現在、日本には寝たきり、痴呆、虚弱などのため介護の必要な高齢者が
約200万人もいるといわれ、
日本社会の高齢化が急速に進む中、
この数は2025年には520万人にもなるといわれています。(グラフ−1)
実に現在の2倍以上の数です。
こうなると介護は珍しいどころか、
もう誰にでも起こりうることとして考えなくてはならないでしょう。
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身近な問題として介護に取り組もう。
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ある雑誌にこんな記事が掲載されていました。
「先日都内のある会館で気づいたことがあった。会議の途中、休憩時間にトイレに行ったときのことである。わたしは男なので当然男性用のほうに入ったわけだが、出てくると女性用のトイレの入口に、赤ちゃん用のベッドが置いてあるのに気がついた。要するにここで、おむつを取り替えろということだと思うが、あの位置で男性が子供のおむつを取り替えるのは難しい。法律が整備され男女平等とはいっても、やはり育児は女性がやるものというのが社会の風潮なんだなと感じさせられた。」
介護についても同じようなことがいえるのではないでしょうか。日本には、「親の面倒は子供が見るのがあたりまえ」とする風潮があります。
「お年寄りを大事にしよう。それが親孝行である。長男が同居して、親の面倒をみる。そして実際には長男の嫁がみるのだ」という伝統的な考え方があるようです。少し極端な表現かもしれませんが、要するに介護は家庭内でというのが一般的な考え方ではないでしょうか。
しかし、その考え方ができあがったころと今とでは、わたしたちを取り巻く環境がかなり異なります。
世界の最長寿国となった日本。平均寿命が50歳を超えたのが1940年代後半。今はもう80歳を超えています。かつては現代のような「介護」はまれなケースであったのではないでしょ うか。

日建協は介護の問題を、95年度に策定した「日建協総合福祉ビジョン」において、21世紀高度福祉社会の実現にむけた、わたしたちが今後取り組んでいくべき課題として、その必要性を掲げました。
今、介護の問題については介護休業制度の導入、介護保険、さまざまな介護施設、ホームヘルパーなどの介護従事者等、いろいろな側面があります。しかし、わたしたちが決して忘れてはならないのは、「介護」は制度だけを取り上げるべきではなく、「介護をする人(介護者)、介護を受ける人(要介護者)」とその家族(介護家族)を念頭におき、その当事者がなにを望んでいるのか、なにに困っているのかといったことに耳を傾け、本当に使いやすい制度にしていくことではないでしょうか。
日建協では、96年9月に建設業の特性に沿った介護休業制度を策定し、99年4月からの制度実施に先駆け、98年4月の制度導入を目指し、加盟組合が一斉に制度を要求していく取り組みを行いました。2000年10月現在、日建協加盟組合においては27組合がすでに制度を導入、14組合が制度要求をしています。組合員一人一人が介護を身近な問題ととらえ、よりよい介護休業制度を実現していきたいと念願しています。
それでは、日建協の求める介護休業制度とはどういうものなのかを、法律が規定する制度内容と比較しながら説明します。 |
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法律が規定する制度内容と、
日建協が求める制度内容について
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| 比較表をご覧下さい。ここでは法律が規定する制度内容と日建協が求める制度内容を、主な項目ごとに比較してみました。 |
法律が規定する介護休業制度と日建協が求める介護休業制度の比較表
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法律が規定する制度内容 |
日建協が求める制度内容 |
| 対象労働者 |
事業主に雇用される労働者
(ただし、以下の者は労使協定で対象外にできる)
・雇用された期間が1年未満の労働者
・3ヶ月以内に雇用関係が終了する労働者
・週所定労働日数が2日以内の労働者 |
全従業員 |
| 対象家族 |
@配偶者(内縁関係にあるものを含む)
A父母及び子、配偶者の父母
B祖父母、兄弟姉妹、孫(同居し、 かつ扶
養が条件) |
@配偶者(内縁関係にあるものを含む)
A実養父母及び実養子、
配偶者の実養父母
B祖父母、兄弟姉妹、孫
C社会通念上、対象者が介護すべきとさ
れる者とし、休業開始日に同居し、かつ
家計を一にする者 |
| 休職期間 |
3ヶ月以内 |
6ヶ月以上 |
| 休職回数 |
対象家族一人につき1回 |
1対象疾例に対して1回 |
休職期間中の
賃金等の取扱い |
規定なし |
社会保険料本人負担分及び住民税相当額、または社会保険料本人負担分及び地方税に相当する「手当の定額支給」 |
勤務時間短縮等の
措置について |
次のいずれかを実施
@短時間勤務制度
Aフレックスタイム制
B始終業時間の繰り上げ・繰り下げ
(1日の所定労働時間を変更しない)
C労働者が利用する介護サービスの費用
の助成その他、これに準ずる制度 |
法律が規定する内容に同じ
(ただし、賃金カットなどの経済的なマイナスが少なく、比較的自由に時間を調整できるフレックスタイム制度が望ましいと考える) |
| その他の措置 |
とくになし |
希望勤務地固定制度
(対象家族の在宅介護を考慮し、居住地移転を伴う異動を行わない。また単身赴任状態にある対象労働者については、本人の申し出により単身赴任を解消する異動を行う) |
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@ 対象は全従業員
法律では、事業主に雇用される労働者となっていますが、日々雇用及び期間雇用、労使協定で対象外にできる労働者(雇用契約期間が1年以内の場合、3ヶ月以内に雇用関係が終了する場合、所定労働日数が2日以内のいずれか)は対象労働者から除外されています。
介護休業制度、また介護に関する諸制度に労働者全体から除外されるものがあるということは、わたしたちが考えている「介護」のあり方に反するものと考えます。
したがって、日建協では対象労働者を全従業員としました。
A より広範な対象家族を
法律では、対象家族についても規定していますが、今後、予想される少子化、核家族化を考えた場合、できるだけ対象範囲を広げておく必要があると考えます。
したがって、「祖父母、兄弟姉妹、孫」についての付帯条件である「同居し、かつ扶養しているものに限る」規定や、法律上定めのない親族についても検討していく必要があると考えます。
そこで日建協では、「祖父母、兄弟姉妹、孫」についての付帯条件である「同居と扶養」を削除し、「社会通念上対象労働者が介護すべきとされる者とし、休業開始日に同居かつ家計を一にする者」を追加しました。
B 1回6ヶ月以上
法律上は「1回3ヶ月以内」と定めていますが、介護期間が5年10年と長くなっている現状や、今後の要介護者の増加、そして施設(病院、特別養護老人ホーム)入所にいたるまでの期間を考えると、「3ヶ月」というのは不十分と考えます。(グラフ―5)
日建協では、施設入所までに要する期間等を考え、「1回6ヶ月以上」としました。
C 1対象疾例につき1回
法律上は「対象家族1人につき1回」となっていますが、一度疾病が治癒したあとの再発や、別の要因による介護となった場合の適用についても検討する必要があると考えます。
日建協では、最低限でも「1対象疾例に対して1回」が望ましいと考えます。
D 休職期間中は手当の定額支給を
休職期間中の賃金、一時金、社会保険料などについては法律に規定がないため、労使の協定上「無給とする」としても法的に問題はありません。
しかし、介護休業中は家計を支える人の収入が途絶えることや、介護に必要な費用がかかることもあり、対象労働者の経済上の問題を少しでも解決する必要があると考えます。
そこで日建協では、「社会保険料本人負担分及び住民税相当額」、または社会保険料本人負担分及び地方税に相当する「手当の定額支給」を盛り込みました。
E フレックスなど、勤務時間の短縮等の措置を
勤務時間の短縮等の措置については、法律が規定する措置を実施することは言うまでもありませんが、中でもフレックスタイム制度は本人にとっても賃金がカットされるなど経済的なマイナスがなく、比較的自由に時間を調整させることができます。しかも、会社側にとっても休業のように従業員が一定期間不在という業務への悪影響もなく、かなり適用しやすい制度と考えられます。
F 希望勤務地固定制度の導入を
建設業に働く私たちは、単身赴任を命ぜられたり、事業所(支店)間の異動も多いばかりでなく、また作業所勤務の方の場合、作業所が住居から遠く離れる場合も少なくありません。
そこで、要介護者がいる対象労働者については、その申し出があり次第、居住地の移動をともなう配転を行わない、また、単身赴任を解消するような異動を行うといった、希望勤務地固定制度を導入することを提案しています。
先にも述べましたが、日建協がこの制度を考えるにあたって何よりも念頭においたことは、当事者の方々にとってどうすれば使いやすい制度になるかということでした。そういう意味で、日建協の求める制度が、よりよい介護休業制度の実現にむけた一石となればと思っています。 |
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