[ 目 次 ]      月刊・お好み書き 2003年4月号


主婦は見た! 米横須賀基地

イラク戦況を見守る家族たちの姿


 「変わってないですよねえ」とご主人が基地内で働くAさん(55歳)に今の横須賀米軍基地の様子を電話で尋ねてみた。3月22日土曜日開戦後3日目のこと。
 イラクとの開戦以来、ものものしい様子を伝えるテレビに釘付けの毎日だが、横須賀基地内外はあまり変わってないようだった。
 「そうねえ、ええ」。
 「ゲートに入るチェックが特に厳しくなっているとかありますか」と聞いても「多少・・・」と言うだけの返事。 
 一昨年9月11日の同時多発テロ以降、セキュリティの段階がDと最高に厳しく設定されていたが、それも徐々に弱まってきていた。

(文・写真/田中敦子)


 
 1月に中央ゲートに金属探知機が2台設置されて、毎週英会話クラスに通う私たちももちろんそれを通らされるようになっていた。手荷物チェックはもちろん以前よりある。「空港みたい」と言いながら、そろそろ危ないということかなと思っていると、長年基地内に勤めていたというOさん(68歳)は「あら、やっと予算が下りたのね」という反応。今の時期だから、ということでもないらしかった。テロ直後は1ヶ月ほど休みになった英会話クラスも18日(火)(ブッシュ大統領がイラクのフセイン大統領に期限を切った日)の日もいつもどおり開かれた。
 「基地内は静か・・・。緊張とかピリピリ、というよりとにかく静かなの」とようやくAさんは少し話し始めてくれた。
 「それってアメリカの余裕ってことですか」
 「そういうのじゃなくて。あまり、子供たちも外で遊んでなくて。スケートボードとかで遊んでいるのは、日本人従業員の子供だけっていうか。湾岸戦争の時もそうだったんだけど、戦争が始まるとこういう雰囲気なのよね」
 「お正月みたい?」
 「そう、そんな感じかな。意気消沈、というか、心配している、という感じ。船も全部出て行ってるし、人も少ないの。ゲートの外には先週末は報道陣がすごくたくさんいた。普通の人たち、ハイキングの格好をした埼玉くらいから来たのかな、という人たちが基地前で写真を撮っていたり、というのが増えてるわよ。何故かしら。あ、日本の警察の人数も増えたわ。おまわりさんって感じのね。反戦のプラカードを持ったデモの人たちももちろん来てる。日曜日に、「Don't attack Iraq」と書いたプラカードを持った50歳くらいの男の人がいて、通りかかかるアメリカ人に「ドント アタック イラク オーケー?」と声を掛けていたわ」
 「制服着ている兵隊さんに?」 
 「休日だから制服着ている人なんていないわよ。男のアメリカ人を見ると、近寄って行って『ドント アタック イラク オーケー?』って一人一人に言うの。個人的に言われても困っていたわ。それが女のアメリカ人には声を掛けないの。女性の兵隊はいないと思っているのね」。
 テレビにアメリカ軍兵が映っているのを見ると、基地内で会う若い女性の夫や子供たちの父親なのではないかと思って目を凝らしてしまう。残された家族たちの気持ちを思うと心が痛い。誰しも戦争、人を殺しあうことは嫌に決まっていると思う。ない方がいい。それでも、それだけですむことがらじゃないということもなんだか分かってきたような気もする。戦争の理由は誰かと誰かが悪いのではなくて私も含めた人間の心の醜さの現われなのかもしれない。そんなこといったって殺されるイラクの人たちはどうなるの!?
 アメリカのうそっぽいおごった正義もはなにつく。本当のことはいったい何なのか、ただそれだけが知りたい。戦いは早く終わってほしい。ただそれだけを願っている。


横須賀基地前で抗議する男性





  [ 目 次 | 上へ↑ ]      月刊・お好み書き 2003年4月号