2000-11-04

付加命名法と除去命名法

# 水素原子の付加と除去
  # ラジカルとイオンの命名
# 酸素原子とそれに類する原子の付加
  # 窒素、硫黄、セレン、テルルへの付加
  # リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスへの付加

1 水素原子の付加と除去

二重結合への水素原子の付加は接頭辞 hydro ヒドロで表す。これは常に偶数個の付加となるが、適切な倍数接頭辞を添える。

1,2,3,4-Tetrahydronaphthalene [IUPAC/CAS]
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン

※bis(dihydro).. ビス(ジヒドロ).. のような表現は認められない。

1979年までのIUPACでは、すべての二重結合に水素原子が付加して完全に飽和になったことを、接頭辞 perhydro ペルヒドロで表すことができた。IUPAC 1993年のガイドおよびCASでは、常に倍数接頭辞を添えて表現する。

Tetradecahydroanthracene [IUPAC/CAS]
テトラデカヒドロアントラセン
Perhydroanthracene [IUPAC 1979]
ペルヒドロアントラセン

二重結合から三重結合への水素原子の除去は接頭辞 dehydro デヒドロで表す。これは常に偶数個の除去となるが、適切な倍数接頭辞を添える。

2,3-Didehydropyridine [IUPAC/CAS]
2,3-ジデヒドロピリジン

単結合から二重結合への水素原子2個の除去を伴う変換を表す語尾 -ene エンや、単結合から三重結合への水素原子4個の除去を伴う変換を表す語尾 -yne インも、除去命名法の接尾辞に分類される。

CH3CH=CHC≡CH
Pent-3-en-1-yne [IUPAC]
ペンタ-3-エン-1-イン
3-Penten-1-yne [CAS]
3-ペンテン-1-イン

高配位化合物を命名するための接頭辞 hydro の用法については、リンク先を参照せよ。

ラジカルとイオンの命名

ラジカルやイオンを表すために、次の接尾辞が使われるが、これらもそれぞれ、付加命名法または除去命名法の接尾辞に分類される。

2 酸素原子とそれに類する原子の付加

窒素、硫黄、セレン、テルルへの付加

(孤立電子対を持つ)ヘテロ原子に酸素原子が付加した化合物は、名称に付加語 oxide オキシドを加えて命名できる。環式骨格やア命名法で命名された鎖式骨格に含まれる硫黄原子がスルホンやスルホキシドになったこともこの方法で表せる。

酸素の代わりに S, Se, Te が付加したことは、oxide の代わりにそれぞれ sulfide スルフィド、selenide セレニド、telluride テルリドの語で表す。

CASではこれらの語は一般に、修飾句に記す。

Me3N=O
Trimethylazane oxide [IUPAC]
トリメチルアザン=オキシド
Trimethylamine oxide [IUPAC]
トリメチルアミン=オキシド
N,N-Dimethylmethanamine N-oxide [CAS]
N,N-ジメチルメタンアミン=N-オキシド
PhCN=O
Benzonitrile oxide [IUPAC]
ベンゾニトリル=オキシド
Benzonitrile N-oxide [CAS]
ベンゾニトリル=N-オキシド
Ph-N=N(O)-Ph
Diphenyldiazene oxide [IUPAC]
ジフェニルジアゼン=オキシド
Diphenyldiazene 1-oxide [CAS]
ジフェニルジアゼン=1-オキシド
Azoxybenzene [IUPAC 1979]
アゾキシベンゼン

リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスへの付加

CASでは単核のP, As, Sb, Bi の水素化物に対しては、修飾句ではなく、見出しに含める。この場合、H3E=NH 型の化合物は、同様に、oxide などの代わりに imide イミドを用いて命名する。

Ph3P=O
Triphenylphosphane oxide [IUPAC]
トリフェニルホスファン=オキシド
Phosphine oxide, triphenyl- [CAS倒置名]
ホスフィン=オキシド, トリフェニル-
Ph3P=NH
Triphenylphosphane imide [IUPAC]
トリフェニルホスファン=イミド
Phosphine imide, triphenyl- [CAS倒置名]
ホスフィン=イミド, トリフェニル-

ただし、主基の接尾辞があれば、oxide の語を修飾句に記す。

Ph2P(O)CO2H
Diphenylphosphinecarboxylic acid oxide [CAS]
ジフェニルホスフィンカルボン酸=オキシド

ただし、ホスフィンイミドの窒素原子上に炭素基やアシル基の置換があれば、より化合物クラスの高い、アミンやアミドの誘導体として命名する。

Ph3P=NCOPh
N-(Triphenylphosphoranylidene)benzamide [CAS]
N-(トリフェニルホスホラニリデン)ベンズアミド

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