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C音程、チューニング

 

 音程の問題は、大変に複雑かつあいまいに認識されやすい問題であるが、自然界の物理現象と捕らえれば、何ら複雑でもあいまいでもない事である。

 先ほど述べた平均律や、器械に頼った人工的に作り出された認識が、この問題を解り難くしている。

 

 最初に音に付いての知識を整理しておこう。

 音は振動、空気の濃薄の繰り返しの疎密波。

 一秒に一回繰り返される事を、1Hz.(ヘルツ)。16Hz-30000Hzが可聴域とされるが、最近の研究ではその域外の音も大きな影響を持つと言われている。

 音楽の基準は、一点イ音 ”A” が442Hz(かつてはでは440Hz)が主流。

 音楽に使われる音を楽音、それ以外を騒音と言った時代があるが、それは音楽心理学的差別。実際にはどちらもが音楽にとって大切な要素。

 音には単純な周波数の音だけではなく色々な音が組み合わさって出来ている。

 音の鳴り出しには、雑音(騒音)が混ざり音の立ちあがりを明確にする働きも有るが、あまり多すぎると衝撃的でありすぎたり音程が定まらない事がある。

 また音程が定まっても、倍音の加わり方によって音色が変わり、音程感にも影響がある。

 

倍音

 音は純音で存在する事はまれ。必ず基本的振動数の整数倍の音を含んでいる。それを倍音と言う。

 音色の差異は、その倍音の含まれかたによるとされている。(最近ではそれよりも音の立ちあがりの雑音の違いによると言う主張もある。)

 倍音の関係は、其音をC ド 1Hzとすると、

 

 

其音 C 1Hz
第二倍音 C 2Hz
第三倍音 G 3Hz
第四倍音 C ド  4Hz
第五倍音 E 5Hz
第六倍音 G 6Hz
第七倍音 B シ−フラット 7Hz
第八倍音 C 8Hz
第九倍音 D 9Hz
第十倍音 E 10Hz
第十一倍音 F ファ 11Hz
第十二倍音 G 12Hz
第十三倍音 A 13Hz
第十四倍音 B シ−フラット 14Hz
第十五倍音 H シ       15Hz
第十六倍音 C 16Hz

 完全にこの様に成るわけではない。特に第七、11、13、14、15倍音に関しては音階の中には含み難いので近似値として考えて欲しい。

 この表で注目していただきたいのは、この程度までの低次倍音では其音と第二倍音と同じ音が、圧倒的に多いことだ。計算上では当然の事ながら、音楽で使われる主音と属音になるこれらの音が沢山含まれる。

 つまり、この関係が非常に強固になると言う事を、まず認識していただきたい。

 

音律(音階):

 音律つまり音階は、今現在では1オクターブ(二倍の振動数)の間を十二の音に分けて表している。

 その音を均等に分けた物を、平均律と言う。
 その為に先ほどの説明の倍音の関係から少しづつずれている。その為に二音間では振動の干渉が起こり、「うなり」 が生ずる。

 その平均律が発明される前に有ったのが、純正律である。
 これは、三倍の振動数の音を積み重ねていくと十二番目にもとの其音と同じ音にほぼ戻ってくる。
 その為それぞれの音がとても良く響きうなりが生じないが、基準音が変わると(転調)音の関係が変わり、平均律以上の「うなり(ヴォルフトーン)」を生じる。

 それらを補正した音律に、ミーントーン等があるがいずれも一長一短である。

 その中で平均律は、全ての音の関係はすっきりと協和しないが、演奏上では最も問題が少ない。

 それは、音は共鳴するのでわずかな違いは物理的に解消され倍音の関係に収束しようとする働きがあるからだ。

 その時の二音の優位性はエネルギーの力関係で決まる。

 すなわち、強い音が、あるいは何度も出てくる音が優位に立ち、おのずと主音(其音)と属音(三倍音)との関係が強まり、調性感を高めていく事に成る。

 調性感に無頓着であれば、その関係は薄れるだけでなく全体として粗雑な響きに成ってしまう。

 

協和不協和

 そのような音の係わり合いがあるので、特に意識しなければ本来音は協和しようとする物である。

 むしろそれを意識的に協和させないでおこうとする事に、人の感情の表現が生まれる。

 前の Bメロディーとハーモニー で説明した非和声音がその音である。

 以前は、不協和音といういい方が一般に使われていたが、近頃はあまり言わなくなった。意外に言い得た表現の様に思われる。
 使われなくなった原因に思われるのが、複雑なハーモニーの使用とその理論だろう。その事は前に述べたので重複は避けるが、複雑なハーモニーの面白さも有るには違いないが、必ずそこから単純明快な音の関係への解決が、意味あることと思って欲しい。

 ストレスの効用は、それが解消されたときにのみ現われる物だ。

 常に協和が前提だ。

 

音程

 音程が定まるとは、その音の最も低い音(其音、第1倍音)が一定の振動数を持つことで、それを決定するのは、振動する物質の量と質によって決まる。

 この振動する物質も、発音体と共鳴体とに分かれる。

 発音体は、唇、声帯、リード、弦、皮、鍵盤、など特別に想像できないような物は無い。

 しかし共鳴体は意外に想像が難しい。

 分かりやすいのは弦楽器の胴だ。ピアノの箱もまだ分かる。人の体もそうだし管楽器の管も共鳴体だ。

 しかしここで注意しなければならないのは、それぞれの共鳴体だけでなく、共鳴の本体はその中の空気である事に気が付かなくてはならない。

 この空気こそが音の音程を定める物である。

 また当然その共鳴体が倍音を発生し、音色を構成する。

 特に声楽や管楽器においては、体の中の空間が大きな決定する要因になる。

 管の長さや発音体の緊張具合だけが音程を決める様に思いがちであるが、身体の共鳴体(筋肉)の緊張や、空間の形や大きさが音程、音色(倍音)を決定する大きな要素である。

 弦楽器やピアノ打楽器は、弦の張り方や押さえる場所で決まる事は当然ながら、演奏者の身体が影響するとする経験論的な立場から主張する名演奏家もいる。

 倍音の関係も含めた正しい音程の取り方は、音色やアンサンブル、音楽の解釈によって大きな影響をおよぼす。

 この正しい音程とは、其音の器械測定による正しさで無く、調性も含めた音程の取り方である。

 

HOW TO

 音程を合わせることは、器械的に合わせることを考えればこれほど難しい事は無い。

 なぜなら、その音一つだけを考え前後の関係を断ち切らなくてはならないからだ。
 それは他人の存在や今までしてきた事を忘れなければならない。全て目の前の音のみを考え、絶対的な音程を取っていくような事は、器械にとっては当たり前でありそれしか出来ない。

 しかし、人間には無理だ。そうするには他人を無視し、独り善がりな無神経な態度を強要しなければならない。

 それは音楽の最も大切な要素を、無くしてしまわなくてはならないことに成るのだ。

 そのような指導者に会えば、大変不幸な事に成る。

 解決法はただ一言で言うならば、「音楽を知る事」に尽きる。

 大変抽象的な言葉だが、言葉で無く音その物で考え知る事である。

 すなわち、「音楽(節)を知る(覚える)事」である。

 短いフレーズなら誰でも覚えられるし、正しく音程を感じられる。出来ないと思う人はそのフレーズが長いからだ。またはそのフレーズの取り方が間違っているからだ。
 言葉でも単語の意味も分からずただ棒読みをすれば、とんでもなく変なイントネーションに成ってしまう事と同じだ。 

 それを音楽学的に解説するならば、

 その曲の主音(調子)を先ず知る事だ。ただ単に、ハ長調とかB(べー)だとかの言葉でなく、その音そのもの、すぐにでも声に出せるような知り方だ。

 その様にすれば、身体がその主音の最も良く響くフォームに成って、その他の音もその倍音が響き易くなりあまり主要でない音が響きにくくなる事で、よりそれぞれの音の役割が出る上がる。

 むしろ、そのような音しか出せない事になる。

 もちろんまだ音階も出来ない初心者には無理ではあるが、それが出来ないから初心者でもあるわけだ。
 先ずは主音を声で出しそれからそのフォームで音を出す事を覚えれば最初から整った音を出す事を覚えられる。

 五度三度は間違い無く、純正率の音程が出せる。一オクターブは、力が入ってしまいフォームを維持できなくなる事が多く、その時には一オクターブでも簡単に音程が外れてしまう。

 楽器はそのような音程の幅が与えられており、対応出来るように設計されてある。

 それでも合わない時に、考えられる問題が、チューニングである。

 

チューニング

 ピアノや弦楽器打楽器と、管楽器は分けて考えなければならない。

 ピアノ弦楽器打楽器は、弦や皮などの張り方を整えて音程を合わせておくことは想像がつく。
 また日により、温度や湿度により楽器その物や発音体が変化するので、使用する毎にチューニングが必要になる。
 ピアノや鍵盤楽器は、あまり環境によって変化し難いので一年あるいは数年毎で良い。

 鍵盤楽器も、たまには調律に出そう。

 管楽器も温度によって変化するのだが、楽器その物の変化はわずかなのであまり変わらないと仮定して良いだろう。

 では何が最も変化するのだろう。

 管の中の空気だ。

 空気は温度が変わればその体積はとても大きく変化する。吹き始めれば、息の温度は体温までは上がらなくてもかなり外気より高いので、当然体積は増え比重が下がり音程は高くなる。

 チューニングする前に十分楽器を暖めるのはその為だ。

 楽器その物は、設計段階では、一点イ音(A)を 442Hz(以前は440Hz) を基準に作っている。
 もちろんある程度の補正が利くように幅を持たせている。

 その幅がチューニングの要点になる。

 すなわち、その補正の幅が十分に生かせるためには、その中間点にチューニングする必要がある。

 しかし一度チューニングをすれば何度もする必要は無いはずだが、毎日しなければ成らない。

 その理由は、演奏者の身体が音程を定めるのに大きく影響するからだ。

 毎日息のスピードや唇、身体の調子などあらゆる条件が変わってくる。また同じ状態を記憶しておけない。

 だからと言って楽器をその時々にチューニングしていては、演奏途中も頻繁に変えなくては成らなくなる。

 

HOW TO

 管楽器のチューニングは、自分の身体の調子を知る事である。

1.先ずは楽器は何時も同じ音程であると仮定する事から始める。

2.何時もの様に演奏してみて調子を上げる。

3.チューナーなどで基準音と比べる。

  まず必ず違っているはずだ。

4.息のスピードや唇の状態などを調整する。

 これがチューニングだ。

 ただし、自分のとても調子の良いときに、チューニング管のチューニングをしておかなければ成らない。

1.同じスピードで吹きながら、唇で音程を変えてみる。

2.その中間転を探して、その音程を基準音に合う様にチューニング管を抜き差しす  る。

*前に述べたように設計は通常Aで成されているので、Aで合わせたい。
 その為には、金管楽器ではバルブ調性管を正確にそれぞれ、全音、半音、1.5全音に合わせておかなければ成らない。

*また木管楽器は、指を離した時と塞いだ時とで長さを変えるが、音質も変わるために、短くなるにしたがい高い目に、長くなるに従い低い目に穴をあけてある。
 Aが真中当りの長さの楽器は良いが、どちらかに偏っている場合は注意が必要。

*特に inC inEs inF の楽器は、吹奏楽ではB(変ロ音)でチューニングする事が多いので、前もってそれぞれの楽器の中心になる音を知っておき、Bを出すときに基準にしないように気を付ける必要がある。

 

もっと実用的な方法としては、

1.チューナーで何かの基準音を出す。(Bでも良い)

2.その音を声で出してみる。
  なるだけ低い声で出してみる。

3.その時の腹筋の緊張する場所を確かめる。

4.同じ緊張で同じ音を吹いてみる。

5.まず基準音と同じ音が出るはずだ。

6.そこでどうしても同じに成らない時に始めてチューニング管を疑うのも良い。

 この方法は、とても大切な方法である。

 共鳴体である体が出来るので当然同じ音が出るのだが、身体が緊張していたり他の事に気がとられていると合わない。

 音楽に集中しているかのバロメーターでもある。

 ハーモニーも根音を声に出しそれぞれの音をそのフォームで出せば、簡単に純正律のハーモニーになる。

 ハーモニーだけでなく曲を演奏している間中、主音のフォームを維持していれば、自然に良い響きになる。

 根音や主音が分からない時には、Bassを聞くだけでも良い。

 自然に主音の身体のフォームになる。

 この方法を使わない手は無い。


D音楽の表現

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