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<合奏の指導>

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 前の演奏の指導の項では、もっぱら視点を個人の演奏に置いて指導法を説明した。

 個人の技量無しには良い演奏が出来ないのは当たり前であるし、あくまで個人のレヴェルで音楽の方法論を学ぶ事は基本である。
 しかし、音楽の方法論は個人の側からだけでは不充分である。常に他人との係わり合いの中でなされる芸術においては、複数の演奏者の関係を学ぶ必要がある。

 通常ここまでの説明はそれぞれ楽器の専門家の方がより詳しく述べる事も可能であろう。ここからは我々指揮者の知識を皆さんに学んでいただこうと思う。

 この項では、全体の指導と個人の技量との関係を主に取り上げ、説明しようと思っている。

 前項と一部重複する所もあるが、おのずと関係があるのでお許し頂きたい。

 この項を読んだの後にもう一度前の<演奏の指導>を読みなおしていただければより指導法がハッキリとしてくると思う。

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@楽譜と編成の問題 Aテンポ、リズム

Bメロディーとハーモニー C音程、チューニング

D音楽の表現 E基礎合奏練習法


@楽譜と編成の問題

 

 今演奏しようとする曲の楽譜を手に入れたところ、なんと自分たちの編成にない楽器が有ったり、場合によってはパートが存在しないなどが起こることは珍しくない。

 十分なメンバーや楽器がそろう事の方がむしろまれであろう。

 その時にその曲を断念してしまうにはあまりにつまらない。そこで何とか自分たちの編成でも出来るようにパートのコンバートをしてみよう。

 *ここでのコンバートとは、他の楽器に移る事ではなく、楽譜上で自分以外のパートも演奏してみようと考える事である。

 確かに無謀であり、作曲家にとっては望ましくない事であるのは言うまでもないことだが、沢山の人がその曲を体験できる喜びの為にお許し頂きたい。

コラム

 実際に今の様に作曲された編成そのまま演奏するようになったのは、以外に最近の事で、ほぼ50年ぐらい、第二次大戦後ぐらいの事である。
 それ以前は、その土地の演奏団体の編成で出来る様に書き換えていた。勿論モーツアルトを始め偉大な作曲家でさえその様にしていた。
 モーツアルトが旅先から父レオポルドに送った手紙に、「ここのオーケストラにはビオラがある。又オーボエが二本もある。」等と書き送った事もあるぐらいだ。
 また、曲の長さを勝手にカットしたり、1つだけの楽章だけを演奏したりしていたものだ。
 まだ著作権の考え方がなかったのも事実だが、実際に演奏会なども、もっといいかげんな物だったに違いない。

 

HOW TO

基本的な考え方:

 全く自分の好みのままにコンバートする事は編曲になってしまうので避けたい。あくまで目の前の合奏編成に合わせることが目的である。

 楽典的知識にとらわれると全く原曲が損なわれる場合も多いので、実際に聴いてみて最もふさわしい物を探さなくてはならない。
 例えば、音域を実音に基づけば、SAX.等は一オクターブ記譜より低いのでビックリするほど低い音に聞こえてしまう。音域は、それぞれの楽器の音域 (低音域、中音域、高音域) が相応する方が良い。

 Soli(パートソロ、Soloの複数形)や、ハーモニーを持った一つのパートで旋律などを演奏する時は、一番上のパートはなるだけオリジナルの楽器もしくは近い音色の楽器で演奏し、他の部分は何の楽器ででもあまり問題はない。

 いつも同じ楽器が旋律を担当するのは変化がないので、前後の関係を良く見て技量よりも音色の変化を考えたい。

 

特殊管のコンバート:

 Ob      ⇒ Fl  又は EsCl  又は Cl  
           (特に音色を重視したければ、ミュートを付けたコルネットもかつては良            く行われている。)

 Eng.Hr.    ⇒ Sop.Sax がベスト 
           (もしも昔の作曲家がこの楽器を知っていればむしろこちらを使ったの            ではないかと思えるほど最適だ。) 

 Fg.      ⇒ BrSax 又は Euph

 Hrp.      ⇒ シロフォン 低い音は、バスマリンバがあれば良いが、弦バスもよい。
           勿論マレットは何種類も試して最適の物を探さなくてはならない。
           (マリンバをソロ楽器だけに音色感が強くあまり適さない。本物のハープ            の音色も吹奏楽器の中ではなじみ難いのであまり良いとは思えない            時がある。)

 他の打楽器 ⇒ これはアイデア次第。オリジナルの音を CD などを参考にし、良く似た            音の出る物を工夫しよう。

 

オーケストラ作品のコンバート:

 ようするに編曲だと言ってしまえば良いのだが、コンバートの基本理念に示した様に、あくまで作曲家が吹奏楽を目の前にした時には、このようにしたであろうとの想像から出発したコンバートと理解して欲しい。

弦楽器 ⇒ 全ての楽器
        (オーケストラに於いては、あくまで主体は弦楽器である。すなわち、トゥッティ         Tutti は弦楽器の全合奏を指している。又、管楽器のそれぞれの音色の特         徴は個性的であるが、やはりトゥッティに成ると混ざり合った音色に成る。)

弦楽器のトレモロ ⇒ 木管楽器の二つの音のトレモロが最も効果的。大概はハーモニー        を伴っているのでその構成音をトレモロする。
        (通常その音を長く伸ばすだけの編曲が殆どだがそれではトレモロの効果は         出ない。)
         鍵盤楽器のトレモロを加えるのはとても効果的。特に高音の単音の音に        ついては他に解決はないかもしれない。場合によってはサスペンダーシン        バルのトレモロも効果は有る。

*気を付ける事は、弦楽器の圧倒的数の効果を忘れず考慮する事。すなわち決して単独や数人だけで弦パートをコンバートしない様にしたい。

その他管楽器打楽器パート ⇒ そのままが望ましい。管楽器の音色の特徴を考えるの         なら、その前の部分の弦楽器の旋律を Sax. 等にして変化をつけると解         決する。

Piano  ⇒  ピアノで良い。

Harp.  ⇒  前にも記したが、ピアノでも補える。その場合は 左ペダルを踏んで、ウナコ       ルダ Una Corda にすれば音色が混ざりやすい。

 

 


Aテンポ、リズム

 

 この二つの問題は切り離しては考えられない。又拍子の問題も含んでくる。

 どちらも音の動きの言葉だが、テンポは全体の流れの動き、リズムは流れの変化の動きと定義してみたい。
 すなわち、テンポは拍子との係わり合いが強いが各々の音符の音価とは関係しない。リズムは一つの音符に関しての動きの変化が意味を持つ。

 

速度の問題:

 テンポやリズムには常識的な速さがある。楽譜に示された作曲者の意向も勿論あるが、それも常識的な速さを 「よりどの様にするか」 が書かれてある。

 そのような常識的な速さやリズムを知るのは、音楽の教養の問題になってくる。日ごろから色々な演奏を聴いておくより他無いのかもしれない。

 ただ我々でも、各地の民族舞曲の色々なリズムを、決して理解できないわけではない。
 そのリズムを心地よく刻める様であれば、本来のリズムとそんなには違っていないはずだ。

 同じようにテンポも、その曲になじめばその速さに間違い無いだろう。
 ただリズムでもそうだが、より音符以外の情報、表題や速度記号などの注意を払いできるだけの知識を得る努力はしなければならない。

 この問題では、個人的な解釈などはありえない。 

 

HOW TO

 キーワードは、Moderato この中くらいのテンポでといった考えはとても役立つ。
 早い曲は最初は少しゆっくり、遅い曲は少し速くすると全体像が見えてくる。慣れてくるとおのずと本来のテンポへの欲求が生れて来るはずだ。
 自分たちで気に入ったテンポが出来たら実際に楽譜に書かれているテンポと比べてみる。同じであれば作曲家も同じように考えたに違いなく、違っていればもっと速くか遅くして欲しいといった要求が分かる。

 最初から楽譜に書かれたテンポをメトロノームに合わせて練習するのも、一つの方法だが、以上のような作曲家の意図を知るには難しい。

 かなり練習の進んだときにもう一度違ったテンポで演奏してみると、よりその意図を理解しやすい。

 特に早い曲のときに徐々にテンポを上げていく練習をするが、本来のテンポを見失ってしまうので、全体の練習と言うより個人練習としてやりたい。

 全体の合奏では出きる出来ないよりも音楽の内容を示し、それに到達するように意欲を持たせる様にすべきだ。

 

*テンポを考える時、その音楽が何の音楽に属するかを考えればおおよそ見当がつく。

   歌   踊り   情景

 この三種類、

 速度も

   速い   遅い   速くも遅くも無い

 そしてそれぞれ、おおよそ

M.M = 120   = 60     = 90

 勿論これは目安であるが、全く見当が付かないときは役に立つ。それに MM=60は、一秒、その2倍が =120 (行進のテンポ)、その三拍に二拍入れば =90
メトロノームが無くても想像はつく。

速度標語のテンポ感:

遅いもの

Largo 積極的な遅さ、引き伸ばすような流れ。
Lento   消極的な遅さ、後ろ髪を引かれるような進み方。
Grave 引きずるような遅さ、遅々として進まない。
Adagio 一歩一歩確実に進むが、なかなか進まない。

中庸のもの

Moderato 中庸、遅くも速くも無い、全ての速度の基準。
Andante ゆったりと歩く速さ、
 むかし(古典派まで)は馬が、ゆえに少し速めに動きを持って。
 今は(ロマン派以後)人間が、ゆえにゆったりとのんびりした動き。

速いもの

Allegro 走るような速さ、人や車などが。

凄く速いもの

Presto 走ると言うより飛んでいる感じ、ツバメの飛んでいるようなスピード感。
Vivo エネルギッシュに目いっぱい走っているような速さ。
Vivace 忙しそうな速さ。

接尾語など

-etto 弱い、少ないの意味が加わる。
-tino 小さい、かわいいのような意味が加わる。
-ssimo 最上級。

 

拍子の問題:

 音楽の指導には楽典の知識は書かせない。しっかりと勉強しておきたい。

 ※拍子の分類

  単純拍子(2XN) 複合拍子(3XN) 混合拍子(2N+3N)
2(4)拍子系 2,4, 6,12, 5(2+3,3+2)
3拍子系 3, 9, 7(2+2+3,
  2+3+2,
  3+2+2)

8(2+3+3,
  3+2+3,
  3+3+2)

 拍子を分類すれば単純拍子と複合拍子に、又は二拍子と三拍子に分けられる。

複合拍子:

 ブランコのようなスイングのリズム。
 馬が走ったり、心臓の鼓動など自然の中に有る動きは全てこのリズムと言っても良い。

 符均等な割り振りだが、2:1の割り振りに成っている。
 ブランコも、二拍で上がり一拍で落ちてくる。それが二回あれば六拍子、三回で九拍子、四回で十二拍子となる。

単純拍子:

 人工的な均等な割り振りのリズム。

 我々にとって平等は当たり前だが、その思想はタカダカ200年来の物、モーツアルトの頃からだ。バロック時代には、均等な符割でも今のジャズのスイングに時のように、複合拍子に変えて演奏されていたといわれている。

混合拍子:

 以上の二つの拍子が混ざった物を言う。

 二拍子では、前半が単純拍子(2)で後半が複合拍子(3)の五拍子(2+3)とその反対(3+2)の二種類がある。

 同様に三拍子では複合拍子が一拍分の七拍子と、三拍分ある八拍子がある。そしてそれぞれ3種類ある。(表参照)

コラム

*混合拍子は現代曲に良く使われるが、本来アルメニヤやギリシャ地方の舞曲に古来からあるリズムだ。

*拍子が必ず在るのもバロック時代頃からで、ルネッサンスや中世の音楽には拍子だけでなく小節線の無い物も有る。

 

HOW TO

 この拍のパターンは、ただ単に基本的な速度を決める単位でなく、常に音楽の持っている動きに現れる。
 つまり、音符の音価に関係無くその動きが現れる。

 例えば、常に細かい音符に分割されたパッセージも、その拍子パターンで組み合わせる事ができる。又しなければならない。それでなければそのリズムは現われない。

 反対に長く伸ばされた音でも単に機械的に伸ばされず、常にその拍子の動きが表現されなくてはならない。

 単純拍子は単に二分割とシンコペーションの二種だが、複合拍子は、三種ある。

 2:1 の基本のリズムと、 逆のシンコペーション的リズムの 1:2、もう一つ均等に三等分するリズム 1:1:1  の三種だ。

 最後の 1:1:1 は、普通我々はこのようなリズムを基本にとってしまうが、それでは上手く表現できない。原因は均等なこのような取り方は単純拍子と同じような表情になり、複合拍子のスイングする表情は出ないからである。フレーズの最後などにあえてスイングの動きを止める時などには見られる。 

 均等な動きのブランコを想像すればいかに不自然かが分かってもらえるであろう。

 


Bメロディーとハーモニー

 

 我々は「音楽の三要素」という言葉で音楽の構造を理解してきた。
 それら (リズム、メロディー、ハーモニー) は、互いに密接な関係を持っている。

 メロディーは、常に他の二要素を内包している。
 メロディーがあれば当然ハーモニーは有る。
 ハーモニーだけでは音楽にならない、必ずリズムを伴っている。

 ハーモニーは単独に解析する事も可能なので作曲においての重要な学問として扱われてきた。特にジャズの歴史においてはコードネームと言う形での、最も重要な要素として取り扱われている。

 ハーモニーについては他にも沢山の参考書があるので、ここではそれらに詳しい説明はゆだねたい。

 ただ知識として、我々演奏家にとっては複雑なハーモニーの知識よりも、ハーモニーに変化を与える非和声音(和声外音、和音外音)の知識の方が必要であり、演奏上では重要である。詳しくは後ほど述べたい。

 リズムについては前の項で述べたので、この項では主にメロディーについて触れる。

 今論じ様としている合奏 演奏において、ハーモニーの知識は大切であるが、メロディーとの関係を知ることに重点をおいて欲しい。

 最も基本的な問題として、ハーモニーは何時でもどんな音楽でもあると定義しておきたい。
 反論もあるのは承知しているが、ハーモニーの要素は、音の持っている倍音の成分であるので、最も根本的な音の要素としてのハーモニーまでさかのぼっての認識と思っていただきたい。

メロディー

 メロディーすなわち旋律はいまさら説明は必要無いだろうが、作曲家が作った旋律の成り立ちを考えてみよう。

 作曲家の頭の中でふと浮かんだ旋律を音符に置き換えた物である。
 その旋律は、その作曲家の発明だとは決して言えない。何故ならきっとその旋律はかつて聞いた事のある音楽の中に、きっと何処かにあったものか、良く似た物であろう。
 しかし盗作と言っているのではない。その作曲家の「潜在意識に刻まれた物」だという意味である。

 もし本当に人類にとって始めての旋律であるならきっと誰も理解できないであろうとの心理学者の言葉もある。

 それでも私が何処にも無かった物を作り出したと言われるのであれば、その作曲家は残念ながらアマチアのメローディーメーカーと言われても、作曲家とは呼べない。
 作曲家とは英語のコンポーザー(Composer )つまりコンポーズ(Compose 組み立て)する人のこと。
 要するに、旋律を思いつきで書くので無く、ある旋律を組み立てなおして色々な物を組み上げることで作品を生み出す仕事をする人である。

 すなわち、作曲された旋律は色々な工夫をされた構造を持っているという事である。

 その様に組立てられた構造を知る事から始めなければ、その音楽を間違ってしまう事になる。
 とても難しそうだが、文章の成り立ちと同じである。
 色々の単語に助詞や形容詞などを付け加え、言いまわしを考え、そこにその作家の個性や意図を含ませるのである。

 となると、その「文節に当る部分」を理解すれば良いのである。

 楽譜はカナばかりで書かれた文や、スペース無しで書かれた英文のような物である。自国語であれば何とか解読が出来る、知らない言葉は理解できない。

 そのような理解が音楽の良し悪しになる。

 自分の経験に頼るだけでなく、そこにはやはり文法がある。

 旋律は、「ある音がある音に変化する」 単純な音の組み合わせが基になっている。

 「始まりの音と終着の音」 が在る。

 その変化の時に、音階的に駆け上がったり、分散和音で跳ね上がったり、行きつ戻りつたどり着くなどの音符が付け加えられる。

 又それぞれの一つの音を、幾つもに分割したり、他の音を加えて飾る事もある。

 これらの変化の時に、隣り合った音に移動すると大概の場合ハーモニーしない音を含む事になる。そうすると一人での演奏もだが、他の音があればそこにお互いの音の間にストレスが生じる。
 それが先ほど出てきた非和声音である。

 前のハーモニーの音が残っている音が、掛留音(けいりゅうおん) 後ろ髪を引かれる思いの表現。

 次に来るハーモニーの音が飛び出してくる音を、先取音(せんしゅおん) 慌てて飛び出す表現。

 一つの音の回りを行ったり来たりする音が、刺繍音 (ししゅうおん) 刺繍の様に飾りの音。

 和声音から和声音に音階的に進む時に通る音、経過音(けいかおん) 旋律を滑らかにする音。

 突然ぶつかったような、倚音(いおん) 強い思い入れを表す。

 以上の5種類有る。

 

 これらの音の作り出すストレスは、人の心に色々な感情をもたらす。

 このような効果が起こるのは、ハーモニーが有るからであるが、そのハーモニーの機能とは直接関係ない。純粋にその時在る音同士の響きの変化である。
 特にストレスが解消したときの爽快感は、大変な感動を生む。

 解決と言う。

 このような効果は、単に主旋律だけでなく全ての旋律に在る。

 ただしその効果に気が付かなければ、あるいはお互いに無視してしまえば、効果が薄れたり全く機能しない場合もある。

 ゆえに旋律を分解し、それぞれの音の役割を理解している事が大切なのである。

 又旋律は、入れ籠状態(フラクタル) の場合もあるのでとても複雑な構造の場合もあるので気を付けたい。

コラム

 このような旋律の分析を試みた論文に 保科洋氏の 「生きた音楽表現へのアプローチ」(音楽の友社)と言う、大変立派な著書がある。
 この中で、「グルーピング」と言う言葉で説明がなされている方法論があり、ほぼ私の論じようとする分析とほぼ同様な意図の基になされている。
 大変に立派な論文であり私などが異議をさしはさめる物ではないが、ピアニストや打楽器奏者にはほぼ完璧な奏法論と思うが、歌や吹奏楽器弦楽器などの持続音のある演奏者にとっての完全な解決にはもう一段の説明が必要に思える。
 特に、イントネーション中でもアウフタクトに言及されていないのはとても残念に思う。音色の変化にも触れて欲しかった。

 

コラム 

 指揮者の世界で昔から言われている言葉に、「ファーストバイオリン指揮者」 と言う悪口がある。 
 メロディーばかりに気を取られている指揮者を戒めた言葉だが、そのあまりメトロノームに徹した指揮者が多く見うけられるが、それはあまりに管理者的でありすぎる。
 指導者である場合には、なおさらその様に成りがちであるが、管理者である前に音楽家である事を自覚したい。

 演奏する側も、自身がメロディーの場合常に主導権を主張し、他を従える様にバランスを要求する者もいる。勿論メロディが聞こえなくなるような他のパートは論外だが、お互いのバランスの上にある事がよりメロディーを引きたてる事に成る事を知って欲しい。
 他のパートと良い音程関係が出来ればメロディーの音はそのエネルギーを借り豊かに響く。

 

ハーモニー

 ハーモニーを学ぶ上で知っておきたい事は、「演奏理論ではない」 事だ。
 しいて言うなら、良いアンサンブルをすればその結果として現われる物だと思って欲しい。

 美しいハーモニーは、合奏の理想的関係の成果である。

 ハーモニーを美しくする方法の一つに、ハーモニーの構成音の音量を変える方法がある。
 しかし、常にその様にすれば旋律線は成り立たなくなる事は容易に想像がつくはずだ。
 この方法は、ピアノや鍵盤楽器などの平均律に調整されている楽器でのハーモニーを整える方法論であるが、全ての演奏に当てはまる事ではない。

 そのような楽器での演奏を主に考えていると、ハーモニーを一つの音の様に錯覚してしまう。もちろんその様に作曲された物もあるには違いないが、全てその様に捕らえてしまう事で、合奏の方法が間違って行われているのは大変に残念である。

 

 昨今コンピューターで作曲される事が多くなり、最も基本でありながら大変な技術を必要とする「同時に音を出す事の難しさ」を考慮に入れずに、いきなり複雑な和音を演奏させようとする傾向にある。
 器械にとっては何でもない事だが人間にとっては大変な技術が必要であるだけでなくその事ばかりに気が取られ、もっと大切な音楽的表現が出来なく、ただ正確に音符を音にする事だけを要求されている様に思えてしまう。現実の演奏法に合奏法にもっと関心を持っていただきたい物だ。

 音程に関しても器械は正しいとの思い込みで、本当に整っていない事に気が付いていない事も問題だ。

 

 もう一度

 美しいハーモニーは良いアンサンブルのプレゼントだ。

 

HOW TO

 

 メロディーの機能からハーモニーを考えれば、複雑なハーモニーではその機能の説明派大変に難しくなってしまう。

 通常演奏する時に考えているハーモニーは主要三和音と属7のハーモニーぐらいで十分である。

 むしろ主音、言いかえればその曲の調性に注目をしたい。

 そこで問題になるのは、純正律平均律である。

 特に三度と五度は、かなり違う。すなわちXのハーモニーの根音が平均律では低くなり、その為にドミナントの効果が弱くなる。
 純正律の第五音であれば、主音と属音の関係がはっきりとしてくる。

 このような関係で三和音を作れば、和声の機能も明瞭になる。

 しかし、主要三和音以外の和音ではあまり美しいハーモニーは期待できない。
 だがそれだからこそ主要三和音が協調され主和音、すなわち主音が際立ちその調性がハッキリ聞こえる。 

 よく間違って行われている事は、全ての音がハーモニーしていなければならない、全て何時でも整ったハーモニーでなければならないと考えている事だ。
 主要三和音のみ美しく響くと思って何ら間違いはない。そしてその整った主要三和音をメロディーの変化の音で、崩そうとしたり、ストレスを加えたり、又それが解消されたりする事により、色々な表現を生み出す事に気付きたい。

 これがハーモニーの役目と思って欲しい。

 練習とすれば、ハーモニーがどのような響きをするのかを確かめる事は重要である。
 それと、それだけを追求する事とを混同しては行けない。
 常に演奏している時に、全体が美しく響いている事に注目しながら、「自分の旋律と全体の響きとの係わり合い」を聞いていなくてはならない。

 それを練習したい。

 最初の<環境作り>の項で述べた「聴覚の視覚優位」はとても影響してしまう。

 例えば、楽譜を必死で追いかけたり、指揮棒に合わせようとしたり等、視覚にあまり注意が行き過ぎると、聴覚は閉ざされてしまうので全体の音だけでなく自分の音にすら注意をする事が出来なくなってしまう。

 指導者は、演奏者が自分たちの音に注目しているかどうかを、一番見守っていなければならない。

 あくまで自分の音が全体にとってふさわしいかどうかの判断は、それぞれの演奏者が判断しなくてはならない。

 演奏者個人の問題でもあるのだが、メロディーを上手に演奏する方法も知らなければならない。

 気分にまかせての演奏は独り善がりになり、決して美しい物ではない。
 ましてやクレッシェンドやデクレッシェンドで表情をつけるのは全く本質的でないばかりか、無機質に感じたり、押し付けがましいいんぎんな表現に感じられてしまう。
 安易にそのような方法を取るのは、もうヒンシュクを買うので避けて欲しい。

 これはイントネーションに属する問題だが、言葉と同様我々はとてもデリケートに抑揚をコントロールしている。その応用である。
 趣味のいい抑揚は人に良い感じを与え、説得力を持つ。

 その抑揚、つまりイントネーションは、他の音(自分で出したそれまでの音も含めて) とのハーモニーの関係である。

 

コラム

 純正律とは、音の自然倍音から作られた音律で、全ての音が整数倍の振動数の関係で作られた音階の事。
 ゆえに常に美しく響き、ひずみが出ないが、基準になる音が変われば全ての音が変わってしまうので、転調の度に調律が必要になる。

 平均律とはそのような不便を解消しようとして、一オクターブを十二の音に均等な音程に並び替えた音階。

 とても有用であり、転調などで調が変わっても違和感が出ない。
 しかし不自然な人工的音律であり、調性感が弱まってしまったり、ハーモニーがひずむ原因になる。
 それを解消する方法が、音量のバランス調整だ。

 ただし声や殆どの楽器では、音程の幅が作られていたり、共鳴現象などで純正律の音程を出す事は難しく無いばかりか、その方が出易い。
 それだけに調性を間違ったり音楽の理解が足りなければ、全く違った音律に成り美しい響きにならない。

 人間の感覚は自然であるので、音楽全体を理解していれば、おのずと最も美しく響く音律になるのも事実だ。

 理屈やチューナーに頼っては、ますます難しい。

 

 音楽は、たとえリズムセクションであろうとも、全てのパートにメロディーが有ると考えたい。

 合奏において各パートは、その重要性において優劣は無い。

 音楽の歴史において、多声部音楽 (ポリフォニー) の歴史方が永い。いずれの大作曲家にしてもその技巧を身に付ける事が、最初の大切な勉強であった。
 その後のホモフォニーの音楽であっても、それぞれの声部の旋律性は維持されているし、少なくとも大作曲家の作品や名曲とされる作品はその様に書かれている。

 

 旋律は基本的には一つの音だけでは意味をなさない。「ア!」「やー!」「オー!」等のような感嘆符のような使い方ぐらいだ。

 ほとんどの旋律の要素は、二音以上多くても四音ぐらいの音の変化で構成されている。
 一つの音を大切にすることは良い事だが、その音同士の関係を考えた上でどの様にするかの問題である。

 ロングトーンの練習で一音だけを出す習慣より、いくつかの音の変化を上手くできるような練習をしなければならない。

 大概の教則本はそのような練習が主体のはずだ。自己流の練習ではそこまで考えが及ばなくなってしまう事を反省して欲しい。

 

もっと実践的な吹奏楽器の合奏や合唱での方法

 第1に音色を整える。

 ほとんどの場合これだけで音程もハーモニーも整う。(倍音の問題を含むので大変重要。チューニングの項でもう一度詳しく説明をする。)
 一つのフレーズは同じ音色を積極的に保つ事が大切。

 第2に音量のバランスを考える。

 音色が整っていれば、特に強かったり弱かったりしなければ問題は無い。
 (先ほど述べた様に、鍵盤楽器などの平均律に調律した楽器にはこの方法しかない。)

 第3に音程を考える。

 ここで始めて音程を変える事を考えるが、実際には楽器のチューニングが悪いときにしかここまでは必要無いはずだ。(やはり後のチューニングの項で詳しく述べる。)
 弦楽器では、ポジションの取り方が不安定であればこの問題は大きい。

 

コードネームと和音名との対比

 M (Major) ⇒ 長三和音   m (minor) ⇒ 短三和音 

 d (diminished) ⇒ 減三和音   A (Augmented) ⇒ 増三和音

 Mm7 (Major-minor Seventh) ⇒ 属7

 mM7 (minor-Major Seventh) ⇒ モールドゥアー

 転回形はコードネームでは記されない。 

 例、 C6 ⇒ C の長三和音 + A(6度上の音)

 

 


C音程、チューニング  D音楽の表現

E基礎合奏練習法

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目次

 


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