[ 目 次 ]      月刊・お好み書き 2002年10月号


新連載 放課後の先生(3)

土曜日のほのぼの保育


 長い長いと感じていた夏休みも終わり、今子供達は、運動会の練習に忙しい毎日を送っている。

 

☆消えていた組立体操☆

 今年のプログラムを見たら、演技、要はお遊戯があるのは、三年生までで、私たちの時代、六年生の花形競技だった「組立体操」が今年私のつとめる小学校では行われない。どうしてか?考えてみると、今年の四月から導入されている「完全週休二日制」の制度のためではないだろうかと思っている。どうやら、授業をこなすのに一杯一杯の時間数を取っているので、運動会の「演技」にかける時間が無いような気がする。
 そんな「完全週休二日制」での学童であるが、私の行っている所は、学校が休みになっている土曜日も開室している。その様子などを今回はお伝えしようと思う。
 開室時間は、午前九時から午後五時まで。もちろん、いつもの学童の様に、塾やスイミングに行くとかの理由で保育時間の途中で帰る、早帰りも構わない。

 

☆社長出勤で来る子も☆

 九時からだが、早い子は指導員の到着前にもう、保育室の前で待っている。大体、みんな九時頃には来るのだが、中には「社長出勤」で、九時半頃ボソボソッと来る子もいる。
 平日では大体三十人くらいはやって来るので、小鳥がさえずっている様な騒がしさなのだが、土曜日はうってかわってやって来る児童数が少なくなる。四月当初は、それでも十人は来ていたような気がするが、最近では十人来ることは珍しい。九月、私の土曜日出勤の日は、何と五人しか児童がいなかった。しかも、早帰りとかで、途中で帰ったりする子もいるので、五時まで残っている子は、本当に片手で足りるほどだ。この私が出勤していた日、最後までいた子は二人だった。 

 

☆アットホームな時間☆

 こういうふうに土曜日は子供の数が少ないので、平日の学童ではやりにくいものも時間もたっぷりあるし、指導員の数は平日と変わらないので、子供も指導員もじっくりと取り組める。また、ある意味で、アットホームなほのぼのとした保育が出来るのが、土曜日の学童保育の特徴の一つであると思う。
 人数が少ないのはきっと、学校と同じように家族の人も週休二日で在宅しているから、いつもは出来ない子供の相手も出来るので、子供を学童に行くのを止めさせている家庭もあったりするからだ。そういう意味で、土曜日にやって来ている子は、自営業の子供が多いようにも思う。反対に自営業の子供達は平日に休むことが多いように思う。

 

☆まずは勉強時間から☆

 さて、九時に始まってまずやることは、一時間の勉強である。この勉強、何をしても一応構わないのだが、大体の子は、公文式や学研の学習教材を持ってきてしている。勉強道具を持ってきている子はいいのだが、持ってきていない子には、こちらで何かしら指示をして勉強をさせることになる。 

 

☆ひらがなでしりとり☆

 勉強と言っても、一年生の場合、まだ漢字も習いたてなので、「ひらがなでのしりとり」、例えば、「どようび→びいる(ーという長音を習っていない時には、ほとんど皆、こう書いていた)→るびい→いか→かぶとむし→しゅくだい→い・・・というところで、「先生、また『い』が出た。もう、考えつかへん。」という声が聞こえてくる。そういう時は出来るだけヒントを出して、長く続けさせるようにしている。二年生になるとちょっと勉強らしく「百マス計算」(十×十のマスに上と左に数字を書いて足し算や引き算をさせる)。三年生は大体自分で自習できるようになっているので漢字の練習、ってところでしょうか?
 一時間の勉強時間と言っても、私が指導員をし出した最初の頃は、何をさせたら良いものか、さっぱり分からなくて困っていたのだが、ある時、先輩の指導員の先生が「しりとりしなさい」というのを聞いて、思わずそういう勉強もあったのか!と納得してしまった。それからは、私の勉強のパターンの中にしりとりも組み込まれた。そ
の後、計算の練習とかもアレンジ出来るようになった。
 この勉強を少なくとも三十分はして後の時間は本読みにしても構わない。学習教材を持ってくる子は、大体三十分以内で仕上げるので、本読みをする子も多い。が、中にはその本読みさえも飽きてしまって、時間前だというのに「遊びに行ったらアカン?」と聞く子もいる。

 

☆母親からのプリント☆

 また、勉強道具もいつも土曜日ごとにちゃんと持ってくる子は持ってくるし、持ってこない子は、毎週、持ってこない。金曜日の帰りの時に、指導員の先生が「土曜日来る人は、勉強道具持ってきて下さいね。」と言っているのに、持ってこない子供達も多い。かと思うと、公文のようなプリントをやたらたくさん持ってくる子もいる。「とても一時間でこれだけは無理でしょう」と思う様な量のプリントを「おかあさんに言われたから」と言って一生懸命している子の姿は、結構健気で、ある意味、痛々しい。

 

☆汗を拭きつつ外へ☆

 勉強が終わったら、自由遊びだ。児童はみんな、目を輝かせて、外に飛び出して行く。
 最近はすっかり気候も良くなったので、外遊びする子供の気持ちもわかる。
 しかし、真夏でさえも子供達は、土曜日の十時になったら、外に飛び出して行っていたので、日焼けを気にしつつ、子供達の安全管理のために私は汗を拭きつつ、一緒に外に出て行ったのであった。

(磯貝 圭子)



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