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演習の解答と解説

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ここでは、フレーゼットの切れ目を例のように白線で示している。

正誤の音源を聴けるようにした。方法は、この音符をMIDIにして、フレーゼットを区切った最後の音を80%の音価にし、後は100%にして演奏させている。少し切れ方が極端に成っているが、この程度の違いでも驚くほど演奏のでき上がりが違う事を確認して欲しい。

正 音源No 誤 音源No

このそれぞれの音源ををクリックすれば聴く事ができる。

 

 

演習1、Beethoven Sym.No.5 c-moll V

 正 音源2  誤 音源2−1

 

解説 

G音は4つに分割されると、それぞれの音に新たに意味が生まれる。

すなわち最初の音は始まりでありこれからなにが起こるのかを予感させる為に、次の音あるいはいくつか先の音への指向力がある。

2つ目の音はそれを受けつつまた先への指向力を高める。3つ目の音が最後の音への指向力は高くなる。

4つの音をひとまとまり(@+A)にしても間違いとは言えないが、内在する最小単位が2つとする事でさらに4つに分割した意味が強くなるであろう。

特にBの要素を示す事で、それまで3回同じ音で同じ音形を重ねた事の意味を、その同じ音をもう1度聞かせる事で新たなF音への移行に大きな意味を付け加える事になる。

この楽譜全体で大きなフレーズの、「G G G F」モチーフがあり、それをはっきりと見せるこ為にはこのような分割を考えておかなければ成らないであろう。

 

 

 

演習2、Beethoven Sym.No.5 c-moll U

 正 音源6  誤 音源6−1

 

解説

 @はEsとAsの間で分けAs-Cの結びつきを考える事が出来るが、それではEsが孤立してしまう。1つにする事でEsは大きく跳躍しCに行こうとする大きな力を感じる事が出来る。

 Es As Cの分散和音の音形で、勢いを増す為にAs−Cのリズムをすばやくさせたと取った方が良いと思う。

 AとBでは、滑らかな下降と跳躍の下降の対比が見られ、Fへの帰着がより鮮明になる。

CDEを1つにすれば、音価の大きい高い音だけで、「DBDC」低い音だけで、「AAFD」の旋律が見られる。ただEの終結で、EFCの分散和音で閉じる事から、Dを独立した方が意味合いがはっきりする。

 

 

 

演習3、A. Dovorak Sym. No.9 e-moll op. 95 U

正 音源8  誤 音源8−1

 

解説

@、A、に付いては問題は無いと思うが、16分音符はあくまで4分音符に属するが、そこで分けてしまうと付点8分音符が単独になり4分音符への指向力が弱まる。

Bの部分はB+Cでも良いだろうが、最初の小節の変化形である意味を崩したくない。

このようにフレーゼットでの区切りをすると、音響の原因で音程感や響き方が変化するが、それについては後述する。

この譜面に付けられたスラーについては、説明を要する。

この部分を作曲家の自筆の楽譜から検証する。(参考資料14)1、2)

参考資料1 A. Dovorak 自筆譜
Sym. No.9 e-moll op. 95 U冒頭旋律部分 p。38

 

旋律の3小節目3拍の音は、8分音符に成っている。ちなみに再現された時には付点になっている。これは一般の楽譜を訂正しなければならないかを、考察しなければならない所で有る。

今注目してもらうのは、スラーの書き方である。

最初1拍目にボーイングと同じ様にスラーを付け始めているが、後はただ滑らかさを強調するために付けられている事を、この自筆譜から見る事ができる。

この時代(1893)になれば、スラーが滑らかな旋律線を指示する為にも用いられている事がはっきり判るが、作曲家自身はまだボーイングの為の意識が強い事が見られる。

次の参考資料2最後の小節を見れば、このような意識がハッキリと現われている。

参考資料2 A. Dovorak 自筆譜
Sym. No.9 e-moll op. 95 Uコーダ旋律部分 p 52

 

これは第2楽章最終部分に在る、弦楽器による同じ旋律の部分であり、最後の2小節はVn.TVa.Vc. 3本のソリである。

この弦楽器パートにおけるスラーの記述は、先ほどのE.Hr. のスラーより丁寧にしかも確固たる記述が見止められる。

この最後の小説には書き直しの跡が見られる。

最終的には1小節をまとめてスラーが記されるが、その前に記されたスラーは、ここで述べたようなフレーゼットにしたがったボーイングを、1度記した跡が見られる。

 

 

 

 

演習4、Beethoven Sym. No.6 op.68 F-Durl T冒頭テーマ

正 音源10 誤 音源10-1

 

解説

 @+Aでも問題はないだろうが、最初の3つの音(ABD)を1まとめになって演奏してしまう可能性が大きくなり、2小節目の最初の音(C)に重みがかかり過ぎ、その音からの新たな要素にしてしまいかねない。Beethovenは、それを懸念してのスラーによるボーイングの記述と見れば、このテーマ全て大変に納得の行くボーイングで、素直に旋律が流れる。

CのCの音は特に次へのアウフタクトで有る事を忘れ小節線で分けてしまえば、この旋律のプロポーションが極めて悪くなる。

Eは16文音符のアウフタクトが、フェルマータの音を「活き活き」とさせる事になる。

 

 

 

 

演習5、F. Schubert Moments musicaux D.780

正 音源12 誤 音源12-1

 

解説

装飾音符をも対象にするなら、全てアウフタクトを持ったフレーゼットとなるだろうが、敢えてアウフタクトを持たないようなフレーゼットと、しっかりとしたアウフタクトのフレーゼットが交互に現われる面白味をくみ取りたい。

それをあまり露骨にならないような処理が、この装飾音であろう。Bの始めのAsに装飾音がはずされている事に、それを垣間見せてくれる。装飾音符を拍の前に出し(クレcoulé [仏])あたかもアウフタクトのように演奏される事を、黙認しているかのようである。

Cの16分休符に気をつけたい。休符があっても分かれ目とはかぎらない。この休符はBの音の勢いと取るべきである。

DEは少し難しい。譜例15、を見て欲しい。

譜例15、音源15

 

もとの形はCの音をターンさせたもの、それの刺繍音Bにさらに下降モルデントの装飾を加え、さらにDの音をさらにターンさせる事により終着のFの音への勢いを増している。そのターンの間にあるDの音は和声音なので省略と見る。

そのD音が和声音である事の証明は、C音の時にBが同時に鳴らされ非和声音で有る事を際立たせている事に有る。

今までに和音との関係については触れてこなかったが、非和声音の見極めは大切であり、E.カデンツ で述べたように、非和声音の解決も大事な要素であり、当然非和声音は解決した音に属す事に成る。

ここの非和声音にさらに装飾を加えるような部分も有る事に、注意が必要であろう。

Dの始まりは、今までと違った積極的なアウフタクトで有る事を強調する処理があると考えたい。

 

 

 

演習6-1、J. Pachelbel Kanon 1

正 音源16  誤 音源16-1

 

解説

この旋律を要素に分析するのは、演習5、シューベルト「楽興の時」の7小節目と同じ要領である。

最初のCを省いてしまっているが、この最初の音はこの前の要素の最終音、すなわち前のフレーズの到達音であるからである。

BのCから始まる上行の音階の要素を4つの音毎に分けても良い。ここでは到達音のA音にターン(GABA)が有り、それにつながるCからの勢い良く上昇してくるシュラーク(CDEF、譜例14、の最後の形)を1つに結びつけた形(B+C)と取っても良く、それによりその勢いが上手く表現できる。

FGの同じ様な個所はGがBへ向かう事と、この中の和声音はACであり最終音の1つ前の音は和声音である為に勢いがあまりないので、1つには取れない。

Nの要素は、Dから始めている。Cからにしたい欲求が生まれるが、Cから始まれば、最終音のAまで行くと「字あまり」のように成ってしまう。やはり1音多い。

もしもCからCまでの音階で要素を分けてしまうと、次の最初のAが単独に成ってしまい、やはりつじつまが合わなくなる。

残念ながらこのような演奏は多い。

3小節目のRSもやはり同じの要素だが、ここも8個を1つ(R+S)にしなかったのは、上がって下りてくる旋律は最後へ向かう勢いがなくなって、意味を失いそうになるからである。

4小節目最後は16分音符2音をアウフタクトにしたが、このようにすると、終止形が引き立ちフレーズ最後にふさわしい終りになる。

今までに触れなかったが、主旋律だけでなく伴奏の旋律もこのようなフレーゼット分析が必要である。

あまり旋律らしくないだけに判り難いが、より音楽的には重要性が有るといっても良いだろう。

 

演習6-2、J. Pachelbel Kanon 2

正 音源19A 誤 音源19−T

 

解説

この部分を拍毎のフレーゼットに区切って演奏すると、音源19−Tのように成り。

正しい要素で区切って演奏すれば、音源19Aのように成る。

この音源は、この音符をMIDIデータにして、フレーゼットに区切った最後の音を80%の音価にし、後は100%にして演奏させている。

このようにして演奏された物は、機械音で演奏しただけであるが、明らかにその音楽の意図を聴き取る事ができる。

誤ったフレーゼット分析では音楽が停滞しいかにも稚拙な印象を受け、最初のAの旋律音を飾っている様には聞えずに、怠惰な印象だけが残る。

しかしこのような演奏が実際には、現在ひんぱんに行われている事実を知っていただきたい。

正しくフレーゼット分析した演奏では躍動感が有り、活き活きとしたその表情は1度完成された有名な旋律Eを、さらに新しい発想への意欲を感じさせている。

これだけの違いの演奏で、それぞれの音の持っている意味合いや論理的関連性が現われることは、注目しなければならないであろう。

しかしこの点をいかに力説しようと演奏を実際に聴かない事にはそれは理解できない。

たとえ聞いたとしても、その感覚を共通認識とするには多くの問題が存在する。

そこで筆者の「演奏の解析法」2) の論文でSound Spectrogram を使って“イントネーションの問題の解決と成る解析法”で演奏の良し悪しを判断する方法として述べた声紋分析の検証を試みたい。

次にあげる図1、は先ほどのMIDIで制作した音源をWAVE形式に変換し、それを声紋分析した物である。

この処理は全て同1コンピューター内で行われており、実在の音は介していない。

図3、音源19A 音源19A

図4、音源19−1、音源19−T 

 

全く条件を同じにした音の連続を、そのフレーゼットの区切りでどれほどの違いが有るか、機械音である以上旋律のイントネーションにそんなに違いがるのか、それらの疑問はもっともであるが、実際にこの声紋図を見比べればその違いが歴然としている。

一口で言うならば、図3、のフレーゼット単位のデティールが整っていて、旋律線が滑らかに現われている。しかし図4、ではフレーゼットが殆ど判らず、かろうじて実音部分(濃い赤い部分)や低い音域での薄い部分で区切れ目が見えるだけで、全体に響きも一様でイントネーションが殆ど見られない。機械的な演奏と言うのはこのことを言うのであろう。

しかし実際に音にして聞けば、この誤ったフレーゼットの区切れ目が露骨なほどに聞かれ、この声紋図で見られるような雑然と音がある響とは違った印象ではある。

この点については音楽心理からの考察が必要ではないだろうか。専門家の研究を待ちたい。

少なくともこの声紋図からは、正しいフレーゼットの分析により、音楽の流れが際立って良く成る事は間違いの無い事実である。

最も高い倍音のホルマント部分にも違いが見て取れる。図4、ではどの部分も直線的であるのに、図3、では旋律と共に変化が見られる。

稚拙な演奏に聞える原因と言えるであろう。

前著2) でも述べたように、良い演奏の音は実際の楽譜上の音よりも倍音のいわば響で変わってくる。

このような機械での演奏でもこのフレーゼットを正しく分析し、演奏すれば良い響を生む事が判る。

 

 

 

 

演習7、Beethoven Sym.No.9 d-moll W

正 音源dai9  誤 音源dai9-1

 

解説

この旋律は良く知られている物であり、大変にシンプルな物であるがそれだけに簡単に取り扱ってしまい、詳細な検討を怠ってしまいがちだ。

この解答はいままでの解答と解説からすれば納得がいくであろう。

その違いの認識が必要である。

この解説は フレーゼットの分析例と検証 で詳しく説明する事とする。


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フレーゼットの分析例と検証

 

検証例2、

Symphony No.9 d-moll op.125
W 241-256小節
「歓喜の歌」の旋律の検証