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<演奏の指導>

「初心者に対して」 「経験者に対して」

 

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音楽の演奏で大切な事は

1.お互いを気遣い合いながら助け合う心

2.ひたすら良い音楽を求める向上心

3.積極的な毅然とした態度

阪神野村監督のスローガン
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T(Total) O(Object lesson) P(Process)

は、音楽でも大切な事


「初心者に対して」

メニュー

@楽器の決定

A最初の手ほどき

B合奏

C音楽の基礎知識の習得

 


@楽器の決定

楽器の編成

 楽器の編成を考えるのを真っ先にしなくてはならないと思うのが、常識であるのだが現実には、そこに今ある編成で何とかしなければならないのが今の指導者に与えられる条件の一つであろう。理想的な編成は考えられるが、その最も小規模な編成としては、

Fl.3(Picc.持ち替え)      Ob.1(あるいはEsCl.)

Cl.3+3+3               BCl.1

Fg.0

ASax.2(Sop.Sax 持ち替え) TSax.1 BSax.1

Tp.3         Hr.2         Tb.3

Eup.1        Bas.1        StBas.1

Per.3

合計  32名

 もちろんそれぞれ多いに越した事はないが、それぞれを三名を基本にする事で、アンサンブルをしやすくし、各学年に必ず一人入る様にするなども配慮できる。 現実にはもっとばらつきが出てしまうが、基本的には弦楽四重奏(混声コーラス四声部)のバランスを考えれば良い。おおよその比率としては、

 VnI,I,I,(Fl.Ob.Cl.Sax.Tp.) 3+2 

 Va  (Hr.Sax.Eup.Tb)   2 

 Vc  (Tb.Bas.StBas.)   1 

 +Per.

以上で9人での編成になる。
 室内楽の最も多いのが、オクテット(八重奏)であるので9人からを合奏と定義できるのかもしれない。

 

個人の楽器の決定

 以上の楽器の編成を考えると同時に、初心者にこのような楽器の種類や働き、つまり合奏にとっての分担が必要である事から説く必要がある。

 希望を尊重したいが、多くの初心者は特定の楽器や目立った働きの楽器にしか知識が無いので、入部からしばらくは色々な楽器を経験させるのも良い。

 楽器との相性は有る。又たまたまその楽器になったきっかけで大変な名手になった奏者が意外と多い事を知っておく。

 最初に楽器を持ったときの感触や音が比較的に容易に鳴る事は、相性と捕らえても良い。体格も考慮に入れざるを得ないが、成長と共に再考をしてあげるべきだ。

 合奏全体の中でのそれぞれの楽器の役割を説明し、自分の性格に合った役割のパートを選ぶ事も大切だ。

 意外にそれぞれに落ち着くものだ。

*注意すべきは打楽器や人気の無い楽器に、掃き溜め的に割り当てない様にしなくてはいけない。意外に音楽的に大切なパートが多い

 打楽器は、声と同様良い音のする者は先天的に居る。他の楽器と違って良くない音は中々変わらない。

 

A最初の手ほどき

 最初は習うより慣れろ。
 基本は自習。

 最初の段階は上級生が手ほどきをしてあげる。他人を教える事により又自分の奏法を見つめ直す機会にもなる。良い上下関係を作る第一歩でもある。誰にでも最初の一歩は必ずあるので全く教えられない者は居ないはずであり、苦労し努力して一歩先んじた結果である自覚も生れる。
 ある程度音が出るようになってからの指導は問題も出てくるが、最初の手ほどきはすぐ上の上級生が適任である。

 いくつかの音が出れば、すぐに合奏をしよう。

 たとえ間違っても変な音でも、とにかく皆で音楽を始めよう。

 何より効果的なのは、演奏している時間が圧倒的に多い事。
 一人で練習すれば半分以下になる。すぐに楽器を下ろして止めて考えこんでしまうからである。

 集団で練習していく習慣を付けよう。

 うまく出来ない人や場所は、後で先輩がパート練習でフォローする。 

指導者として気を付ける事

 上級生が投げやりに成ってしまわない様にする事は勿論だが、なるだけ直接の指導は避け、上級生にアドバイスするか、上級生の目の前で教える様にする。たとえ指導者と上級生が違う説明をしても別の場ですれば、お互いの信頼感をそこねる事になる。

 タンギングは絶対に教えなければ成らない。

 管楽器教則本の第1ページの最初に書かれている技術はタンギングである。経験者にとって忘れてしまうほど当たり前の技術だけに、重要性が感じられないが、後から身につけるには大変抵抗が出来てしまい、正しい奏法が出来なくなってしまっている現実がある。
 上手なタンギングはそれ自体難しいだけに、強くぶつけたりあいまいに成ったりしないように、口移しで教えるぐらいの丁寧さが必要だろう。

 各々のすべての楽器についての知識や奏法に精通する事は現実的ではないが、共通の技術は沢山あり、応用する事が出来る。指導者の専門とする技術を応用していけば良い。自分の技術を再確認する事にもなる。
 又、それぞれの楽器のウイークポイントは、あまり考えない方が良い。
 良い音を出す事に違いはないので、要求は手加減しない方が良い。
 

名指導者の語録にしばしば出てくる名言は

「何とかしろ!!」

 

B合奏

 いつから合奏させるかは迷うが、楽器が決まればすぐにでも合奏に参加させるのが最も早く上達する。たとえ全体合奏でなくても二人の合奏だけでも効果はある。経験者と出来ればなお良い。

 指を覚えるのも合奏の間に覚えていくぐらいのつもりで大丈夫。
 もちろん全ての合奏練習に参加させる必要は無い。やさしい一曲を先ずマスターできる様にするのが良い。(例えば校歌など)
 この段階で合奏の楽しさや達成感を味わっておく事が後からの上達に繋がる。

 最初から合奏は無理と考えてしまうが、合奏の中でお互いを意識し合い、気を使いながら、共に演奏し上達していく意識を育てなければならない。
 この段階で出来る者だけが合奏に参加する様にすると、個人の能力を重要視する事になり、後までその価値観は残ってしまう。

 器用な者が優越感を持ち、才能があるような錯覚を植え付ける事に成る。全体にとって問題を作るだけでなく、その奏者にとっても上達の芽を摘んでいる事にもなってしまう。

最初こそ、音楽の楽しさや合奏の最も基本を理解させる時である。

 最もやさしい曲の一つが、*音階練習などの基本練習であると考えたい。

*音階練習は、一度に一オクターブでなく、テトラコードの応用で

ド レ ミ ファ ソ ファ ミ レ

         ソ ラ シ ド レ ド シ ラ 

                 レ ミ #ファ ソ ラ ソ #ファ ミ レ

                           ラ シ #ド レ ミ レ #ド シ

の順に練習すればおのずと全調の練習を半分で出来るようになる。(I,nB がよいだろう)
 曲中に出てくるのは1オクターブでなく殆どこの半分程度のスケールが多い、習慣的に指が動く様にしておきたい。

 吹奏楽では全調は必要無いといわれるが、調性の認識やハーモニー感覚としても身に付ける必要がある。
 いつかは覚えるのだから最初に覚えてしまえばよい。

 全員で基礎練習に毎日やれば良い。繰り返しやれば三ヶ月ほどで全調出来るようになる。

 この練習こそサボればおくれを取り、真面目にさらえばそれだけ上達する。
 正直者が馬鹿を見ない。それを実感させる事が出来る。

 音階練習は、音楽をする者が一生し続ける練習である。

指導者として気を付ける事

 合奏練習でも新入生の入るときは、とにかく楽しく、間違いを恐れず、のびのびとたくさん演奏する事が第一の目標。
 鳴らない者もあきらめずいっしょにやっていれば、だんだんコツがつかめてくる。

 注意の言葉は、「もう一度」だけで十分。

 あえて注意する事は、タンギングを必ずする様に注意する。

 

C音楽の基礎知識の習得

楽器について

 吹奏楽器はその楽器だけでなくからだ全体が共鳴体であり、自分が楽器の一部である認識を持つようにする。
 声を出す方法と基本的に変わらず、応用すれば音が出しやすく音程や音色も良くなる。

倍音の知識:

 同じ管の長さでも違う音がする事や、息のスピードや力でなく高い音が出ることも理解させなくてはならない。
 ハーモニーも倍音である事を知る。

何度も出てきた、タンギングの方法の理解:

 息の吹き出しから初速を上げる為であり、ドップラー効果による音程の上ずりの原因を知る。

その他:

 打楽器においても、たたき方以上に響きの作り方や、テンポの安定性、音楽的である意識を身につける。

 各楽器の扱いや構造、手入れや簡単な修理法も教えておく。

楽譜について

 移調楽器の理解は出来れば良いが、多分無理。ただし、自分の楽器の調と、その何の音がC(ツェー)B(ベー)Es(エス)F(エフ)* かを知っておく事は必要。

 そして自分の楽譜との関係。とくにユーフォ以下のヘ音記号は I,n C 実音で書かれていることを知る。

 本来のソルフェージュ歌唱法(音程をつけずリズムだけ付けた階名唱)は、合奏の基礎練習にも声を出す意識にも最適。全員で出来る。

*通常 実音はドイツ音名で 呼び、各楽器の音は音階(固定「ド」)で 呼ぶ。(ドイツ音名も便利なので覚えておきたい)

 実音表記をコンサートピッチと呼ぶ人もいるが全くの間違い。

コラム

 コンサートピッチとは、1889年ウイーンの国際会議でで決められた国際標準音(インターナショナル ピッチ) A=435Hz に対して、1834年シュトゥットガルトで決められた A=440Hz の標準音の事。

 楽語につては重要な物についてのみ覚えれば良い。あとは出てくる度に実際に即して覚える方が良い。(例えば、「スタッカートは短く」とだけ覚えると後々修正は非常に難しい。)

音楽について

 全ての演奏の基礎は歌。

 歌う事が嫌いで楽器をしたいと思っている奏者が意外に多い。歌う事を最初は拒否する事は多いが、皆で歌っていれば、習慣になりすぐに歌うようになる。
 音痴であったり、声が悪かったり、大きな声が出なかったりするが、かまわず皆で歌おう。(歌の曲でなくても自分たちのやっている楽譜を、階名でもラララでも良い。)

 楽器の習得は自分で歌う様に演奏できるのが目標。

 ハーモニーの練習も歌でしてみると意外にすぐうまくなる。

 声は、人の本来持っている扱いなれた楽器。

 とくに、音程との関係。
 声は、身体がその音にふさわしい状態でしか歌えない。それを応用する。

 テンポもカウントでなく流れである実感をハッキリ知る事ができる。

 合奏もコーラスと同様基本的には混声四声体(ソプラノ、アルト、テノール、バス)で作られている。それぞれの働きを自分のパートに当てはめて考えよう。

 合奏は、皆平等の理想社会である事を、歌う事で再確認し、合わせるコツや合ったときの感覚をしっかり認識させよう。
 初心者が加わった時だけでなく、常に行いたい事だが、特に最初楽器に馴れていない時には上級生と一緒に出来るので連帯感や音楽的基礎力のアップにもなる。

 


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「経験者に対して」

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@楽器の奏法

A練習法

B合奏法

C音楽の知識の習得

 


@楽器の奏法

 

 音が少しでも出れば、次に考える事は指を覚え速く間違えずに演奏する事であるが、それはたくさん練習をすれば出来る。
 それよりも奏法の習得は、学習研究が必要

 昔から楽器を習得するには、先生についてレッスンに通うのが常識であった。
 手取足取り個別に指導を受けてできるようになる。いきおい、優秀な先生の元から優秀な生徒が出ることなる。
 先生が丁寧で熱心であればあるほど、生徒は自分の能力が高いと錯覚してしまう傾向にあるのは残念だが事実。

 今は、とりわけアマチュアの団体では、レッスンにつく習慣が無くなっている。しかし、教本やビデオなどで知識を習得する事ができる様になった。
 望めば誰でもが正しい奏法を学ぶ事の出きる時代である。
 その時代に在って、いまだに怪しげな先輩やその団体の独自の奏法などに固執する態度は批判が出ている。
 アカデミックな奏法を学ぶ姿勢を持とう。

 

タンギング

 ひつこくまたまたタンギングの事である。初心者の段階で出来ていれば苦労しないが、ある程度演奏できている者でもまだ身に付いていない奏者がいるものである。
 ミストーンをするとか、リズムがきちっと取れないとか、そろって出られない、音程が不安定、音色が悪かったり汚かったり、全ての原因はタンギングにあるといっても過言ではない。

 十分に息を口の中に貯め舌の先で栓をする様に留め、舌を後ろへ引くと口の中の息が外へ漏れ出す。

 タンギングの意味は、息の初速を安定させると共に、その時の栓を抜く音が、音を出すキッカケに成る。すなわち、言葉の子音に当る働きをする。

 まさに音のメリハリを作る。

 打楽器が先生。打楽器にとっても音に対する認識を深める勉強。

 打楽器の音はインパクトの瞬間の雑音と後の響きで出来ている。
 上手な発音の御手本である。
 打楽器奏者がたたく事ばかりに気を取られるのは、管楽器が「ぺっ、ぺっ、ぺっ」と音を出すような物。響きに注意することを覚える。

 よく打楽器がうるさいと言われる時は、むしろ管楽器の発音(タンギング)が出来ていない原因の場合が多い。

 打楽器と同じ様に音が立ち上がれるタンギングの技術を身につけよう。

 その為には、基本練習に打楽器がいっしょに入らなければいけない。

 管楽器は打楽器の様に、打楽器(弦楽器)は管楽器の様に。お互いに参考にしよう。

 

アンブシュアー

 本来はあごや口の周りの筋肉の状態を言う言葉。

 良い音の作られる所は口の中。「あ」の口をすれば、ア と響く。 「お」にすれば オと響く。

 良くない音は大抵、「え」の様に口の中が狭いときが多い。

 良い音は、良い声を出すときの様に口の中、特に奥の方が広くなり鼻と喉の繋がったあたりが高くなっている。この時、ほお骨のあたりやあごの付け根や舌の状態、つまりアンブシュアーが声楽家の教える良い発声法と同じである。

 「良く鳴る音、良く通る音。」 と良く言うのは、やはり声の出し方で解決する。

 遠くにいる人や、山上で「ヤッホー」と叫ぶ時には、ただ怒鳴るのでなく、口の奥、鼻の奥が開いているようなアンブシュアーにしている。
 そうすれば解決だ。

 最近力を抜いて演奏することが良い音に成ると言われる事が多い。間違いと言えないまでも、必要なところには必要なだけの緊張はいる。
 例えば、喉は力を入れると締まってしまうが、喉を押し開いている力はかなり使っている。顔の筋肉の緊張も上手く使うと、良く響く。

*口の中だけでなく体も音を響かせる共鳴体になっている。又頭部にも沢山の空間がありそこでも響かせなければならない。 

 

フォーム

 体全体の筋肉のバランスや姿勢などの事。

 良い姿勢で演奏することは、あらゆる利点がある。
 音色、音程、リズムなど全てに関係する。

 一番はっきりと影響がわかるのは、声を出した時だ。ある高さの声を出そうと思えばそれに見合ったからだの状態が必要になる。
 同じようにして楽器で音を出せば、とてもうまく行く。理由は体の共鳴状態がその音の倍音状態に合っているからである。

 姿勢は、ただ見栄えが良いだけでなく、色々な状況に対処できる姿勢をとらなくてはいけない。
 椅子にまっすぐ座り正面に楽譜を置いて、お行儀よく座ったままで構えると、体がねじられてとても窮屈になり、場合によっては腰痛を起こす。
 少しどちらかに体の向きを変えれば解決する。

 マーチングなどで立って演奏する時は、コンパニオンのような立ち方、すなわち片方の足(たいがいは左足)を少し前に出しその踵にもう片方の土踏まずを当てると、見た目も良く演奏もしやすい姿勢になる。

 何よりも先ず余計なねじれや力を入れないで楽器を支える事の出来る姿勢を探す事だ。
 体は毎日成長している。専門家でも常に考えていなければならない事だ。

 打楽器や弦楽器でも体に共鳴をしている事を知っておくべきだ。

 

A練習法

 初心者同様、合奏の中で練習をしたほうが能率も良くつらさも乗り越える事が出来るのだが、やはり少しでも良い演奏を目指すならば個人での練習もいる。

 @の奏法をチェックするのはもちろんだが、実際の曲の中でうまく演奏するためにその奏法を生かす練習がいる。

 その為にエチュードがある。

 特に最初の数ページがとても意味があり意外に難しい。
 音符は簡単だが習字の基礎を習う様に、先ず一つの音がきちっと型通り演奏できるようにする。 

a、タンギング、b、響きアンブシュアー、フォーム、 c、音の長さと繋がり、

の3ヶ所について気を配り、どんな短い音符と言えどもその長さがしっかりと次の音の頭まである様に保たなくてはならない。

 「一つ出す音」 の様に捕らえてはいけない。

 ここで普通はロングトーンヘ行くのだが、残念ながら普通行われているやり方には問題がある。

 ロングトーンはやり方に注意が要る。

 一つの音を完璧にしようとする事に絶対的な正当性を感じるが、実際の曲には一つの音だけで意味をなす事はめったに無い。
 つまり、エチュードにある様に 複数の音をつなげる練習 が本来の長く演奏する目的である。

 現実に、しっかりとロングトーンをしているのに旋律が切れ切れになる演奏者が吹奏楽に多く見うけられる。目的が達せられていない。

 先ほどのひとつひとつの音形を応用し、最初の音、途中の音、終りの音、とはっきり区別をしながらひと塊に聞こえるように工夫しなければならない。

 舌、唇、アンブシュアー、指、手、腕、フォームや、それぞれの楽器の弱点等の問題を克服し、うまくつなげる技術を練習する。

 理屈は難しそうだが、歌や言葉を話すときには誰でもがやっている事である。それを応用すれば難しくは無い。

 声も吹奏楽器だ。しゃべるように音を出そう。

 もう一つ大事な練習として、100%ミスらない練習がいる。

 ミスしないのも、その技術を身に付ければそんなに難しい事ではない。心理的な練習も必要だが、タンギングをする直前に確実な準備が出来ている確認をいつもしておく事で解決する。

 これも難しそうだが、我々は話をする時にいつもしている事だ。
 「ぱぱ」 「ばばー」 「はは」 を間違わず言えるではないか。

 プレッシャーの中でミスしない為には、その為の練習がいる。
 出来れば人前で、特に先輩や先生の前で、簡単な短い曲でもミスらず止まらずに演奏できるように日ごろから機会を作る様にする。

 レッスンに通うメリットの一つはこれだ。エチュード(練習曲)を一つずつ仕上げるうちに身につく。

 何度か失敗するうちに、いかにすればミスらないかを覚えていく。

 アマチアだからとの妥協があれば大きな間違い。誰でも身に付けられる。分かれば出来る事だ。
 正しい奏法を分かっていない者がミスを正当化する。

 

B合奏法

 基本的には一人の練習と変わりは無い。

 一人一人の奏者の集合体の様に捕らえずに、一つの有機体であるような認識でありたい。

 一人は皆の為に、皆は一人の為にを実践する所だ。

 指揮者の指図のままに全員が一糸乱れずついていく考えは全く間違っているし、そのような演奏はありえない。
 その様にしたい、或いはその様にしてもらいたいと考えるのは、おごりであったり自分の義務を放棄している事に他ならない。

 演奏中は、誰の指示も受けられないし注意を与える事も出来ない。全て自分自身で注意しなければならない。
 演奏中に指示をすればそれはもう手遅れになっている。注意を受けても同じ手遅れだ。

 ムカデ競争や二人三脚の様に、それぞれが積極的な意志を必要とする。
 ただ音楽では、少し違った意識を持っていても、お互いが気を使い合っていると、失敗にならず新たな展開に進んでいく。

 まさに理想的民主主義の世界だ。

 もちろんそこにはルールがある。

 合奏の配列から考えてみよう。

 聴衆の一番遠いところにいるパートはバスや打楽器。近くにいるのがクラリネットやフルートなど旋律楽器。

 すなわち、旋律楽器はその他の演奏を聞いてその上に旋律を重ねる事が出来る。その反対は不可能だ。

 なんでもそうだが、基礎の上にしか物は築けない。音の基礎はバス。リズムやテンポの基礎は打楽器等のリズムセクション。その上に重ねれば良い。
 反対にバスはその上に整った旋律が構築しやすい様に演奏しなくてはならない。打楽器も全体の流れがスムーズに行くようなテンポ リズムで演奏しなければならない。

 それだけに、全体に対するイニシアティヴを持てる。指揮者の仕事ではない。

 旋律は主役だが一つのパートだけとはかぎらない、複数ありそれがお互いに会話を交わしながら進んでいく音楽が多い。つまり掛け合いをする。

 全ての物が一つの同じフィールドに在り、お互いの仕事が有機的に繋がって全体の構成を作っている。
 つまりいくら楽譜に忠実であっても台本通には進めない。そのような即興性が在る事が音楽の面白味であり、音楽の行為だ。

 それをためして見る為に練習をする。

 ここに音楽の、合奏の楽しさがある。

 

HOW TO

 機械(メトロノームやチューナー)を使った練習は大切だ。

 前の主張と矛盾する様に思えるだろうが実は違う。
 機械もアンサンブルの仲間に出来る。それも大変律儀な仲間だ。ただとてもわがままでアンサンブルのへたな仲間だ。

 皆はそのわがままな相手に合わせてやる事も出来るが、その勝手さにもいらいらするはずだ。いつも機械が正しいと主張しないはずだ。自分が合わないと正確でないのかと、ひくつに成ることはない。

 ただし、自分がわがままに成っていないかを矯正する相手としては最適だ。
 そこで自分の矯正をすれば、今度の相手こそ人だ。

 次に、マーチや舞曲などの体の動きを促す曲を題材にし、リズムを受け持つパートに主導権を与え皆がそれに乗って演奏してみる。
 機械的なテンポやリズムでは、まともには歩けないしステップ出来ないはずだ。全体の流れにあったリズムになるように練習しよう。

 ゆっくりとした歌などの曲を題材にし、音の響きの重なり具合を練習しよう。
 ハーモニーの練習と言っても良いが、ハーモニーの練習と思うと、その時の音一瞬の重なりの事になり、演奏の中では現実的ではない。

 常に整った和音をしていると言った考えは、和声の理論をのぞいただけの初心者の理屈だ。

 ほぼ半分の音は非和声音(和声外音、和音外音とも言う)を含み、そこではひずんだ響きがする。そこにこそ音楽の大切な表現がある。
 ハーモニーしたりひずんだりを繰り返している事に耳を傾け、その変化の面白味を味わってほしい。

 その為に気を付ける事は、御互いの音量のバランスだ。
 その判断が自分で出来なければ成らない。

 また、他の音となじみ合う音色である事も必要だ。
 そのコントロールはアンブシュアーでする。

 ハーモニー練習では、全てを音程の問題にしてしまいがちである。
 そうすると旋律線が成り立たなくなる。

 音程の問題は理論的には大変に複雑で分かりにくいが、人の耳にとって心地よい音である事が最終目標である事に間違いない。

 すなわち自分達の音がいかに心地よいかを判断できる様になれば、自然に良くなる。
 その感覚を養うのが練習だ。

 一度でも良い音を味わえば、その音を思い出す事により体が反応し、また同じ音を作ることが出来る。

 自分達が今出した音が 「良かった」 「悪かった」 をいつも判断しているようにする事が大切である。

 誰でも最初はまぐれだ。その結果を覚えておいて、再度挑戦し出来た時、その能力が付いた事になる。

 繰り返し挑戦する事は、手を抜いてはいけない。
 繰り返しの重要性は沢山在る。
 少なくとも音楽を 覚えてしまう事」 で目的は半分は達したようなものだ。
 暗譜することとは違う、知っている音楽を再現する事だ。

 楽譜を正確に音に変換する事でなく、自分の頭に在る音楽を再現するのが演奏だ。

 先ずは、音符が 全体が どのような音楽かをおぼえる(把握する)事から始めなければならない。

 「もう一度」 は指導者の最高の道具。

 指導者として、うまく行ったときそれをメンバーに確認させる事は何より大切な事である。

 

C音楽の知識の習得

 音楽の知識は、音その物の知識でありたい。

 つまり、良い演奏をどれだけ聞いたかどれだけ知っているかが、最終的には一番問題に成る。

 今では世界最高の演奏が何時でもCDで聴くことが可能だ。かつてのLP等と違い、本当に生々しく、すぐ目の前で演奏している様に聞き取れる。
 どんな口の格好か、どのような息使いをしているか、何を考えて演奏しているのか等‥、良く耳を澄ませて聴けば聞き取る事が可能だ。

 ただ単に上手いとか凄いとか感心するだけでなく、いかにして演奏をしているのかを学びたい。
 自分はレヴェルが違うから参考になら無い、と言うことはない。
 勿論レヴェルは違うが目指す物、やり方に違いは無い

 勿論生の演奏をま近で聴くに越した事は無い。そして色々と御教えを請う事が出来れば最高だ。
 その為にはそれ相応のレッスン料を支払わなければならない。何事も授業料は要る。
 優秀なプレイヤーは皆親切で教えを請えば大概は時間さえあれば喜んで教えてくれる物だ。それだけに御礼はきちんとしておきたい。

 その様に先生に師事して学ぶチャンスがあれば良いのだが、中々難しい。そこで先ほどの様にCDを先生にするわけだが、注意を与えてくれない先生である。

 そこで補ってくれる物が教則本である。

 初心者の項の所でも触れたが、演奏家にとって教則本やエチュードは、一生の課題である。

 

 又演奏法だけでなくたくさんの曲を聴いて知っておくことも大事な知識である。

 どんな作曲家であっても全く他の曲を知らずに書くことなどありえない。世の中で言う、名曲は必ず聴いておきたい物だ。曲名や楽式は分からずとも同じ旋律に出会った時にそれを知っておればその曲の内容にせまる事が出来る。

 それが音楽における、素養であり、教養である。

 

 

以上が演奏法の指導である。

ここまでは個人を主眼に置いた演奏法の指導であるが、

次に取り扱う項目は対象を集団に置いた合奏の指導法を述べる。

合奏の指導


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