受取手形を盗まれた、なくした!

Question 

ちょっとした商売をしています。
代金支払いのために、取引先から手形を受け取っていたのですが、
先日泥棒に入られてその
手形を盗まれてしまいました
手形の決済期日は来月です。
私はどうしたらいいのでしょう?

Answer

手形を盗まれた、なくした、という事故はけっこう多いようです。
これから述べるように「除権判決」という手続の問題になり、
司法試験でも勉強するのですが、
実務上こんなにたくさんの事例があるとは思ってもみませんでした。

僕の友達の事務所の顧問先の会社(どことは言えないのですが・・・・)は、
わずか数ヶ月の間に2度にわたって受取手形を紛失したそうです。
盗まれたというのならともなく、もうちょっとしっかりしてくれよ、と思います。

いちおう、手形を盗まれた場合を前提にしてお話をしましょう。
しなくてはならないことは次のとおりです。

<警察に盗難被害届を出す>

あとで説明する公示催告の申立てをするとき、被害届の受理証明が必要になります。

<振出人(途中に裏書人がいれば裏書人も)に連絡をする>

支払期日に、盗まれた手形が銀行に持ち込まれた場合、
銀行に
「異議申立提供金」というお金を預けて、決済を止めてもらいます。
提供金は、手形の額面と同じ金額です。
このお話をすると
「来月が期日なんですけど・・・・
お金が用意できないかもしれません・・・・
とおっしゃる方がいますが、これは大きな誤解です!

異議申立提供金を積むのは、盗まれたあなたではなく、手形の振出人です!
振出人は、どのみち期日には手形を決済できるよう、
お金を用意しておかなくてはなりません。
しかし、手形が盗まれたとなると、
銀行に手形を持ち込んでくるのは泥棒かもしれません
実際には泥棒本人が持ち込むことはなく、第三者を介入させるのですが・・・・。
そこで振出人は、手形を持ち込んだ人にお金を払うのではなく、
銀行に異議提供金を預けて、正当な権利者が誰か決まるのを待つことになるのです。

これで期日に手形が持ち込まれてこなければやれやれ、と言ったところなのですが、
盗まれたあなたが手形金を手にするためには、まだ次の手続をしなくてはなりません。

<公示催告(除権判決)の申立てをする>

手形の支払地を管轄する簡易裁判所に「公示催告の申立て」というのをします。
裁判所は、だいたい半年程度の期間を定めて、官報に
我こそがこの手形の正当な権利者だと思う者がいたら名乗り出るように!」
という公告をします。
これが「公示催告」です。
本屋などで書式集も売られていますが、
ややこしい手続なので弁護士・司法書士を依頼したほうがよいでしょう。

もし、これに応じて名乗り出た者がいれば、誰が正当な権利者か裁判で決着をつけます。
手形を持っている者が、
盗難手形だと知っていて手形を取得したと証明できない限り、
盗まれた側は勝てません。
想像しても分かるように、この証明はほとんど不可能です。
だから、泥棒はいわゆる
「善意の第三者」を間に入れて、手形金取得にかかってくるわけです。

名乗り出た者がいなければ、決められた期日に法廷に行くと、
めでたく
「除権判決」という判決をもらうことができます。
これをもらうと、盗まれてどこかにある手形は
ただの紙切れになり、
盗まれた側が異議申立提供金として積まれていたお金を手に入れることができます。

・・・・やれやれ。長い道のりですね。
みなさん、手形の管理にはくれぐれもご注意を!

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