■2003年度 日建協の雇用問題への取り組み■
“建設業で働く人が安心して働ける環境作り”をめざして

新たに2004年がスタートしました。
日建協は、今年も建設産業の課題解決にむけて、力強く産業政策活動に取り組んでいきます。
今回は、今年度の産業政策活動のなかでも、
私たちに最も大きな影響を与える雇用問題への取り組みについてご紹介します。

● 厳しい雇用環境を背景に

 日本経済はかつて経験したことのないデフレ基調にあり、そのなかで、国全体の雇用状況は急速に悪化しています。雇用状況の指標である完全失業率は、2002年8月に、5.5%と過去最悪の水準に達し、依然、高い水準で推移しています。建設産業でも、1年前に比べて就労人口が実に26万人減少しています。これは、他産業と比較しても、最も多い減少となっています。

 建設産業では、公共投資の削減や民間設備投資の低迷などで市場が縮小し、また、建設会社の数や、そこで働く就労者が多すぎるという過剰供給構造も、国土交通省の示した「建設業の再生に向けた基本指針」で指摘されています。加盟組合企業においても、企業の再編・統合のなかで、また、体力のある企業でも長期的な経営計画の見直しによる雇用調整が行われ、すでに数多くの私たちの仲間が離職に直面しています。
 このような状況のなか、日建協では、雇用問題を2003年度の重点項目として、さまざまな取り組みを行っています。
 
● 景気回復による雇用の安定を

 現在、公共事業は、財政赤字、税収減少、国債の発行額の抑制などの国の財政の事情から段階的に縮減され、特に小泉政権発足後は、急激な縮減策にさらされています。しかし、本当に財政事情だけで、社会資本整備を縮減していってもいいのでしょうか。国土の整備というのは、短いスパンの財政問題だけで考えるのではなく、50年先、100年先を見据えて、国全体の利益を考えたうえで取り組まなければなりません。そう考えると、私たちがこの国土で整備しなければいけないものはたくさんあります。

 例えば・・・・・・
●地域の生活へ密接にかかわる下水道整備など、生活関連インフラの整備
(四国や九州の一部の県では、いまだに下水道の普及率が30%以下)
●混雑・渋滞のない流通ネットワークの整備
(都市部での恒常的渋滞を緩和するバイパス道路や“開かずの踏み切り”をなくすための鉄道や道路の高架・アンダーパス化など)
●地震時などの避難場所としての公園整備や電気・ガス・水道などのライフライン確保のための地下共同溝の整備など、災害に強い国土・街づくりの促進
・・・・・・などです。

 日建協は、必要とされる社会資本整備を、いま積極的に行うことが経済全体を刺激し、民需を喚起させ、本格的に景気回復に至り、ひいては建設産業はもちろんのこと、国全体の雇用の安定につながるのではないかと考えます。

 日建協ではこの需要喚起による景気回復、雇用安定策が、2004年度補正予算、2005年度予算に盛り込まれるように、前述のような具体的事例をあげて、省庁・政党に要請をおこなっていきます。
 そのために、連合内で日建協が参画している、「建設・資材・林産」部門連絡会(インフラ部会)のなかで、日建協がリーダーシップを取ることにより産業の声を高め、少しでも前倒しの要請ができるように取り組んでいます。

 また、同じ建設産業内では、日本建設業団体連合会(日建連)などの経営者団体が、日建協と主旨を同じくした需要喚起の要請を、2003年12月に行っています。経営者団体とは意見交換会などをつうじ、産業の課題解決にむけて、労使で協調した取り組みが必要であることを確認しあっています。今回の要請についても、建設産業の声を強めるため、働くものの立場から積極的に関与していきたいと思います。

● 新たな雇用創出策による産業内での人材確保にむけて

 みなさんは、建設会社を離職した人の多くが、同じ産業内で再就職しているという事実をご存知でしょうか。(財)産業雇用安定センターの統計によると、建設業からの離職者の約4割は同じ産業内で再就職しています。このことは、建設産業に中高年齢層の就労者が多く、いまさら新しい技術を習得することが困難であるなどの理由から、簡単に他業種へ移動しにくいことをあらわしています。

 また一方で、日建協の加盟組合員対象のアンケートには、発注者からの対価をともなわない業務(サービス業務)が、長時間労働の原因となっているという意見も多く、公共工事のサービス業務については、発注者サイドの人員不足が原因になっているものが多いという意見が見受けられます。

 日建協では、サービス業務の解消のため、発注者・施工者の双方に負担にならないよう、業務の委託先として、新たな第三者機関を規制緩和により設ける提案をしたいと考えています。そして、結果的にこの機関が、建設産業から離職を余儀なくされる人の新たな受け入れ先となるのではないかと考えています。なぜなら、公共工事におけるサービス業務部分の多くは、設計変更時の契約内容(工期・数量・構造・仮設など)のチェックなどであり、工事経験者が自分の経験を活かすことができるからです。
 日建協はこの新たな雇用創出について課題抽出を行いました。今後は、第三者機関に委託する業務の内容について、加盟組合の公共工事経験者や発注側との意見交換を参考にしたうえで、監督官庁である国土交通省などに提言を行います。

● やむを得ず離職される人を目前にして

 このような雇用を確保するための取り組みを行っている最中でも、残念ながら厳しい雇用調整がくり返されており、やむを得ず離職に直面する人が新たに発生しているという現実があります。日建協ではこの厳しい現実を前に、離職に直面する人に対し、何らかのかたちで支援できる取り組みはないかと考えました。そこで“雇用を守る”という労働組合本来の活動のスタンスからは外れるかもしれませんが、離職に直面する人が1日も早く、円滑に新しい職場に移動し、充実して働くための一助となるよう、2002年度より官民の再就職支援機関に訪問調査を実施しました。調査にあたっては、“離職された人の立場になって取り組む”という点に留意しました。この調査をつうじて感心させられたことは、訪問先でお会いしたどの支援機関の方も、決して事務的ではなく、「何とか早く再就職してもらいたい」という、強い思いを持って仕事をしている姿でした。

 2003年度中に、訪問調査した各再就職支援機関の業務概要・利用方法・利用資格・機関ごとの特徴を記載した一覧表を、日建協のホームページに掲載するとともに、各機関のホームページとリンクをさせて、各機関から最新の再就職に関する情報を直接入手できるようにして、離職に直面する人に対する再就職活動への助力を行っていきます。

● 建設産業で働く人が、安心して働ける環境づくりをめざして

 今、建設産業のおかれている状況は、かつて経験したことがないほど厳しいものです。日建協はそれに屈することなく、雇用問題を産業の抱える最重要課題と位置づけ、建設産業で働く人が安心して働け、後輩たちに優れた技術やノウハウを伝承できる環境づくりをめざした取り組みを、力強く推進していきます。

 また、こういった取り組みには、日建協本部ばかりではなく、みなさんの職場からの生の声が大きな追い風になります。ぜひみなさんもこの問題を自分自身の問題と捉え、私たちの産業が再び魅力ある産業として、自信を取り戻せるよう、力を結集していきましょう。(04.01)
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