[ 目 次 ]      月刊・お好み書き 2001年11月号


週刊誌記者のコテコテ事件簿

嗚咽する俳優・壱成


●某月某日 大麻取締法違反と麻薬及び向精神薬取締法違反(いずれも所持)の罪に問われている俳優・いしだ壱成の第二回公判が19日午後、大阪地裁で開かれた。 午後1時10分、壱成被告はふたりの弁護士に付き添われ、タクシーで地裁正面玄関前に乗り付けた。 濃紺の長袖シャツに黒いズボン姿で現れた壱成被告は初公判同様、これまで茶パツでロン毛だった頭を丸め、今回も丸刈りのボウズ頭で出廷した。
 裁判は午後1時30分に開廷。神妙な顔つきで被告人席に座った壱成被告。裁判官に促されるまま被告人席に座ったが、唇をぐっと噛みしめ、その目は始終下を向いていた。今回の裁判は弁護側による証人尋問がメインである。
 最初に現れたのは、2年間壱成被告のマネージャーを担当した事務所のSと名乗る人物。弁護士から壱成被告の性格を質問されたS氏は、「彼は真面目な性格で、仕事にも一生懸命取り組むタイプ。他人に対して思いやりのある人間である」と彼の好性格をアピールした。また、舞台途中に逮捕され事務所に多額の損害を与えたことを聞かれると、「罪を償い、今後はひたすら謹慎してもらいたい。(事務所としても)厳しい目で接する」と話していた。
 次に現れたのは、実母のHさん。壱成被告は証人控え室から法廷に現れた実母に顔を向け、彼女が証人席に座るまでジッと目で追っていた。この証人尋問で実母は、壱成被告から4、5年前より仕送りを受けていることを証言。「優しい思いやりのある息子」と裁判官に情状を訴えた。
 ただ、今回の事件について弁護士から尋ねられると、「大変ショックな出来事で息が止まるような思いだった。多くの方にご迷惑をかけたので、人間として反省し、罪の重さを自覚してもらいたい」とも語ったが、このとき壱成被告は手を口にやり嗚咽し、目から涙をこぼしていた。また、実母は離婚した石田純一とも話し合ったことを認め、「石田さんは彼自身の問題として受け止めている。大変な状況だが、後になって(逮捕されて)よかった、と言える人生を歩んでほしい、と(石田純一は)語っていた」とも証言した。
 検察側から実母に対しての反対尋問は、「被告が社会に復帰して大麻仲間との交流を断ち切れるのか」というもの。これに対して実母は「(壱成は)精神的な弱さがあるのは事実。今後、精神修養的にことで心の弱さを治療しないといけない」と答えていた。
 最後に、壱成被告が弁護側の尋問を受けた。このなかで弁護側は壱成被告が保釈される前日の10月8日と、逮捕直前の9月8日に弁護士に宛てた手紙を披露。内容は「麻薬は自分の人生を滅茶苦茶にした。二度と麻薬には近づかない」、「自分の人生と真剣に向き合い、一生かけて罪を償いたい」というもので、これに対して壱成被告は「(書かれてある内容は)すべて本心です」と小さな声で語っていた。さらに、弁護側から大麻を使った理由について尋ねられると、「(大麻を服用すると)仕事のプレッシャーから逃れられる気持ちになった」とし、大麻を勧めた友人とは「今後、一切近づかない」と断言。「多くの方に迷惑をかけ、とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいです」「母親を愛している。証言台に立たせたことが本当に申し訳ない」とうなだれていた。
 また、弁護人から「俳優という職業は好きか」と問われると、壱成被告は大きな声で「はい、好きです」と答え、「もし可能なら、もう一度俳優の仕事を続けたい」と涙ながらに訴えていた。
 なお検察側は、LSDの所持について、壱成被告の供述がコロコロと変遷した事実を衝いた。壱成被告は当初、家宅捜索で見つかったLSDの紙片について、「覚えがない。自分のものではない」と否認。だが、その後「友人からLSDの紙片をもらい、舐めた事実がある。頭がボッーとして興味が沸かなかったので、残りは自宅にしまい忘れていた」と供述している。 検察側は、壱成被告がポリグラフにかける段階になってLSDの所持を認めた事実について触れ、「ポリグラフにかけられると言い逃れが出来ないから、認めたのではないか」と追及。壱成被告は「(ポリグラフにかけられるという)極度の緊張状態が、記憶を思い出させた」と、やや苦しい言い訳に終始した。
 最後に裁判官は、「今回の事件はあなたのファンを裏切った。その自覚はあるか」と問い、壱成被告は「あります」と大きな声で証言。また「更正して立ち直り、もう一度よい演技でファンに喜んでもらいたい」と、深々と頭を下げながら俳優再起をかけるかのような決意を披露した。
 なお、検察側は論告求刑で「2年に間わたり薬物を使った依存体質があり、また友人にも大麻を勧めるなど、薬物拡散の罪は大きい」とし、懲役1年6ヶ月の求刑を行った。判決公判は11月2日金曜日、午前11時から開かれる。

(文/庄村有治)




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