
東京都中央区築地の吉野家創業1号店
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米国産牛肉の輸入禁止で、「なか卯」「すき家」「松屋」、そして「吉野家」と、大手牛丼チェーン店が相次いで牛丼の販売を休止した。各社代替メニューを工夫し乗り切りに躍起だが、「早い、安い、うまい」牛丼のピンチヒッターたりえるのだろうか。 (文・写真/門田耕作)
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大阪府堺市内のなか卯で「豚どんぶり」を食べてみた。一見して「ああ、白っぽいな」と感じた。つゆは牛丼の時の味に似せてあるのは分かるが、なにせ豚。どうして
も味が頼りなく感じる。隣で息子が「肉うどん」を食べたが、その肉も豚だ。お汁を飲ませてもらったが、肉うどんのジューシーなおつゆには似ても似つかない。それでもお肉を大事そうに、最後まで残して食べる息子を見て、「こんな純真な子どもをだますのか!」と言いたくなってしまった。
●肉うどんは牛肉やろ!●
先日コンビニで冷凍の肉うどんを買って食べたが、「牛肉96%」でよっぽどこっちのがうまかった。東京ではいざ知らず、大阪では肉と言えば牛に決まっている。なか卯はもともと大阪発祥のうどん屋なのだから、「肉うどん」として売るのなら、肉にこだわってほしいものだ。
吉野家の新メニュー、「カレー丼」を食べてみることに。2月中旬、東京・六本木交差点に面した小さな店舗。時刻は午後8時過ぎ。ビルの奥まった1階にあるのだが、店先に置かれた「牛丼 吉野家」のあのオレンジ色の電飾看板に明かりが灯っていない。「もしや、閉店?」と中をのぞくと、「当店では牛丼の販売を休止させていただきました」の張り紙越しに人が動いているのが見えるので営業はしているようだ。入ると客は誰もいない。この時間、ほかに客がいないとは、やっぱり牛丼のない吉野家なんて、てことだろうか。
●レンゲで食べるカレー● 「カレー丼の並ください」と恐る恐る注文はしたが、「なんでカレーを丼で食べなあかんねんやろ。箸では食いにくいやろうな」などと思ってしまって、どうにも居心地がよくない。
出てきたカレー丼には、スプーンではなかったがレンゲがついていて、お箸の心配は消えたが、もちろんお肉は豚肉。またそれが細切れのポロポロで、数えるほどしか入ていない。
カレーの味はまあ普通。まずくはないので、並350円なら食費を安く切りつめたい人にはよかろうが、カレーを食べたい人にはお勧めできない。だってカレーライスやないんやもん。ジャガイモもニンジンも入っていない。タマネギだけ、というスタイルは「牛丼の吉野家」、の主張のつもりなのだろうか。
●創業1号店の意地●
一方、東京都中央区の築地市場内にある吉野家築地店。創業1号店でもあるこの店は、全国のチェーン店での牛丼販売休止後も、国産牛肉を使って販売を続けている。
ほかには東京競馬場店(同府中市)や京都競馬場店(京都市)などの競馬場以外では食べられないとあっては、行かないわけにはいくまい。
町中の店舗と違って、入り口正面に背の丈より大きい「吉野家」ののれんが掛かっている。
10人ほどが座れるくらいの小さな店。ネット情報では行列が出来る込み具合と聞いていたが、平日の午前11時ごろとあってか、ジャンパー姿の市場関係者らしき男性客ばかりだった。店内には、「『牛丼の吉野家』としての原点でもあるここ築地店におきましては、百年以上にわたり守り続けてきた鍋の火を、なんとか絶やさずに大切にしていきたいと考えました。これからも、これまでと変わらぬうまさをお届けしていきます」との張り紙がしてある。
●やっぱ、この味でしょ● 並が500円、大盛650円、特盛800円は割高だが、次いつ食べられるか分からないし、せっかくなので特盛を頼んだ。一口食べて、「やっぱ、この味!」と思った。ほんの少しパサパサした感じがしないでもないのは国産牛のゆえかも知れないが、ほとんど米国産牛肉を使っていた時と変わらない味だ。「つゆだく」にすればいいのかも知れない。妙に懐かしい味に思えて最後の一粒までかき込んだ。
もともと月に1度か2度くらいしか食べてなかった身としては、「牛丼は日本の国民文化だ!」とか「牛丼のない世の中なんて考えられな〜い」なんて大層なことを言うつもりもないが、普通に牛丼、そして肉うどんの食べられる日(鶏もか!)が、早く戻ってきてほしいものだ。

今も吉野家築地店で食べられる国産牛を使った牛丼。特盛800円
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