
牛丼が消えて客足も減った吉野家
吉野家の店頭から牛丼が消えた。BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)感染牛が見つかった米国産牛の輸入停止が続き、在庫牛肉が底をついたためだが、その最後の日、各マスコミは吉野家を取材。最後の一杯を食べる男性をカメラが追い続けたことはご存知の通り。最近の報道では牛丼復活を求める声も多いと聞く。ならば本紙が簡単にできる吉野家牛丼(もどき?)を公開だ。 (文・写真/庄村有治)
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★公的資金で吉野家救済!?★
はっきり言って、筆者などは吉野家牛丼など年に数えるほどしか食べないが、世の中には牛丼好き、吉野家マニアが多いのか、全国の店舗には食べ納めをしようと客が殺到したという。しかも、中には売り切れになることを知らなかった客もいて、「なぜ牛丼がないのか」と店内で暴れ逮捕される人物まで出てくる始末。
ここまでくると筆者の理解を超えるアンビリーバボーな出来事である。
我々の税金まで使って一企業を救おうというのだ、この国の政府は。
大阪府内で肉の小売店を営む人物が筆者の友人にいるが、彼の店などは規模の点で政府保証の対象外であるという。BSEの影響を受けているのは吉野家も友人の肉屋も同じだと思うが、高級官僚や政治家の頭の中には大手牛丼屋はあっても町の小売店などは無視すべき存在らしい。
こんなアホな政策には苛立ちさえ覚えるが、そもそも素朴なギモンとして吉野家の牛丼って、そんなに美味いのか。確かに安価なのは認める。いまどき外食で280円だか260円で腹いっぱいになるモノはそう多くない。リストラと給与ダウンに怯えるサラリーマンの心強い味方ではあろう。
だが、マクドナルドや吉野家などによる超安値政策が今日のデフレスパイラルを生み、現在の不況を生み出したことを忘れてはならない。
で、牛丼である。「無関心でいられない」といっても、そこはお好み書き。政府批判や企業批判を展開しようというわけではない。公的資金まで使って救おうという牛丼がいま現在世の中にないのなら、自分で作ってみようと思うのが本紙の発想である。
★これが牛丼のレシピだ★ 吉野家の牛丼を年に数回しか食べない筆者ではあるが、その味はちゃんと覚えている。柔らかくジューシーな牛肉に、やや甘すっぱくスパイスの効いたタレ。その味を再現しようというのだが、さてレシピが分からない。分かっているのは米国産の牛肉ということだけ。吉野家も栄養成分までは公表しているが、さすがに企業秘密のレシピまでは公にしていない。
困り果てていると、拾う神もあるものだ。某ホームページに吉野家牛丼のレシピがちゃーんと載っている。さっそく参考にさせてもらった。
●[作り方]●
(1) 牛肉を分量外の白ワインに20〜30分ほどつけておく。
(2)鍋に牛脂を入れ弱火で溶かし、荒く刻んだ干しさくらえびを入れ焦げない程度炒める。
(3) 香ばしい香りがしてきたら、そこにすべての調味料とおろししょうが、ニンニクチップを加える。
(4)煮立ったら火を止め、干しさくらえび、ニンニクチップを取り除くため、茶漉しなどで濾す。
(5)(4)を鍋にもどし、牛肉、たまねぎを入れて、中火で5分程度煮る。
※たまねぎが煮えすぎないように牛肉の上にたまねぎをのせる感じで煮ます。
※煮る時間は好みで調整してください。
(6)(5)をごはんにかけて出来上がり!(以上は『吉野家研究所』より)
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用意した調味料や具。特別なものはない
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白ワインに漬け込んだ牛肉。これで風味と柔らかさが生まれる
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★吉野家に近い味を再現★ 以上のレシピを元にしてさっそく牛丼を作ってみた。もっとも米国産牛肉は店頭にはないので、国産と豪州産のバラ肉を使用。脂身が多いのは国産肉で、豪州産は餌が違うために赤みが多く脂身は少ない。
作り方は右ページの通りで、いたって簡単。が、最初に作ったタレは分量外の「干しさくらえび」を多めに入れたため、エビ臭くなって失敗。調味料の分量も適当だったこともあってか、しょっぱくて辛い。しかもエビ臭いとあっては、とても食べられたものではなかった。試食した女房は一晩中吐き気が治まらなかったらしい。
だがなぁ、天然痘の予防法である種痘法を開発したジェンナーは、我が子に予防接種をしたというではないか。日本の麻酔医の父と呼ばれた華岡青洲は自分の母と妻を人体実験に使い、母は死亡し妻は盲目になったというではないか。まっ、チャレンジャーとはこういうもの。吐き気なんてドンマイどんまい。
気を取り直して再チャレンジ。今度は分量をちゃんと守って調理に励んだ。励んだといっても、調理は大したことはないのだが、今度はなんとか成功。完璧な吉野家牛丼の味にはならなかったが、かなり近い味が再現できたようだ。
ただし肉は国産バラ肉に限る。脂身の少ない豪州産ではほとんどジューシーさが出ず、肉を食っている感じがしなかった。少々割り高だが、国産牛肉を使った方が吉野家牛丼に近づけるようである。
蛇足だが、スーパーなどで売っている牛丼タレであるが、あれはほとんどすき焼きタレと同じもので、吉野家牛丼とは別物だから注意が必要である。
以上のように、吉野家牛丼に似た味を再現するのは比較的簡単である。ただし、あの安い値段は無理だが、「牛丼がない」と暴れて警察に捕まるより、はるかに安いコストで作れるのは間違いない。

家庭で作る吉野家牛丼の出来上がり。味はまあまあだ
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