
〜私のカウンセリング・スタンス〜
近年、カウンセリングという言葉が一般的に使われるようになり、その言葉の意味も多様なものを含むようになってきました。アカデミック的な立場では「カウンセリングはロジャースの理論による心理療法の一つ」と理解されていますが、巷では相談事もカウンセリングと呼んだり、時には学校での指導やガイドもカウンセリングと言ったりしているようです。更に、10数年前から癒しという言葉が盛んに使われるようになると「癒しのカウンセラー」という言葉も使われるようになってきました。そこで、私のカウンセリングのスタンスを述べたいと思います。
一つには非指示的関係と指示的関係についてですが、カウンセリング(またはセラピー)においてカウンセラー(セラピスト)の指導が積極的であるか否かよって通常指示的療法(Directive
therapy)と非指示的療法(Non-Directive therapy)とに分けられます。指示的方法では、相手の考え方や感じ方を治療者が正しいと思った方向に積極的に導いていくカウンセラー中心の関係です。これに反して、非指示的方法はクライエントが自分自身に気づき、現状を受け止め新しい方法を自ら発見し、自ら決断していくプロセスを助けるクライエント中心の関係です。精神分析療法にも指示的と非指示的との両面がありますが、治療という立場を取るとどうしても指示的な場面が必要になってくるもと考えられます。どのようなカウンセリングやセラピーも同様に非指示的と指示的な両面をもっているものと思いますが、この両面はセラピーの特徴というより、それを使う側のスタンスつまりカウンセラー(またはセラピスト)に寄るところが大きいのではないでしょうか。来談者中心カウンセリングをスタンスと言いながら指示的なカウンセリングをしている人は多いものです。私の場合は基本的に非指示的立場を大事にしたいと思いますが、時として指示的になる場合もあります、そのときはクライエントの存在を脅かさないことに最大の注意を傾けたいと思っています。
もう一つ私が気をつけたいことは、ユング派が使っている「コンステレーション(布置)」です。カウンセラーがいくらクライエント中心のカウンセリングをしたとしてもカウンセリング場面ではすでにカウンセラーがクライエントの世界に踏み込んでいるものであり、カウンセラーの存在そのものが影響を与えています。来談者中心のカウンセリングと矛盾する部分を含んでいるのですが、それを承知しながらクライエントに私の存在(価値観、考え方など)の波風を立てないようなカウンセリングをしたいと願っています。 もしかしたらClient-centered
therapyからにPerson-centered therapyに変遷した過程でロジャースも悩んでいたのかも知れません(勝手な想像ですが)。