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「まるで手品」  Jan00
 
    


     

早業「チェンジ盗」出没
両替偽装   ミナミ周辺 店員持つ札束抜き取る

両替を装って現金を抜き取る「チェンジ盗」の被害が年末から年始にかけ、大阪・ミナミの商店などで相次いでいる。

 一万円札の記番号を指定して両替を求め、店員がレジから出した
札束から数枚を目にもとまらぬ早業で抜き取る手口で、被害者らも「まるで手品」と驚く巧妙さ。愛知県でも年末に同様の事件があり、府警は人相などから同じ外国人グループ
の犯行とみて捜査している。

 調べでは、先月二十八日午後九時ごろ、大阪氏中央区の衣料品店に
アジア系とみられる外国人の男二人が来店。男が千円札十枚を出し、片言の英語で「番号にSのついた一万円札がほしい」と両替を求めた。

 店員がレジから出した一万円札二十枚の端を持って見せたところ、記番号を確かめるように札を触り、結局、両替せずに店をでた。店員が
その後、札を数え直し、八枚不足しているのに気付いたという。

 今月六日にも大正区内のガソリンスタンドに外国人の男女三人が訪れ、「K、K」と記番号を指定。店員は一万円札十一枚が入った封筒から札の一部を見せ、男一人が記番号の部分を触って立ち去った
後で確認したところ、六枚たりなかったという。

 男女三人はいづれも三十五歳ぐらいで、うち男一人はパンチパーマをかけていた。
このほか、ミナミ周辺で同様の事件が四件発生している。

                                                   読売大阪版朝刊(08Jan00)



 これはきっと中国人がやったことだろう。アジア系で英語が片言というところで国籍が限定される。ついで、手品
 まがいの行為でまた限定される。何よりも小生が、北京で闇両替をしたときに似たような被害にあっている。
 まだ犯人が特定されていない段階で、後で問題になると困るのでメデイアでは国籍まで書けないと言うことなんだ
 ろう。

 もう10年以上前だが、当時の中国では外貨を銀行で両替すると人民元ではなく外匯(ワイフイ)という外貨交換が
 可能な中国元に換えてくれたのである。建前では外国人は中国での買い物はすべてこれで行うことになっていた。
 
 中国の主だった都市ではたいてい存在したドルショップ(外貨商店)ではこの外匯でないと買い物ができなかった
 から、良い商品を求める中国人はこの外匯やUSドル、港幣(ガンピー:香港ドル)を手に入れることに血眼になっ
 ていた。
 
        ☆

 外貨商店では何故かこうした外貨の入手先を問わないのは、先輩のソ連(当時)と同じである。北朝鮮では未だ
 この種のお金を使っているそうだが、ここも入手先を問わないらしい。人民の持つ外貨を吐き出させるのが目的
 だからである。

 欲しがるヒトが多く、需要がそのものの流通量より多ければ、当然そこに闇市場ができてくる。そこに闇屋さんの
 ブローカーとしての出番があったのだろう。ところがというか、当然というべきか闇屋さんといえども皆がみんな公
 正な取引をしてくれるのではない。

 最初に交換レートのネゴがあり、ここで合意してはじめて現物を交換することになる。まず、先方から人民元を貰
 いそれを自分で確認勘定する。枚数があっていてはじめてこちらの外匯や外貨をわたすのである。
 そうでないと、受け取った人民元の枚数を数えているうちに、「公安!」とかなんとか叫んで、渡した外貨とともに
 相手が何処かに消えてしまう。

 
        ☆

 その時も、公式にしたがって取引をしていた。貰った100元札(当時は1元が30円ぐらだった)の枚数を確認して
 から、こちらの外匯をわたした。一度に換える額が大きくなるほど向こうもよいレートをだしてくる。滞在期間と必
 要とする人民元を計算して両替する。この時は円貨換算で三万円ほどだったろうか。とういうことは闇レートで20
 〜30%増しとして、13枚ほどか。
 
 そこで、なぜか相手がもう一度数え直させてくれと、こちらの返事を聞く前にひょいと札束を小生の手から奪い、
 目の前で小生に見せるようにしながら、もう一度、しかしゆっくりと数えだした。向こうが数えるのを見ていた。確か
 に数は合っていた。

 結局、最初に向こうが数え、ついで小生、もういちど闇屋さんが数えて、三回も確認している。もう充分だろう。人
 民元を受け取り、そのままポケットにいれ二人は左右に別れた。

 三歩ほどあるいてから、相手から受け取った札束の感触が妙に少なかったような気がしたのである。ポケットから
 取り出して数え直したら数枚少なかった。振り向いたら、もう誰も居なかった。「やられた!」


      ☆

 当時は、大陸で日本人に会うと、闇で換金する時には警戒した方がいいよと、幾つものだましの例をあげて注意を
 喚起していたのだが、当人がやられてしまった。

 使い道に困るので大きいお金を小さくしてほしいと頼んでも、外国では偽札じゃないかと胡散臭い眼で見られる。
 だいたい、『うちは両替屋じゃない』 と最初から断られてしまうのが普通である。
 
 常識的に考えても小さな札を大きくして欲しいなどという依頼はおかしいのである。依頼されて、千円札を万札に
 両替するのも良いが、S番号だ、K番号だというところまで付き合うのは本当に日本人がお人好しだからである。
 (08Jan00)