「ミルフォードトラックで見ることのできる蝶」
ニュージーランドの蝶

 ニュージーランドに生息する鱗翅類の昆虫は、夜間に活動する「蛾」(マオリ語でPurerehua)が圧倒的多数を占めます。「ニュージーランドの花に白色や黄色が多いのは、暗がりでも蛾が見つけやすい色だから」という説があるぐらいですから、1700種を超える「蛾」が植物の受粉に役立っているのでしょう。
 一方、「蝶」(Pepe)は種類が非常に少なく、オーストラリア大陸から気流にのってやってくる「迷蝶」を含めても25種類程度なのではないかと言われています。「蝶」の種類が少ないということは「蝶」の数自体が少ないのかもしれません。

  「ミルフォードトラックには蝶がいない」・・・この言葉を現地で耳にされた方も多いと思いますが、正しくはありません。ニュージーランドに生息する「蝶」のほとんどは開けた場所を好むため、森林の多いミルフォードトラックでは見ることのできる場所が限られます。また、「蝶」は少しでも雨が降ると活動しません。雨や霧の多いミルフォードトラックでは「蝶」が活動する時間や季節が限られるのです。
 しかし、ミルフォードトラックに「蝶」が全くいないわけではありません。場所と時季に恵まれれば、ミルフォードトラックを舞う「蝶」を見ることはできるでしょう。
 
ここでは、ミルフォードトラックで見ることのできる「蝶」を紹介します。(画像はすべて私が撮影したものです。) 


レッド・アドミラル
  (
Red Admiral : Kahu Kura : Vanessa gonerilla 5.5cm)

 オレンジ色が美しいタテハチョウの1種。翅の裏はカモフラージュになっているため、画像のようにとまっていると見つけるのが難しいです。晩春から早秋にかけて活動するので、ミルフォードトラックのガイドウォークが催行されている時期であれば運がよければ見ることができます。
 画像はウェットランド近くのコケの上で吸水しているところで、日なたでは右上のように翅を広げて陽光を浴びているときもあります。アドミラルと呼ばれる「蝶」にはもう1種、イエロー・アドミラル(Yellow Admiral : Kahu Kowhai : Vanessa itea 4.5cm)という「蝶」がいます。ミルフォードトラックにも生息しているようですが、見たことがありませんので除外しました。

コモン・コパー(カッパー) 
  Common Copper : Pepe Para Riki : Lycaena salustius 3.5cm)

 赤褐色(銅色)をしたベニシジミの1種。夏の一時期にしか現れないため、その時期以外ではほとんど見ることができません。
 ミルフォードトラックでは、1月末から2月にかけての風の弱い晴天の日にクロウズネスト周辺の開けた場所で多数が飛んでいます。


ボウルダー・コパー(カッパー) 
  Boulder Copper : Boldenaria boldenarum 2.5cm)

 コモン・コパーよりひとまわり小さいベニシジミの1種。コモン・コパーと同じく、夏の一時期にしか現れません。
 ボウルダー・コパーのオスは翅が紫色で、日のあたり方によっては金属のように輝き、美しいです。

タソック・リングレット
  (Tussock Ringlet : Argyrophenga janitae 4.0cm)

 日本のタカネヒカゲに似た高山蝶。その名のとおり、標高が高いタソック帯に生息するのですが、ほとんど飛翔しないため見つけるのは難しいです。
 リングレットとは「小さな輪」という意味で、日本の蝶の模様で言うならば「蛇の目(ジャノメ)」。天敵の鳥を脅かすための模様です。
 画像はトラック上にとまっていて、危うく踏みつぶしそうになったタソック・リングレット。その場で私も休憩して、翅を広げてくれるのを待ちましたが、数分経っても全く動かないので諦めました。
コモン・ブルー、サザン・ブルー (画像なし)

 コモン・ブルー(Common Blue)は日本にも生息するシルビアシジミの亜種。サザン・ブルー(Southern Blue)はコモン・ブルーよりひとまわり小さいシジミチョウの1種でニュージーランドの南島にだけ生息しています。両種ともグレイドハウス周辺のような開けた場所に生息。動きが早すぎて写真におさめることができませんでした。