[ 目 次 ]      月刊・お好み書き 2002年8月号


新連載 放課後の先生(1)

御存じですか?学童保育


 今月号から不定期ではあるが、私の仕事場である「学童保育」について書こうと思 う。少しでも「学童」のことを皆さんに知って貰えたらと思う。(磯貝 圭子)

 

 私は、4月から「学童保育臨時指導員」という肩書きで働いている。「学童保育」 は御存じの方もあると思うが、共働きや母子家庭・父子家庭などでどうしても放課後児童の面倒が見れないという保護者が「学童保育所」に預けるというシステムだ。地域によって受け入れの方法(公立であるとか民間に委託しているとか)や児童の数・学年も違うが、私の所属している学童保育所は小学校区ごとに一つずつある、市が管理している学童だ。一年生から三年生の健常児と障害児、六年生の障害児合計四十二人を預かっている。その児童を「非常勤嘱託」二名、「臨時(要はアルバイト)」四名の「指導員」が、毎日三名から五名でローテーションを組んで仕事をしている。


旧幼稚園舎を利用している学童保育所

☆子供相手は初体験☆

 私はこれまで、何種類かの仕事をしたが、今から考えると事務職ばかりで、唯一の接客業がこの仕事に就く前にしていた定期券売り場の販売員だった。定期券売り場だから、仕事の相手も大人が殆どだったし、学生が買いに来ても大学生や高校生が多く、たまに買いに来る小学生は保護者同伴で買いに来ていた。だから、子供相手に仕事をしたのは初めてである。
 この仕事に就いた当初は、私が自他共に認める「子供好き」だから、子供の中でも小学生というのは私の中で未知の世界ではあったが、ただ何となく大丈夫かな?と思っていた。けれど、どの仕事でもそうだが、この仕事もやっていくに従ってなかなか奥が深い仕事だということに気づくまで、そう時間はかからなかった。

 

☆壁面制作で固まった私☆

 まず最初に驚いたのが、「児童を相手にしている時間」以外にも仕事は次から次へと出てくることだ。「子供相手以外の仕事」もたくさんある。アルバイトの指導員は非常勤の指導員の指示の元、仕事をするのだが、その中の代表的と言っても良いのが「制作」であると思う。
 学童保育では本当に色々のものを作る。小さいものは新学期用の名札から、中くらいのものは色鉛筆やあやとりひもを、班ごとに片づけさせるためペットボトルや牛乳パックを利用して入れ物を作る。子供は「一班」とか書いていてもわかりにくいだろう・・・との配慮から各入れ物には目印の色をテープや色画用紙を使ってカバーする。
 大きな物を作ると言うと「壁面作り」というのがある。これは、保育所や幼稚園でよく、窓などに色画用紙で動物やかわいい子供を書いたり作ったりして貼ってある、あの壁バージョンである。保育者向けの雑誌に掲載されている図案を参考にして作るのだが、年度予算とかの兼ね合いもあり、あまりお金はかけられない。私の行っている保育所では二ヶ月を目途に壁面の模様替えをしている。で、これまた自他共に認める「手先の不器用」な私は最初の壁面制作の時に緊張して固まってしまった。


壁面制作品(7・8月分)「海の中の魚たち」

 あれから三ヶ月。制作したのは、夏休み明け九月から貼る『虫の合奏広がるコスモス畑とトンボたち』も含めて三作品になった。今でもやはり制作の時間になると、みんなの足を引っぱりはしないかと緊張はするが、他の指導員の人たちの少しは足しになろうと精一杯努力していこうと思う。それに、少しは「制作の楽しさ」もわかってきた。(これはひとえに同僚の先生方の応援あってのことだと思う)これからも「手先の不器用さ」に負けずに頑張ろうと思う。

 

☆センセイって言われて☆

 も一つ、学童保育に携わって最初に驚いたのが、指導員の事を児童だけでなく指導員同士も「センセイ」と呼ぶ事である。最初、児童に「磯貝先生」って言われた時はドギマギした。何せ今までの職種では「磯貝さん」と呼ばれることはあっても、「センセイ」と呼ばれることは間違ってもなかった。(これを書いている途中で思い出し
たが、過去に「教育実習」で母校に行った時、「先生」と呼ばれたことがあった)だから最初は、「誰のこと?」という感じで何だか急に自分ではないような変な気分で受け答えしたように思う。
 児童が「先生」と呼ぶのは割合と早く自分の中でも受け入れられたが、なかなか馴染めなかったのが、指導員の先生から「磯貝先生」って言われた時だ。「磯貝先生」って呼ばれる度に「は?」てな感じでポカンとしていた。でも、これまた三ヶ月たった今では、児童相手には自分から「センセイなあ・・・」と言っているし、指導員の先生を呼ぶときはごく自然に「○○先生」と呼んでいる。人間の慣れって不思議なもんだ。
 でも、児童も「学童の雰囲気」に慣れてきたからか、たまに何かを頼もうとしてくる時は「けいこせんせー」とじゃれついてくるし(要領の良さは小学一年生と言えども充分兼ね備わっている)、私の言ってることなどに腹立ったり、自分に不都合が生じると「いそがいババア」と呼ばれたりもする。(勿論、こういう時は礼儀正しく「反発」する)こうして考えてみると、結構 世の中には「先生」と呼ばれる職種があると改めて思う。「先生」と言われるだけで有頂天になってしまわない様にだけは心して、児童と接していきたいと思う。



  [ 目 次 | 上へ↑ ]      月刊・お好み書き 2002年8月号