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 Pen-Fが誕生したのは1963年のことで、Penの誕生から4年後のことです。そして小生の手元に来たのが1996年でした。小学校のころからずっと気になっていました。一眼レフなのにペンタの出っ張りがなく、そしてハーフであるこのPen-Fを、、


 Specification
発売年月日 昭和38年(1963)10月
型式 35mmハーフサイズフォーカルプレーン一眼レフ
標準レンズ F.Zuiko S 38mm F1.8
シャッター メタルロータリーフォーカルプレーン
B.1〜1/500秒、X 接点
ファインダー ポロプリズム式、倍率 0.8倍
フィルム給送 レバー巻き上げ、110度2作動
露出制御 シャッターダイヤルに直結する専用Cds露出計あり
大きさ、重さ 127 x 69.5 x 62.5mm 560g(F1.8)

発売価格 24800円 (F1.8) ケ−ス1700円


-Character-

PHOTO/PEN FPen-Fの特徴を上げると、それだけで一冊の本ができてしまう程たくさんあります。その中で外観上の特徴を見てみると、まずなんと言ってもでっぱりの無いフラットな軍艦部ということ、そして小型、軽量ということに尽きると思います。

Pen-Fの軍艦部にペンタのでっぱりが無いのは、Pen-Fがハーフサイズの一眼レフだからではありません。

 1959年にPenを発売してからOLYMPUSは主力商品としてさまざまな仕様のPen シリーズを商品化したわけですが、ユーザーはPen S, Pen D,Pen Wと言った高性能Penのさらに上をいく夢の  スーパー Penを待ち望んでいました。

 今日、目の前にある完成された形のPen F/FT/FVを見ても、それはとても自然な、成るべくして成ったかのようなメカニズムの結晶に見えてしまいますが、実際にはこの形に至るまでには、米谷さんの驚異的な想像力と逆転の発想が存在しています。もしかすると米谷さんがいなかったら、このPen F/FT/FVはまったく違った形になっていたかもしれません、、というよりは、恐らく全く違った形にしかならなかったでしょう。Penが産声をあげた当初、このようなPen Fシリーズ(一眼レフ)の構想は米谷さん自身、まだ持っていなかったそうです。米谷さんの構想にはPen,Pen D,Pen EEシリーズだけがイメージされていました。そのどれもが互いにお互いの領域を侵すことなく、別々の方向性をもっており、それ故に、シリーズ化の意味も決して安易ではなく必然としてあったのです。そのどれもがあくまでもサブカメラとしての位置付けであり、またその限界を踏まえ、それを超えないように配慮していたそうです。初代Penが発表された昭和34年(1959年)には、ズノーカメラ、アサヒペンタックスS2、キャノンフレックス、ニコンF、ミノルタSR-1と矢継ぎ早に一眼レフが発売されて、35mm一眼レフ時代に突入しようとしていました。米谷さんは、メインカメラはそちらに任せればよいと考えていたのです。
 しかし、ハーフサイズが予想以上のスピードで普及し始めたことや、ハーフサイズからの大倍率引き伸ばし写真での立派な写真展が開かれるのを見守っていた米谷さんは、当初考えていたハーフカメラのシリーズ展開の範囲からはみ出しても、ハーフサイズに一眼レフが必要になるのではないかと、その方針変更を考え始めたそうです。(クラカメ専科より)

 OLYMPUS開発陣はPenシリーズの延長線上にそのスーパーPenの形を見い出すことは不可能と判断し、新たな形を模索したなかで、ハーフサイズの一眼レフ化に行き着きます。ただこの時、開発陣は従来の一眼レフのハーフサイズ化では無く、OLYMPUSが世に問うたハーフサイズというフォーマットの基本的な思想に合致した一眼レフの開発を決断します。その結果が小型軽量ででっぱりの無いフラットな形だったのです(この事は雑誌カメラレビュークラシックカメラ専科のオリンパスのすべてという本の中で萩谷 剛さんが詳しく書かれています)。正直言ってこの事を知った時には鳥肌がたつ程感動しました!!。

 文章で従来の一眼レフのハーフサイズ化では無く、ハーフサイズというフォーマットの基本的な思想に合致した一眼レフの開発と書くとそれまでですが、この事は並み大抵のことでは無いと思います。その基本的思想をまっとうする為にプリズムと反射ミラーをボデイーに対して鉛直方向に配置してしまったのです。この形態はハーフサイズと言うフォーマットを最大限に有効に利用して小形の一眼レフを生み出すウルトラスーパーハイブリッドミラクル超ド級の、現代の奇跡的な世界に誇れるすばらしい大発明です。

 もしフルサイズであったらカメラの横幅は異様なまでに長くなったでしょうし、その割りに高さは決して低くも無くそろばんを構えてるような物だったのではないでしょうか(たとえが良く理解できない)。プリズムをおさめる為にほんの1mm程の突起のある平坦な軍艦部、そして中央より20mmほどオフセットしたレンズマウント、この形を眺めていると、本当の意味で機能を形にしたと言う言葉がぴったりあてはまると思います。しかもとってもボデイコンでたまりません。中身は機械部品がビッシリ詰まっていて、それを薄いカバーでぴったりと被っているんですから。


-FRONT VIEW 1-
PHOTO/PEN FPen-Fの特徴である、でっぱりのない軍艦部、そしてオフセットしたレンズの位置が見てとれます。一眼レフと言えばあの三角の出っ張りがトレードマークですから、このPen-Fをはじめて見た時には、何かえたいの知れない不思議な、そしてとても特殊なカメラに見えました。ファインダーの窓もないわけですから、何故か鉄仮面と言うイメージがわいてきました。そしてオフセットしたレンズが、何か機能的にとても意味深い理由をその内面にひめている予感を感じさせました。(実際に、この大きなオフセットには深いワヶが存在するのです)

Pen F Bunkai 01 アサヒカメラの記事を紹介しますと、「ボディーのダイキャストは、小柄なわりに丈夫にできており、材質と仕上げも良い。上部のカバーは窓や軸穴など穴の開いた部分が少ないため、大変丈夫で、内部の諸機構を保護するのに十分である。メッキはニッケル下地のクロームメッキで、梨子地のきめが細かくて品がよいが、そのかわりすり傷がつきやすいということもいえる。外部の黒色塗装はふつう程度、内部の反射防止黒色塗装はなかなかよい。外部の革張りは方眼模様の人造革で上品だが、平面の部分が多いため手がすべりやすい。黒色モルトプレーンを内部の各所に使って、ホコリよけやショックの軽減に役立たせている。」とありました。

 また内部構造に関して同誌によれば、「分解してみると内部のスペースが少しのむだもなく利用されている。ファインダー光学系が固定されているレンズボードをはずすと裏にはロータリー式シャッターを駆動する機構がぎっしり詰まっている。この機構一式はビス4本でそっくりボディーからはずすことができる。とにかく新機構の部分が多く、予想以上に独創性に富むカメラであることがわかった。」と書かれています。

PHOTO/PEN F & OM21972年に発表されたOM-1と大きさを比較してみると、幅で9mm、高さで13.5mm、重さで130gも小型軽量です。OM-1は当時、極端に大きく重くなりすぎた35mm一眼レフに対するアンチテーゼとして開発された超小型軽量モデルですから、その他のN社やC社のカメラと比較するとその差は、驚く程になります。僕みたいな散歩写真しか撮らない人間にとっては重厚でかさばる高級な一眼レフよりも、いつでもどこへでも持っていけるPen-Fの方がずっとましです(実は買いたくてもお金がないだけなんて、絶対に秘密です)。それとこの映像で解るんですけど、標準レンズの大きさの違いに注目してください。(映像はOM-2です。あしからず。)


-FRONT VIEW 2-

PHOTO/PEN FTOP COVERの向かって右側は、ご覧のように異様に深くなってます。なんでこんなに深いのか、僕はその理由を知りませんが、何か意味ありげな気がします。内側にとても大切な物が詰まっていて、それをしっかりとガードしているような、でも角が大きなRで形成されているので厳めしさは、感じられません。むしろエレガントな気品すら感じさせます。そこに華を添えるように華文字の"F"。ク〜ッ、もうたまりません!! 思わずスリスリなでたくなっちゃいます(やめてくれ〜)。

 あとで解ったのですが、この深いカバーには機能的な意味あいは無く、小型軽量なPen-Fにある種の重厚感や高級感を与える為に米谷さんが苦慮した結果のデザインだそうです。金属地の面積を通常よりも広くとることで、上記のような視覚的イメージを与えようとしたそうです。この金属地(白)と張り革(黒)の対比のバランスにはかなりの時間をさいて決定されたそうです。

 その後クラカメ専科を読んでいて、米谷さんの回想記にこのようなコメントを発見しました。「、、、メカニズムの都合で思いのほかにレンズが右に偏り過ぎて、デザイン上バランスを図るのに、右側の銀色スペースを大きく取り何とかまとめた。ただ、この上板から伸びた銀色のスペースは凸凹もなく漫然と広い。そこでFの飾り文字を彫刻したのが「Pen F」であった。あまり例のないこの文字には結構ファンも多いが、次ぎの「Pen FT」ではがらっと雰囲気を変えて、、、」というわけで、内部メカニズムのレイアウトの都合でレンズマウントが右にかなりオフセットし左側が長く重たい雰囲気を相殺するために左側を黒のダックぺルカで覆い、右側の銀色の金属部分の面積を大きくして視覚上のバランスをとり、そのだだっ広さを花文字「F」でごまかしたというわけです。

 この件に関してクラシックカメラ選書に書かれた米谷さんの記事を紹介しますと「ハーフサイズ一眼レフでは、撮影画面の片側のみに大きいプリズムとシャッターが配置され、広いスペースを占める。レンズに対し片側のみにボディーが長く伸び、極端な非対称形となり不格好な形のカメラになってしまう。このボディーの伸びを、レンズの左右どちら側に伸ばせばよいのか。そしていかに使いやすいカメラに仕上げるかが、その成否を決める重要な課題となった。レンズを交換する一眼レフでは、ことに長い望遠レンズを使うとき、通常通りにカメラを左右から持つと、レンズが重くて前のめりになってしまう。左手で長いレンズとボディーの両方を同時に支え、ボディーは手のひらで、絞りやピント、ズーム環は、その左手指先で回して合わせるとよい。一眼レフは左手で持つ側(前面から見るとレンズ右側)のボディーが短いほど、指はレンズまで十分に届き、使いやすくなる。

 また、ハーフサイズは縦に長い画面となるから、横長の写真を撮るときはカメラを90度回転して縦に構え、右手でボディーを持ち、右親指でシャッターを切る。レンズの下側のボディーが長いほど右手はカメラをしっかりとグリップできる。

 一眼レフを使うとき、人間工学的に見るとレンズの左側ボディーは長く、右側を短くした方が使いやすい上に、このカメラ独特のメカニズムの非対称性も有効に活用できる。プリズムは撮影画面の左右どちら側にも置けるのだが、この検討結果から、前から見てレンズの左側に配置することにした。」

中略

 「カメラのようにいつも手に持ち、身体の一部として愛用する器材では、手から離したくないほど愛着のを覚えるデザインでありたい。それでこそ、初めて愛機と呼べるのであろう。デザインする以上、この片側のみに大きく伸びたアンバランスなカメラボディーのデザインを、そのレベルまで仕上げなければならないという難題を抱えることになった。

 一般的には改良発展的な新製品が多い中で、ボディーのフォルムをも変えてしまうほどの新製品に出会える機会はめったにない。この難題を、むしろ千載一隅の好機と捕らえ、あえてチャレンジすることにした。

 参考になるものがなく、あれこれとトライはしてみたものの、レンズの片寄りは紛れもない事実であり、避けては通れない。それならいっそのこと、それを逆手に取って、レンズの片寄りを強調し、斬新な意匠感覚に結びつけられないものかと考え始めた。」(続きは次回更新で、、)

 カメラにはまったく無関心な小生の嫁さんに、このPen-Fを見せて第一印象は?と聞いてみると"NOBLEな感じ"と言う答えが返ってきました。NOBLEなんて英語の意味なんぞ知る由もない小生は辞書をさっそくひきました。noble:気高い、高潔な、高尚な、高貴の、貴族の、壮大な、堂々とした、りっぱな、、等 ん〜、小生の嫁さんも捨てたものではないな〜なんて思いました(こんなこと書いて、もし嫁さんに見られたらどうするの?)。

PHOTO/PEN FTPen-Fの発売から3年後にPen-FTが誕生します。FTはFの機能を大幅に改良させたモデルなんですが、その外観はまるで別のカメラのような気がします。形状はまったく同じなのにOLYMPUS PENの文字の変更とFの華文字があった場所にセルフタイマーのレバーが偉そうに居座っています。Pen-Fが漂わせていた華のかほりは、どこかへ消えてしまいました。でもホントはFTのBLACK モデルがほしいですよ。先立つものがあれば、、トホホ、、

Photo/Pen FTこれがPen-FTの偉そうに居座ってるセルフタイマーのレバー。Pen-Fが漂わせていた華のかほりは、かほりがするだけで、機能的には何のたしにもならないわけで、しかし何か米谷さんがPen Fに込めたメッセージのようなものを感じます(勝手に感じてて下さい)。しかし人によってはあの華文字に嫌悪感を持たれる方もいて、これはほんと好みの問題ですね。それから中古でこのセルフタイマーのレバーをわざわざ外してあるモデルをたまに見かけます。

 実はこのセルフタイマーの位置や形にも意味が存在します。ただでさえメカ部品でいっぱいのFなのに、そこへ露出計とセルフタイマーを搭載するとなれば、ただ事では無い訳で、米谷さんの記述によれば、デザイン上の余裕などどこにも無く、セルフタイマーのメカニズムを搭載できる隙間はこの場所以外には無かったそうです。視覚的に非常に目立つ割に、何か中途半端な位置であるこの場所に搭載するにあたって、物議をかもしたそうですが、何もかもが新しい試みの結晶であるこのカメラにはかえって相応しい場所だということで、言わば開き直ってこの場所に、しかもわざわざ目立つ大きめのレバーをつけたそうです。もちろん視覚的にその作動状況を認識しやすいという機能面の配慮は存在しています。

 このセルフタイマーには製造時期によって少なくとも2種類のタイプが存在するようです。この件は当サイトのGuest BookにMazkenさんが書き込んでくれました。その内容をそのまま掲載いたします。「私のFTは190000番台ですが、先日330000番台のFTを手にしたところ、セルフタイマーをセットする巻上げ感触が異なることに気付きました。190000は「ジジジ…」といかにもゼンマイを逆巻きしている感触ですが、330000のは「ススス…」と滑らかです。もちろん両機とも動作に異常はありません。」ということで、少なくとも2種類のセルフタイマーが存在しているようです。


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