| マングローブとは?
皆さんマングローブという言葉は何度も聞いたことがあると思いますが、具体的にどんなものなのか、ご存じでしょうか? マングローブの定義は研究者によっても違うのですが、きわめて大雑把に言ってしまえば、熱帯から亜熱帯の沿岸地域の海水と淡水が混じった汽水域に育つ植物をマングローブ植物といい、そのような植物から構成される森林をマングローブ林と呼びます。種類としてはヒルギ科のものが代表的ですが、それ以外にも多くの分類群にまたがっています。汽水域に生息すること以外に、独特の形をした根を持つとか、まだ枝についている間に発芽する胎生種子を持つなど、マングローブ植物にはいくつかの特徴があることが知られています。全てがその典型的な特徴を持つとは限らないのでどこで線を引くかが難しいのですが、世界にはマングローブ植物と呼ぶべきものが150〜200種程度あるようです。
マングローブ林は海と陸との接点にあることから、独特の機能と生態系を持つことでも知られています。つまり、通常の森林としての機能に加えて、魚介類や水棲哺乳類に住み処や繁殖場所を提供し、陸と海の両方の生態系にとって重要な地域となっているのです。河川から常に栄養分が供給されるため、生物生産性が非常に高いのも特徴です。高潮や強風などから海岸地帯を守る上でも役立っていますし、人間にとっては木材生産の場としても重要です。
マングローブの現状
このように非常に高い価値があるマングローブ林は、以前はマレーシアほぼ全国の海岸や河岸に発達していました。しかし、この価値がきちんと理解される前に、工業用地、油ヤシ畑や水田、エビ養殖、あるいは住宅地やリゾート地などへと次々に転換され、面積は急減しました。1980年にマレーシア半島部だけで111,081haあったマングローブ林は、わずか10年後には92,440haへと約17%も減少したのです。この変化により、物質循環や食物連鎖など、汽水域の生態系は大きく乱されてしまいました。
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