「StrangeHighway」 第8章 その3



「こいつは一体何を言ってるんだ、20年も前の曲だ
ぞ」そういうジョーイに怒るセレステ。
「もうこれ以上私を怖がらせないで!」
混乱したままに車を走らせるジョーイ。
バックミラーに映る自分を見ると、そこには20年前
の若々しい姿が見えた。彼はブレーキペダルを強く踏
み込み、進行方向を急転換して、元来た方向に車を向
けた。ミラーを傾けて額の傷を見ると、20年前の事
故でつけたはずの傷跡が無い。「一体どうしたの?!
ジョーイ!」
「今は、何年だい?」
「ふざけるのははもうやめてよ!」
「今、何年だ?」「全然面白い冗談じゃないわ」
「違うんだ、ちょっと待ってくれ」ジョーイは、車の
方向を元に戻し路上に車を停車させた。
「セレステ、怒らないでくれ。全部話すから、今何年
か教えてくれ。」「1975年よ」
以下、その当時の事件の羅列・・。


ISBN番号:1-57042-287-7

来ている服も替わっていた。「オレは20才だ」ジョーイはつぶやいた。
「とても40才には見えないわ」セレステはジョーイの頬に触れてそういった。
ラジオではリンダ・ロンシュタットの曲が鳴っていた。
「あなたの番よ。今何年か教えたら、全部話してくれるって言ったわ。」
「何が原因でこういうことになったにしろ、中心にいるのは君だ。新しい未来も何もか
も、全ては君に関わっている。」
「さっきまではおかしな人と思ってたけど、わかったわ・・・。」
 「手を見せて」傷は、最後に見たときは消えかかっていたが、今はまた深くなって血
が滴っていた。ためらいがちに、彼女の手のひらに触れると彼の指には血がついてい
た。ジョーイの指についた血はセレステにも見えた。
「君がオレを信じさせるための印だ。もしオレを信じなければ、君は救われないだろ
う。そしてオレが君を救えなければオレは自分を救えないだろう。」とジョーイは言っ
た。
「もし、あなたがこなければ、私はどうなっていたの?」
「強姦」何故分かったのかはわからないが、彼にはそれがわかった。「強姦されて、打
ちのめされて、拷問されて、殺された。」「もう一台の車の男にね。」とセレステ。
「多分・・・。多分ヤツは前にも同じ事をやっていると思う。ビニールに包まれた金髪
の子を。」「恐いわ。」「こちらにはチャンスがある。」
「こちらが動いていれば、君はより安全だ。動いている限りは、傷は小さくなる。変化
がある、そこが希望だ。」
サイドブレーキを外して、Coll Valley Roadに向かった。
「彼の後をつけて行くのね。アッシュビルかどこかに戻って彼の側から離れた方がいい
ように思うけど・・・。」
「ここで逃げちゃだめだと思う。前に僕が逃げたみたいに・・・。」
「助けがよべるかも知れないわ」
「一体誰が信じてくれるっていうんだ?」
彼に立ち向かえるのは、自分とセレステの二人しかいないと、ジョーイは言った。
自分と彼女だけが、時間に逆らって運命を変えることができると。
残された時間は、多分明日の夜明けまで。
                                    つづく