(2)


日本は大きい

日本の国土が小さいことについては、昔から自他共に認めているところがあるようだが、ほんとうにそうなのだろう
か。

韓国はその国土が日本の四分の一以下の面積しかないのに、日本より大きな国に住んでいると思っている住民
が多いという。
船で福岡に着いた韓国人が大阪や東京の友人に、迎えに来て欲しいという電話を入れてくるという話などよくある
ことだと聞く。釜山とソウルの間の距離(鉄道で約450km)より、日本列島がよほど短いと思われているらしい。

韓国人には日本は島国ということが頭にあり、『島国=狭小』 という連想がはたらくらしい。彼らは日本という国は
ヒトも国土も小さいものだと頭から思いこんでいる、と書かれてあるのをあちこちで読むことがある。我われはどう
もそのように思われているらしい。本当は南北朝鮮を合わせても九州、四国を除いた本州島より少し小さいという
のが現実なのだが。


身長についても、一月ほど前の新華社電で日本の男子に中国の若者が追い越されたというので向こうで問題にな
っているというニュースが日本の各紙に載っていた。  

参照: ★中国人の身長は日本人より低くなった!-中国情報局

韓国についてはどうなのだろう。実は大小両方の違った見解を日本の雑誌などの記事を読んでいるので、いちおう
未確認としておく。


     ☆

最初から話が脱線してしまったが国土面積に話をもどすと、日本人が普通アジアと言うことばで連想するビルマ(ミ
ヤンマー)以東で、日本より広い国土を持つ国は中国、インドネシア、モンゴル、ビルマ、タイだけである。ベトナム、
マレーシア、フイリッピンなど全部、日本より一回り小さい。


一方、ヨーロッパの国で日本より大きな面積を持つ国はロシア、ウクライナ、フランス、スペイン、スエーデンの五つ
しかない。ウクライナはこの間までロシアと共にソ連を構成する共和国であり、ソ連は別格とされていたから、普通、
日本人の考えるヨーロッパで、日本より大きな国土を持つ国は3カ国しかなかったのである。

ドイツなど東西合わせても日本より小さい国(35万6千km2)であることはあまり知られていない。もちろん敗戦で
東の国境が、ソ連の領土拡張欲の結果ポーランドが西に移動させられたのに押されるように、西に寄ってしまった
背景がある。もっともそれを言い出せば、日本の領土も敗戦で4割も減少している。また、フインランドやイタリア、イ
ギリスも日本より国土は小さい。


結局、日本より大きな国というのは中東や北アフリカの砂漠国、アフリカ中南部、南アメリカ、オーストラリアとパプ
アニューギニアといった、帝国主義時代にヨーロッパの列強によって定規をあてて国境が引かれたところに多いよ
うだ。
(11Jan00)


森林公園国家

統計数字として現われていない数字に、国土の体積や表面積(平面積ではない)がある。体積を知ってどうするとい
う意見もでそうだが、じゃあ、平面積を知ってどうするということにもなる。

例えばオランダという国がある。国土面積(平面積)4万1千km2。スイスとほぼ同じ、付属島嶼を含む九州とほぼ
同じ大きさの国である。

だが、自分たちの力で国土を創ってきた国で、海面以下の土地が確か40%もあり最高峰(?)も海抜40mほどの
モノしか持たない国と、4000m峰を幾つも抱える国とでは体積は大きく違うはずである。


    ☆

地下の深さの大きさを考えれば体積の差などは微々たるものともいえるが、その国土に山があると表面積で違い
がでてくる。山が高いとその分、表面積も大きくなる。そして平面的な国に比して、国土の多様性という面で大きな
差がついてくる。

例えば、100m高度が上がるだけで気温が0,6度C違ってくる。1000mで6度違う。これだけで土地に育つ植生
が全く異なってくる。したがって高度の違いにともない、そこに暮らす人々の生活も互いに違ってくる。

山があると川も流れる。山の生活と川の生活。山向こうにはまた違った生活が営まれている。こうして文化に多様
性がでてくる。オランダと違ってスイスは四つも公用語があるほどだ。

山国はどこからでもそこに入れるわけではない、峠を越える道しか入り口がない。ヒットラーも平地国のオランダは
西部戦線で真っ先に侵略して行ったが、スイスには手を付けることもできなかった。こうした山の自然のもたらす国
の孤立性が外とは違った文化を育み、国内でも地方を作っていったのだろう。


      ☆

日本はスイスと違って海に囲まれている分、さらに海の生活がある。また南北に長く、亜寒帯から亜熱帯までの地
域差のある生活がある。加えて、西と東では、中央山脈に阻まれた冬の北西風がもたらす雪のある生活とないそ
れとがある。

外国人が想像もしていないことで、日本人もあまり意識していないのだが、この列島の住民は島国に住んでいるに
も関わらず、何故か彼らは小さくはあれど、まるで大陸にでも暮らしているような気分でいるのである。それはこの
列島の山が高いこと、南北に長く伸びていることのおかげである。自然の面でも、文化的にも多様で国土の奥が
深いのである。



日本は山ばかりでヒトの住むところが無いじゃないかという見方もあるが、視点を変えれば住宅地の回りに膨大な
緑地帯を抱えているということである。この国では工場や商業地などを含んだ、いわゆる宅地としてヒトが利用して
いる土地は国土の4.5%(94年)しかないのである。つまるところ国土のほとんどが森林か、田園である。

そして海に囲まれていることで気候は温暖となり、海を含んだ列島の自然が美しい。日本三景とよばれる、天橋立、
安芸の宮島、それに仙台の松島もすべて海とセットになっている。

シンガポールの人は自分たちの街のことをGarden City(公園都市)と呼んでいるが、空から見ると良く分かるが日
本は海の碧と、山の緑の間に人が暮らす森林公園国家なのである。
(11Jan00)



日本の実面積

  
上の表で領海面積31万km2という数字がでている。この領海というのは、昔は陸から船からの砲弾が届く距離と
して3海里と決められていたのだが、今では陸地から12海里までの海域のことをいう。(1海里=1852m)
これはノルウェイ、フインランド、ポーランドといった国の国土面積にほぼ等しい大きさである。

考えてみれば瀬戸内海など、両岸の人々にとっては明らかに生活圏の一部なのだが、これは琵琶湖などの内水と
違い37万km2の国土面積に含まれていない。あの李鴻章が瀬戸内海を見て、「お国にも大きな河があるではご
ざらぬか」と言ったとかいう話もある。揚子江が内水として中国の面積に入っているのだから、瀬戸内海が入ってい
てもいいだろう。

東京湾や伊勢湾なども、その海域は土地のヒトにとっては自分たちの生活に欠かせない生活圏に組み入れられて
いる。また必要とあらば海を埋めたてて新たな土地を創り出したりもしている。道路の代わりに航路を設定しフェリ
ーを走らせもしているが、これも37万km2の国土面積に入っていない。

そう考えていけば、実質的な日本の国土は陸地37万+海域31万=68万km2といわれても、まず納得できるとこ
ろである。この数字はウクライナ(66万km2)、フランス(55万Km2)、スペイン(50万km2)の陸地面積より大きい。

(11Jan00)




 () こうした国々も領海をもつが、日本ほど多くの島々や長い海岸線を持っていない。総領域面積としては
     日本と同じほどの広がりしか持っていないのではないか。

     フランスはニューカレドニアやタヒチなど海外県・海外領土(DOM・TOM )を持っているので、ほんとうは
     ちょっと違ってくる。ただずるいというか上手くやっているというか、Domtomに出している交付金はフラン
     スの海外援助資金として計算されている。フランスは日、米に次ぐ海外援助国と見なされているが、実
     情はその大部分は海外の自国領向けで残りがアフリカやインドシナの旧フランス植民地に向かっている。
     
     日本も沖縄や北海道に入れる地方交付金をODAとして計上できるように国連に働きかけてみてはどうだ
     ろう。国民ひとりあたりの海外援助額が、OECD諸国の中でアメリカと並んで低いとスウエーデンあたりから
     非難されているのが、だいぶ改善されるだろう。
     (13Jan99)






                  
                           初めての揚子江 83   
                  
                  車窓より。河を渡ると武漢なり。
                  ふと思い出したが、毛沢東が文革末期にその存在感を示す
                  べく揚子江を泳いで渡っているが、この辺りだったわけだ。




占有国土面積世界第8位

最近、排他的経済水域という概念が世界の主流になってきている。これだと陸地から200海里(370km)までの
海域が、その国の占有利用に任せられるということで、最初はほうっておくととんでもないところまで行ってしまう魚
の回遊の習性などを考慮して、漁業資源の国籍をつけるところから始まったものらしい。

そもそもは日本の漁船がアラスカやニュージランド沖合いにまで魚を獲りに出かけて行っていたことから、その規
制の為にアメリカあたりで考え出された概念なのだろう。


ところが、近頃は漁業資源のみならず海底の地下資源も含めて経済水域の概念を使うようになってきている。こう
なると、国土から200海里内の範囲は自国の領土と同じようにみなされていいる。

他国との干渉部分がない太平洋の真中にひとつ島があると、43万km2の領海が占有できることになる。そのせ
いか、台湾よりもさらに南にある日本の最南端の島である沖ノ鳥島() など、海の波による侵食が激しくそのう
ち太平洋の中に消えてしまうのではという恐れから島の回りをコンクリートの消波壁で囲ってしまっている。

 
     ☆

ところで、上の表で見る日本の200海里領海を含む面積429万km2というのは、アルゼンチン(278万km2)、
印度(330万km2)の陸地面積よりも大きいのである。

前にあるのは、オーストラリア(774万km2)、ブラジル(855万km2)、アメリカ(936万km2)、中国(960万
km2)、カナダ(997万km2)、ロシア(1707万km2)の6カ国だけである。

日本はアラスカを含むアメリカや中国の陸地面積の半分ほどの広がりを持った大きな国ということになる。ちなみ
に満州やチベット、新彊、内モンゴルなどの外地を除いたいわゆる本来の中国の面積は350万km2といわれて
いる。


ところで、この200海里面積で比較すると日本が世界で8番目だと何かで読んだことがあるのだが、このオース
トラリアの次ぎにくるのは何処なのだろう。インドネシア(191万km2)ではないかと思っている。
(11Jan00)




 注:括弧内の数字は陸地面積。(『世界国勢図会 98/99』 国勢社)

 ()この島も東京都。都庁から2000kmも離れており、東京ー北京とほぼ同じ距離にある。
   小笠原の一部だが管轄は建設省に移ったようだ。(補足) 

  P.S. 200海里海域地図   



 太平洋の島は砂漠のオアシス

 世界地図を見れば一目瞭然なのだが、ロシアにせよ、カナダ、中国・・・・・・、といったその領土が桁外れに大き
 い国というのはその大部分が砂漠であったり原野、ツンドラといった土地である。
 
 オーストラリアにしても日本人は東京の人口ぐらいしか人がいなくて羨ましいと思っているが、実のところはそれぐ
 らいの人口しか養えない土地だということを忘れている。人がいるのは南東部の山があり緑がある地域だけで、
 他は海岸地域に点在する、東のブリスベーン、北のダーウイン、西のパースといった幾つかの街だけである。そ
 の国土の大半は砂漠や原野地帯なのである。

 
 船で何度か沖縄に行ったことがあるのだが、四方海の碧さばかりというところでデッキに寝そべっていると、360
 度何もない景色というのは、北アフリカの砂漠のそれと同じではないかと分かってくる。
 
 砂漠に道が引かれてそこにバスやトラックが走っているように、今の海には航路が決められていて、そこに運航さ
 れているフェリーと時々いきちがう。

 大海にひょこり現われる島は、砂漠のなかに点在するオアシスの町である。先のオーストラリアの海岸の都市も、
 シベリアのところどころにある町やチベット高地に散らばる村も、太平洋の島々とありようは同じなのである。


                   ☆      ☆     ☆
 

 日本の領域が意外と大きいということを書いたが、海の領土(?)ばかりあっても意味はないだろうという考えもあ
 るかもしれない。しかし、海のほうが砂漠や荒地よりもよほど人の役に立っているのではないか。

 日本の周囲では、砂漠と違って気候は温暖で、漁業資源という動物性蛋白質も豊富である。産業としての漁業で
 なくともフイッシングやダイビングなどを楽しむ人も多い。クルージングを楽しんだり、ヨットなら海の上を自由にど
 こでも走っていける。
 
 砂漠を車で走っていてあまりの暑さに冷房が効かなくなることも多く、窓を開けると熱風で顔が火傷しそうで結局
 窓を閉めざるを得なくなる。風で道路上にまで侵出してきた砂塵にタイヤを取られて身動きできなくなることもあって
 観光という面では利がない。

 もっとも、海も荒れれば同じことだが・・・。

 ただ、観光やリゾートだけでなく、日本の場合、貨物輸送の4割以上が内航海運であるのはあまり知られていない。
 
       ☆

 サハラ砂漠に石油が出るように、海にも海底油田があちこちにある。新潟沖には細々とだが石油もでている、千
 葉の方では天然ガスもでる。大陸棚に眠る海底資源の利用も今後さらに進んでいくことだろう。
 
 もっとも、尖閣諸島の近辺にも石油が出そうだとわかると、とたんに中国が「あれは魚釣島といって、もともと中国
 領だったのだ」と因縁をつけてきたりもしているので、ほんとはそういうものはない方がいいのかもしれないが・・・・。
 (14Jan00)


 P.S.: 
資源・領土の切り札-大陸棚調査で日中バトル


 砂漠の国 

 実際、アトラス山脈以南のあの広大なサハラ砂漠は海と似ている。アルジェから南に下るときにところどころに現
 われるオアシスの町は伊豆七島であり、小笠原諸島なのである。
         
 アルジェリアでは向こうの人はその土地の広さを誇りに思い、島国の住民は内心、砂漠ばかりじゃないか思って
 いても、石油がでることもあって一応その広さに敬意を払っていたところがある。しかし、砂漠は海なのだと分か
 れば日本の方がよほど広いのである。

 飛行機で何度も南へ下ったことがあるが、空からみるサハラは海そのものである。砂の海なのである。昔はあそ
 こには広大な湖があり、獣もいてひとも住んでいたことはタッシリの岩絵でも世に広く知られている。

        
                  ☆       ☆        ☆


 統計上アルジェリアの人口密度は12人/km2(96年)という数字がでているが、現実は日本人が海の上に暮ら
 していないように、砂漠にはほとんど人がいなくて、その約2900万人(いつの間にこんなに増えたのだろう)の人
 口のほとんどが本州ほどの面積しかない地中海沿岸の気候の温暖な地域に暮らしている。

 この地域を、一応本州並に23万km2として計算すると人口密度は126人/km2となる。日本は陸地面積では
 333人/km2であるが、瀬戸内海などの内海や領海を含んだ面積68万km2で計算すると183人/km2となる。
         
 日本の200海里面積がサハラを含んだそれに相当すると考えると、こちらも29人/km2で似たような数字だ。

 国土が大きいほうが良いというのではなく、狭く小さいと思われている日本も、統計上の数字からみても意外と広く 
 大きい国なのではないかなと考えてみたまで。
 (15Jan00 Rev)

 





 
            
               南への道                         Alger 2,000km/Tokyo 20,000km
                                              @Tamanrasset