生き物おおた紀行D

戻る

ホームに戻る
     インコが乱舞!
     
〜これもグローバリゼーション?〜

 大田の新住民(?)インコ。TV放映でご存じの読者もいると思うが、東京工業大学構内は今、インコのネグラとなっている。OC NETのスタッフ、東工大の大学院生M君の案内で現状を見てきた。

銀杏の大木に鈴なり
 目当ての場所は、正門から敷地ぎわを南に下る銀杏並木。午後4時過ぎ、目当ての鳥はまだチラホラ。その内、数羽、数十羽と塊で来始めた。群れが着くたび、キェーッ、キェーッとかん高い声で全体が鳴き交わす。不思議なことにほとんどの鳥が1本の大木に集中。 辺りは暗くなり、シルエットが見えるだけだから、木がボコボコの瘤だらけのようになった。さらに集まると、さすがに回りの木やクーラーの室外機あたりにはみ出してきた。こうなると回りを飛び始めるから、形や色もほのかに分かるようになる。
 全体に緑色、意外に大きく、鳩くらいか。広げた羽はややズングリ。尾羽根の中でスッと伸びたものをヒラヒラさせながら飛ぶ。もう辺り一面でキェーッ、キェーッ。時ならぬ雨や雷も全く意に介していないようだ。なかなかズ太い鳥だ。

もはや風景の一部
 最終講義が終わってゾロゾロ外に出てくる学生たちはこの喧噪に全く目を向けない。実はM君自身、今回の案内までインコのことなど全く気に止めたことがなかったという。「気づいてみると結構うるさいですね」とM君。学生の実害はたまの「糞害」位らしい。
 昼は全く見ないというから、ここはまさにネグラ。人がほとんど居ず、カラスもいない(大学に生ゴミはない!)となれば、それもうなづける。M君は1994年からこのキャンパスにいるが、ずっとインコはいたように思うと言う。要するに彼らは、気づかれることなく定住に成功したというわけだ。

逆境にめげずだが・・・
 「日本野鳥の会」によれば、この鳥はワカケホンセイインコ。本来はインドを中心に南アジア一体に棲む熱帯の鳥だ。ペットとして輸入されたものが飼い主から離れ野生化し繁殖したという。初めは洗足池あたりで確認されたが、その後、多摩川沿い、野川沿いに西へ広がったらしい。もっとも読者の情報では、今洗足池周辺には全くいないというから、東工大は彼らにとって相当棲み心地が良い場所なのだろう。
 食べ物は果物、木の実、花など。その食べ物を求めて日中、東京中を飛び回って居るのだろうか。野鳥の会でもそのあたりは全くつかんでいない。現状では、「日本での生態は不明」だ。
 生地から無理やり引き離され、全く異質の環境にそれこそ「無一物」で放り出される、という理不尽な仕打ちを受けながら、それでも彼らはしっかりと生き延び、しかも増殖中。そのたくましさは驚くべきものだが、しかしそれは彼らが望んだものではない。人が行なった「ペット貿易」の成れの果て、あらゆるものを「商品」とするグローバリゼーションが生み出したものだ。
 グローバリゼーションの中で、動植物、さらに微生物までの国際移動も急拡大中だといわれる。東工大のインコはまさにその先駆けか。      おおたジャーナル02年2月号




 ・