ストーリービル 秘められた街
(原題 Storyville)

世間の評価はいまいちですが、未見の方
にはぜひおすすめしたい一本です。
2度3度と見ても飽きない、いやむしろ
繰り返し見ることによって味わい深くな
る…という2人の対談という形でご紹介
します。

魅力的なキャラクターなのだ!

ねり 「ストーリービル」のスペイダーは良い!白いワイシャツ姿に短めのサラサラ髪
   がたまらんですよぉ。
   まぁ、ミステリーとしてはところどころ“穴”があり、後半の裁判部分も解りづ
   らいところもあるんですが、不思議と何度見ても面白い。
永T いや、この“穴”は一応認めるとして、“穴”は“穴”ながらもそれでも十分堪
   能できる楽しみが盛りだくさんなのがこの映画なのです。
ねり スペイダーのキャラクターもなかなかでしょ。離婚寸前の不倫妻には、穏やかに
   対処しながらもけっこうシビア、ちょっといい女に誘われると、得体も知れない
   のにノコノコついて行ってしまう。
   だいたい、選挙運動中の弁護士なのに、すごく不用心だし、裁判で敵対する元恋
   人の検事にも、公私混同はなはだしい。
   男の“甘さ”とエゴの典型がここに見えますね。
永T そそそ、そう〜なんですよ。
   これほど守備範囲の広い、お得なキャラを演じたことは他に無い!と断言しても
   いいくらい、お気楽・呑気でありながら抜け目無い洞察力と行動力。人を惹きつ
   ける魅力や動かす力(政治家に必須?)、そして正義感(普通の政治家は持って
   ない)まで持ち合わせているという、な〜んか良いんですよね〜、このキャラ。
   お母さんとのそこはかとない(出生の秘密関連)会話も生きてる。
   な〜んて魅力的なんでしょう〜〜。
   「クレイ・ファウラー」氏のキャラクター、スペイダーの演じた役割の中でもこ
   れは絶品だと思うのです。個人的に大好き。
ねり ところが、いったん殺人事件に巻き込まれて自分の身が危なくなると、実にクー
   ルに立ち回る。容疑者にされた相手の女の弁護人を引き受けて、弱いとされてい
   るブルーカラーの支持を得るという巧妙な作戦に出る。ほんとは、彼が容疑者に
   されても不思議はない状況なのに、ここら辺のクレイの行動はシャープでスピー
   ディーで見事ですね。キレ者弁護士の手腕の見せ方はなかなか…さすがに3回目
   の弁護士役だけある。
永T そうか3回目か(「トゥルー・カラーズ」と「ウォール街」ってこの前)
   どうりで堂に入ってる訳だ!うむ!
   ホントは彼が容疑者にされても当然な状況……とも言えると思うのですが、逃げ
   じゃあなくて、攻めの手に出るんですよね。
   ここんところが迷いが無くて良いのです。
   しかも、自分が事件の当事者だもんだから、しっかりと証拠になりそうな物件を
   握ってるし、証人の宛もあるし、その証人を探し出す「つて」も握ってってのが
   ポイントなんですよね。
ねり 一方、父の不審死の謎を追求していくうちに、巻き込まれた殺人事件との関連性
   が浮かび上がって来る。ここでクレイは意外な真犯人を知ると同時に出生の秘密
   まで暴かれていくんだけど、過剰な深刻さや判で押したような苦悩…といった表
   現ではないのが演技派スペイダーの見せ場になってますよね。
永T 大人なのよ〜。
   このくらいの大人なら、この程度の苦悩でこんな感じで乗り切ってくれたら嬉し
   い!って感じの苦悩なのよ〜。
   わたしもこの映画を初めて見た時には、実は何がなんだかわかりませんでした。
   でも、二度三度と鑑賞する間にこの映画の深い味わいがじわじわと沁みてきて、
   忘れがたい映画になってしまいました。
   ミステリーとしての「詰めの甘さ」(これが重要なのはわかるけど)さえ度外視
   してしまえば、これほどすっきりかっこ良い役を演じているスペイダーには滅多
   にお目にかかれない。と言っても良いほどの面白い映画なんですよ〜。
   え〜ん かっこいいんだよ〜〜〜 みんな見てよ〜
ねり 美しいスペイダーを見るだけでも損はしないので、ぜひぜひどーぞ。
永T 同感です。