったが、今回の製品では改良されて、100ミリ望遠レンズをつけたときでもほとんど目立たなかった。
ファインダーのピント面とフィルム面との相対的ズレは0.02ミリ以下で、調整は非常に優秀といえる。シャッターを切る前と切り終わった後とで、反射ミラーの位置の変化は認められなかった。」
PEN-FTでは二番目の固定ミラーをハーフミラーとしてミラーを透過した光をCDS露出計で測光してファインダー内に情報表示を行っています。その為にファインダーで覗いたときにファインダーがPEN-Fに比べて暗いという短所をかかえています。またこのCDSにファインダーからの逆入射光が入って誤差が発生しないように、二番目のミラーには垂直方向にブラインド状の仕切り板が装着されています。PEN-FVではこの露出計ははぶかれていてその他のFTにて進化した部分のみを引き継いだ最も完成されたモデルと言われているようです。
Pen
FとFTのトップカバーを比べるとPen
F(FT)のロゴが入ってるでっぱった部分の大きさが微妙に異なります。FTの方が高さ、幅、長さともに大きいんです。おそらく上記のハーフミラーとCDS露出計、そして逆入射光を遮る為のブラインドを装備させる為に広いスペースが必要になったんではないでしょうか?蛇足ながらFは白抜きロゴでFTは太い凹みロゴです。
次はPEN-Fのもうひとつの特徴であるシャッターメカニズムに行きたいと思います(ハイハイ、、)。