「StrangeHighway」 第7章 



 ジョーイはシボレーのスピードを落とし、狭い路肩
に車を停めた。エンジンをかけたままでヘッドライト
を消す。心臓が激しく高鳴った。目を閉じて雨の音を
聞いた。最後に目を開けた時、Coal Valley Roadが
消えているのではないか?と半ば期待していたが、そ
れは相変わらずそこにあった。そんなことはあり得な
い。でもそこにあった。
 21年前、Coal Vally で6才の少年が裏庭で遊ん
でいて穴に落ちるという事件があった。母親が助ける
ためにその穴(毒気を含んだ煙渦巻く)に飛び込んで
何とか助け出したが、火傷が酷く三日後に病院で亡く
なった。少年の事故の16年前から、Coal Valleyの
地下では火災が広がりつつあった。政府は危険な地域
から徐々に土地を買収し、その結果Coal Valleyはゴ
ーストタウンと化していった。


ISBN番号:1-57042-287-7

あの遠い昔の10月の雨の夜の時点では、既に残されたのは3家族のみだった。その彼
らも感謝祭までには転居する予定になっていた。
最後の住民が転居し、町は取り壊されたが、地下の火はあと100年か200年は消え
ないだろうと言う。しかも、町のみならず周囲4000エーカーに渡って害が及ぶとい
うので、Coal Valley Roadも通行できなくなっていったのだった。
 アッシュビルに入る時には無かったその道路が、今彼の目の前にある。ジョーイを誘
うように。酒が飲みたい。しかし、ここで飲めばもう二度目のチャンスは消えてしまう
だろう。
 後ろから車が近づいてきた。その車は水しぶきをかけつつ彼を通り過ぎ、Coal
Valley Roadに左折していった。視界が戻るともう一台の車が減速してきて、道路の終
点に止まった。その赤いテールランプが何かを警告しつつ彼を誘惑する。20年前に選
んだ道はwrong highwayだった。今、目の前にCoal Valley Roadがあり、不思議な車
が彼を待っている。荒んではいるが平穏な生活に別れを告げ、ジョーイはその道に車を
進める。
toward a town that no longer existed, toward a fate beyond understanding.
                                    つづく


(これでテープ一巻目はおしまいです。ふ〜。by 永T)