ケビン・シュワンツが現役時代を振り返ってのインタビューの中で、「スズキのクラッチは扱いづらく、いつもスタートで出遅れてしまった。スタートで前に出られらもっと楽なレース展開ができたのに・・・」とコメントしていました。そして99年にハヤブサが登場した当初、レーシングマシンからのフィードバックとうたわれていた物の中に、確かスズキ車としては初のバックトルクリミッターがありました。ハヤブサもクラッチがベタッとつながり、時として失速してしまうこともあり、このクラッチの扱いづらさがRGV譲りだとしたら、レーシングマシン譲りの技術であるバックトルクリミッターがハヤブサのスタートのしづらさと関係あると考えられます。
ハヤブサオーナーの中ではクラッチマスターを交換している人が非常に多く、クラッチの扱いづらさのために交換しているのであれば、それは間違いのような気がします。なぜならシュワンツのRGVには確かAPのマスターが付いていて、クラッチマスターで解決することであればシュワンツもスタートに苦悩しなくて済んだはずです。
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ヨシムラがハヤブサで全日本に出場していた頃、ライダーからクラッチが扱いづらいというコメントがあって、クラッチに改良を加えたという記事がどこかにあったような気はしますが、詳細については明かされてなく、それ以外、日本ではハヤブサのバックトルクリミッターが話題に上ることは全くありませんでしたが、海外では比較的早くから、このバックトルクリミッター機能を無効にするパーツが売られていました。
ハヤブサのバックトルクリミッターはクラッチハブに組み込まれている意外にシンプルなものですが、この可動部分を固定してしまうことによってバックトルクリミッターを無効にします。代表的な物としてはCarpenter
Race Engines の Clutch Mod Kitで、バックトルクリミッターの可動部をアダプターで固定するものです。商品の説明によると「ドラッグレースやストリートの急発進時に起こるチャタリングを防ぐ」としかありませんが、恐らくこれで発進はしやすくなるのでしょう。
また同じくCarpenter
Race Engines から Clutch Cushion
Kit というものが出ていて、こちらはすべてスズキ純正部品を使っているそうで、いまひとつメリットがわかりませんが、クラッチフィールが向上するようです。
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同じくバックトルクリミッターの機能を無効にするパーツとしては写真(右上)に見られるような、ノーマルのバックトルクリミッター部を溶接加工したものがあります。これはStar
RacingやBrock's
Performance Productsなどから購入できます。200PSを越えるハイパワーに対応するにはAPEなどから出ているビレットのワンピースの物(左下)があります。こちらも説明には「ドラッグレースなどでの急発進時に起こるクラッチのチャタリング」を防ぐとしか書いてありませんが、バックトルクリミッターの機能はなくなるので、急激なシフトダウンによるリアのホッピングやロックには注意しなくてはいけません。
日本でもドラッグレースでは使用している人もいるようですが、北海道のツーリング商会のX-1は同様にバックトルクリミッターを溶接加工してストリートなどでも使っているとのことがロードライダー誌に紹介されてました。
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上記はいずれもバックトルクリミッターを解除するパーツですが、より高度なバックトルクリミッターがMotoGPマシンなどにも採用されて話題になっているスリッパークラッチです。これは後輪からトルクがかかるとクラッチプレートの押し荷重を変化させるクラッチシステムで、最近日本でもライディングハウスから発売になったTSSや、イギリスのSIGMAなどからハヤブサ用が発売されています。本来はシフトダウン時のリアのホッピングを低減させるためのものですが、ハヤブサの場合は発進時のクラッチの扱いづらさも解消されるようです。
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スリッパークラッチはクラッチプレートの過重を抜くことによって、2ストのマシンのようにスロットルをあおらなくても普通にシフトダウンできてしまうかわりに、効いてほしくない時に効いてしまうという弱点もあるそうです。
このスリッパークラッチとは全く逆の考えがMREのロックアップクラッチです。これは可動式のウェイトを使って、遠心力でクラッチに過重をかけるというドラッグレースなどでは定番のパーツで、クラッチでのパワーのロスを最小限にするためのものです。このようにハヤブサの性格を考えると、スリッパークラッチよりもロックアップクラッチの方が理にかなっているような気はしますが、合理性よりも不利を承知でチャレンジする美学が日本人にはあっているのかもしれません。
そうした考え方はトランスミッションにも見られます。現在ではラインナップから消えているようですが、日本でハヤブサ用のミッションといえばヨシムラのクロスミッションです。これは6速をスタンダードの5速のギア比に設定し、3〜5速をクロスを2速側に近づける設定で、ヨシムラがハヤブサでX-フォーミュラに参戦していた頃のパーツですから当然ですが、サーキットを走るための装備です。
これに対して欧米ではひたすら最高速の追求のようで、イギリスのTTSやアメリカのOrient
Expressからはハイレシオの5速・6速キットが発売されています。これは5速・6速のギア比を約12%も高めるターボ専用パーツとも言えますが、これによって2005年にはFIMで400km/hオーバーが記録されています。
このようにまったく正反対の性格を持つパーツが共存しているのもハヤブサの魅力ですが、方向性を考えないと意味のない買い物になってしまう怖さがあるのも駆動系パーツの奥深さと言えるでしょう。
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| スズキのクラッチについて語っているビデオ「ケビンシュワンツ物語」はamazon.co.jpでお求めになれます。 |
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